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アメリカで最も盛んなDIY 「室内ペイントで自分好みの空間にする」

私は、アメリカで暮らし始めて既に20年になります。今までに何度か引っ越しを経験していますが、そのたびにまず取り掛かるのが「壁の色を変えること」です。壁を塗り替えることで、「他人が住んでいた家」から「自分の家」へと見た目だけではなく気分も切り替えることができます。人件費の高いアメリカでは業者に依頼するとかなりの高額になるので、楽しみながらDIYで塗り替える人も多いんです。

目次

ダイニングを、ここ数年トレンド色の
明るいグレーに塗り替え。これだけで
清潔感のあるモダンな印象に

引っ越し当初、窓枠が木目調、壁の色もくすんだベージュで、少し疲れたような印象でした。全体的に色が白に近い方が気持ち的にもリフレッシュできると思い、まずは壁に白を試し塗りしてみましたが、窓枠の木目調と合いません。そこで窓枠を白、壁を白に近いグレーしたのがうまくいって、モダンな印象へと変えました。トライ&エラーしながら正解を探っていけるのもDIYの楽しいところです。おかげで明るい印象になり、今はこのダイニングで、朝はコーヒー、夕方はワインをいただくのが楽しいひと時となりました。

子供が小さいころにしか使えない
ピンクで統一した“プリンセス”ルーム。
今となっては懐かしい思い出

一般的に寝室は落ち着いた色合い、キッチンは明るめの色合いがいいと言われます。それは寝室が明るすぎる色だとゆっくり休めない、キッチンの色が暗かったり冷たい感じの色だと食欲が湧かないという心理学的なところからきているようです。それでも一度だけ娘の寝室をピンクで塗ったがあります。テーマは“プリンセス”。上の写真は築100年以上のタウンハウスに住んでいたときのもので、壁の色に合わせベッドのカバーや絨毯もピンク系に統一しました。完成まで2カ月かかった力作ですが、これは子供が幼い頃だけにしかできない色合いなのでチャレンジしてみました。ずっと同じインテリアと考えずに、飽きたら塗り替えればいいのですからいろいろ試してみるのもありですよ。

テレビドラマ「フレンズ」でおなじみの
パープルドアは黄色い写真枠もまるで一緒

そんな娘がティーンエージャーとなった頃、テレビドラマ「フレンズ」にハマっていて、娘のリクエストでドアを再現してみました。観ていた方は覚えていると思いますが、モニカの部屋のパープルのドアです。ドアにかかっているフォトフレームは通販で見つけたもの。部屋の内側だけパープルにしたので、廊下側からは分からないという、ちょっとした遊び心も楽しい作業でした。

素人にはきれいに仕上げるのは難しい
濃い色に挑戦した来客用ダイニングルーム

アメリカの家では必ずと言っていいほど「フォーマルダイニングルーム」という部屋があります。普段はキッチンにあるテーブルで食事をとりますが、サンクスギビング(感謝祭)やクリスマスなどの時期に親族や友人を招いた特別なディナーにはこちらの部屋を使います。感謝祭は七面鳥、クリスマスにはベイクドハムが定番料理で、テーブル中央に置いたメイン料理をその家の主人(ホスト)が取り分けてふるまいます。使用頻度は年に数回ですが、アメリカ人にとってはとても大切な空間です。我が家のフォーマルダイニングルームは玄関に入ってすぐの場所なので、インパクトのある空間にしようとDIYを計画。30年ほど前に主人が購入したカーペットに使われているブルーの色をひろい、壁色を濃いブルーと白の2トーンにしてみました。濃い色は2度以上塗装してもなかなか納得した仕上がりになりませんが、何度も重ね塗りをして5度目ぐらいで自分で納得できる色合いになりました。シャンデリアはセンターピースになるようなデザインのものを選び、壁の半分を白にすることで広さを感じさせることもできた、我ながら自信作です!

女性の憧れである白いキッチン。
自力でかなえてしまいました!

白いキッチンへの憧れは多くの女性が持っていますよね? 私もそのひとりで白いキャビネットに白いクォーツ石(人造石 )のカウンターが夢でした。しかし現実は木目調のキッチン、茶系のグラニット(大理石)カウンターの我が家。プロのペインターに一度見積もってもらったところ、キャビネットの塗装だけで約5000ドル(60万円)ぐらいかかると言われ、それなら自分でやってみようと一大決心、キャビネットの塗装に初めて挑戦することにしました。作業は完成までに約2カ月かかりましたが、ペンキ代とドアノブ代のみで実現したキッチン・プロジェクト、完成後の充実度はかなり高かったです。

お店に行って、たくさんあるペイントの
色を眺めるだけでも楽しいもの

お店には必ずカラーサンプルがあります。自分のイメージに近い色合いを数種類持ち帰って壁に充てイメージを膨らませます。決めきれない場合はいくつかサンプルサイズのペイントを注文して実際に塗り比べることも。余ったサンプルサイズのペイントは額縁や小物などに利用して楽しみます。最近の流行色はベージュやグレーなどの薄めのモノトーン色が続いているようです。それは実はありがたいことで、素人にとっては濃いめの色よりも薄めのトーンの色のほうがきれいに仕上げることができるから。濃いトーンの色は均一に塗る技術がないとどうしてもムラが目立ってしまいます。それに比べ薄いトーン色はローラーやハケの塗りムラが目立ちにくいため、初心者でもかなり完成度の高い仕上がりが期待できます。これからペイントにチャレンジしてみようという場合は、淡い色から始めるといいですよ。

ライフスタイルに合わせて
自分で育てていく家

いつも使っている愛用のはけ

アメリカ人は自宅や庭をきれいな状態に保つのが非常に上手なお国柄だといつも感心します。家をいったん購入したら永久の住処である、という考え方ではなく、ライフスタイルに合わせ柔軟に住宅を変えていくのことに抵抗があまりないようです。だから充実した中古住宅市場があるわけですね。そして家を売る時期が来たときにはベスト価格で売れるように普段から小まめな手入れを欠かしません。そして大切なのは楽しみながらお手入れをしているということです。必要にかられて始めた私のペイント作業も、続けていると腕も少しずつ上がってきました。現在の家の塗装作業はほぼ終了したので、次は古くなった家具の塗装やリフォームに挑戦してみたいと思っています。

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