「部屋の雰囲気を左右するものといえば存在感の大きなカーテンやソファ。これらを購入では、そのときの気分や好みに左右されずに、ベーシックなものを買うのがポイントです」と語るのは、インテリアスタイリストの窪川勝哉さん。ソファといえば、そうそう簡単に買い替えないアイテム。だからこそ、買うときには慎重にならざるをえませんが、「でも人の心理として、結構な値段を払うからこそ、ちょっと変わったものが欲しくなったりするんですよね。例えば10万円のバッグや靴を買うときのことを考えてみてください。デザインや色に特徴のある、魅力的なビジュアルの、これしかない!というものを買うはずです。でもソファでそれをやってはダメ。ソファはファッションのように気軽に変えがききません。長く使うものだからこそ飽きないものを選ぶべきなんです」
では一体どんなポイントを抑えておけばソファ選びに失敗しないのか? 具体的なポイントを五つあげてもらいました。
目次
1.見てすぐ気に入っても即決しない。
いったん店を離れてイメトレを!
ソファを買うのには勇気がいります。カタログを見たりWEBサイトをチェックしてから、覚悟を決めて「いざ!」とインテリアショップにいくという人も多いでしょう。「ソファは最低でも5年は使うもの。途中でトレンドが変わって古く見えるようになったり、買った後で飽きてしまうこともあります。だからファッションの感覚で“可愛い、これ好き!”でソファを選ぶのは危険。このソファは飽きずに使えるか、トレンドに引っ張られすぎてないかと冷静に見極めてください。長く使えると確信できるならデザイン優先で選ぶのもいいですが、ソファは高価なものなので買ってから後悔しないようにプロとしてアドバイスしておきます」
2.“部屋を広く見せたい”と考えているならば
空間を圧迫しないマイルドな色を
「部屋をできるだけ広く見せたいなら、色もベーシックかつ穏やかな色味のものを選ぶべき。赤など目立つ色は魅力的ですが、圧迫感を与えがちでもあります。なかでもグレイッシュな色みがおすすめ。というのも、昔はフローリングの床も赤みがかったり黄色っぽかったりしましたが、最近は床の色も控えめものが増えています。それに合わせて家具の色も柔らかなグレイッシュトーンのものが多くなりました。他の色とケンカすることもないのでどんな部屋にもなじみやすく、お洒落感も演出できますよ」
3.素材はファブリックのほうが汎用性あり
素材と一口に言っても、レザーや布地などの素材のなかで質感もいろいろあります。「基本的に、ソファの素材は好みで選んでOKですが、レザーだと空間全体が重たい印象になりますし、インテリアのテイストがモダンやクールといったイメージに限定されがち。その点布地は、軽やかな雰囲気を作れるものが多く、どんなテイストにもマッチし汎用性があります」
4.家族構成の変化や引越しの予定があるなら
モジュールタイプを選んでおくと便利
モジュール型とは、従来なら一体になっているL字ソファが、多くのパーツの組み合わせで成り立っているソファのこと。ひとつずつ切り離して動かせるため、L字に限らず、さまざまな形を作ることが可能です。一体型のL字だと、引越してL字の向きが反対になってしまったりと合わないこともありますが、これならどんな部屋でも、使いたい向きに合わせて形を変えることができます。また家族の年齢や人数に合わせてモジュールを増やしたり減らしたりと、使いやすく修正することも簡単。そんな部屋の形、暮らしの形に合わせて配置できるモジュール型は今の時代にぴったりと言えます」
5.脚がないタイプは部屋を広く見せるようで
意外に圧迫感もあり掃除がしにくい
「脚がなく地面に直接設置するタイプのソファは、高さが低くなるので、部屋が広く見えると言われていますが、実は、足元にヌケ感がないと圧迫感が出てしまうんです。その点、写真のような脚付きソファは床に抜け感が生まれるので、圧迫感を排除することができ、結果部屋が広く感じられるんです。狭小住宅と言われる日本の家には断然、脚付きソファが向いていますよ。それに、ルンバブルという言葉もあるように、掃除がとても楽! 先にお話した通り5年は使うものだから、掃除のしやすさという点も選択基準のひとつに入れておくべき」
ファッションと同じで、つい自分の好きのアンテナにしたがって選んでしまいそうになりますが、ソファは「今年のトレンドはこれ!」と毎年替えるようなものではありません。ソファご購入の際は、上記5点を思い出して、納得のいく買い物をしてくださいね!