「マイケルはロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで工業デザインと工学を学んだキプロス生まれのデザイナーです。マイケルとイタリアの照明ブランド『Flos(フロス)』がコラボレーションした『ICライト』の大ヒットが彼の名を業界内へと広げました。その後ハーマンミラーからスツール、B&Bイタリアからはシェルフ、カッシーナからはテーブル、バング&オルフセンからはスピーカーなど、照明の枠にとらわれず斬新なデザインを発表し、照明業界の枠を超えて注目されている人物です」(日本フロス株式会社広報 井出さん 以下同)そんな今をときめくブランド、マイケル・アナスタシアデスの照明の魅力を簡単にまとめると…
・独創的でいてミニマルなデザイン
・存在感あるアートのようなフォルム
・大理石や真鍮など、使用素材へのこだわり
が挙げられます。
「そもそもイタリアをはじめとしたヨーロッパ圏の人々は生活における自然光をとても大切にしているため、室内の照明も自然な明るさにこだわる人が多く、室内にいくつも明かりをつけることが当たり前になっています。複数の照明を置くと、その印影で部屋にリズムや奥行きが生まれるので、これはぜひ試してみてほしいですね。また、日本では照明の多くがリビング用とか、寝室用とか何畳に対応といった用途に合わせて紹介されることが多いですが、フロスではそういった見せ方はしていません。これは何用といったカテゴリはなく、さらに大きく言えば家用・店舗用といったカテゴリも基本は存在しません。リビングでも寝室で使ってもよく、インテリアとしての使い方は、最後はユーザーに委ねるべきだと思っています。これらの思いを含めてマイケル・アナスタシアデスの照明は用途のカテゴライズしておらず、自在に組み合わせて使っていただいています。日本でも、このような自由さで照明を楽しめるようになればいいなと思っています」
目次
パーツの組み合わせは自在!
照明としての役割もきちんと果たす
最新作「アレンジメンツ」シリーズ
「2018年に発表された最新作『アレンジメンツ』は丸、ドロップ型、ひし形、への字、直線をモチーフにした9種類のエレメントを自由に組み合わせることができる画期的な照明です。着想源のひとつはジュエリー。シンプルなパーツが組み合わさって美しさを発揮するそのバランスにヒントを得たそうです。この独特かつ斬新なデザインを見ると、一般家庭に置くにはちょっとレベルが高いと思われるかもしれませんが、どんな組み合わせでもモダンな印象に仕上がるのでぜひ取り入れてみてほしいです。ちなみに、日本の一般家屋は天井が低いので、小さな円やドロップ型をペンダントライトのようにぶら下げるスタイルがおすすめです。パーツをひとつだけ飾ってモビールのようにしても素敵ですよ」
例えばリビングのライトとして…
家族やゲストが集まるリビングには形状、サイズの異なるエレメントを三つ組み合わせて視覚的に華やかな空間演出を。ちなみに各エレメントをつなぐジョイントは、特許取得済みの「アレンジメンツ」専用コンポーネントを介して接続され、全体に電源を供給しています。
例えばダイニングのペンダントライトとして…
広報の井出さんもおすすめしていたのがダイニングスペースでのペンダントライトとしての使い方。一番下に直線のラインと呼ばれるエレメントを配することで食卓全体に光が行き渡り明るいダイニングを演出できます。
例えばキッチンのライトとして…
生活感の出やすいキッチン周りもアレンジメンツの照明があればたちまちスタイリッシュで洗練された空間に。オブジェのようにひとつだけ配置するのも雰囲気が出て素敵です。写真のように、ラウンドとラインを組み合わせれば天井高がそれほどない家庭でも圧迫感なくしつらえることができます。
他にもある!
マイケル・アナスタシアデスを語る上で
外せない二つのシリーズ
売れ行きも人気No.1!
アレンジ自在の「ICライト」
ガラスの球形が棒の上で絶妙なバランスをとっている不思議なフォルムが目を惹く「ICライト」は、2014年登場以来人気の定番作品。「日本でもホテルや結婚式場やアパレルショップで使われていることが多く、この形は見たことがあるという方も多いシリーズだと自負しています。人気の理由はバリエーションの豊かさ。高さはもちろん、球体のサイズ違いなどを入れると全部で9種類のラインナップからお部屋の広さに合わせて自由に選ぶことができるんです。シリーズで部屋を飾るのも統一感が出ていいですよ。発売当初は真鍮素材を使用していましたが、この春からデザイン業界でトレンドのマットな質感のブラックカラーシリーズが追加されました。シックな仕上がりで、日本のインテリアともマッチすると思います。また、LEDが主流となっているなか、『ICライト』はハロゲンランプを使用しています。白熱灯ならではの夕焼けどきのような優しい色合いは、デザインにこだわる層から熱い支持を得ています」
照明の向きを変えても美しさはそのまま。
「キャプテンフリント」
「『ICライト』の発売から2年後に登場した『キャプテンフリント』は、シェード部分がカクカクと動き光の角度を調節できるため、直接光としてだけでなく、向きを変えて明かりをバウンスさせる間接照明としても使えます。お部屋のインテリアに合わせて使い方を変えられ、どの角度にしても美しさを損ないません。ブランドのなかでもやや高さのあるデザインなので、大き目のソファーをお持ちであれば、ヨーロッパの家庭のようにソファーサイドに設置すると素敵ですよ。普段は壁向きにして間接照明として、読書の際には読書灯にするなど使い分けが可能なので、複数の照明を置かずにニュアンスのある空間作りが楽しめますし、シンプルなデザインなので他のマイケル・アナスタシアデスシリーズと合わせて使ってもなじみます」
・・・・・・
シンプルなフォルムながらどこか色気のあるデザインは、照明がオフの状態でも雰囲気たっぷり。日中も優れたオブジェとしてインテリアをブラッシュアップしてくれるはず。日本の照明は、部屋の天井にひとつという先入観がまだまだ強いですが、マイケル・アナスタシアデスの自由な発想が、インテリアとしての新しい照明のあり方を切り開いてくれそうです。