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今、手に入る北欧デザインの名品Vol.3 ポール・ヘニングセンの「PH5」

『ルイスポールセン』〈上〉PH 5ミニ(φ30×H16.3㎝)74,520円〈下〉PH 5(φ50×H26.7㎝)105,840円(ともに税込)

目次

より優しく自然の光を実現した
北欧が生んだ照明デザインの傑作

インテリアとしても、また心地よく暮らすためにも、大きな役割を担う明かり。北欧でも光はとても大切なエレメントです。例えば、ブルーアワーと呼ばれる、数時間続く夏の夕暮れ時には、空の美しい色合いを楽しみながら室内に少しずつキャンドルや間接照明を取り入れて特別な空間を作り上げます。逆に冬になると夜の時間がとても長いので、室内でより快適に過ごせるようにと、明かりのデザインは大切に考えられています。今回ご紹介するのは、そんな北欧の暮らしの明かりを支え続けてきた20世紀の傑作『ルイスポールセン』社のPH5です。

PH5が生まれたのは1958年。デンマークのデザイナー、ポール・ヘニングセンによってデザインされました。ベースとなっているのは、ヘニングセンが1926年に手掛けた3枚シェードの「PHランプ」。家庭の照明がロウソクから白熱電球へと移行していた時代から、ヘニングセンは人や物、また空間を美しく照らす光を追究し続けました。そして30年後、より自然に近い光を実現した食卓用の照明器具PH5を完成させました。例えば、人の目には黄と緑が強く映る白熱球の特性を補完するために、照明内部には赤と青のリフレクターを配し、暖かみのある明るいトーンの光を表現しています。また「対数螺旋」と呼ばれる美しいカーブを描いた複数のシェードは、光の拡散や反射が緻密に計算され、明るさが必要な下方向へは明るく、メインシェードへは優しい光が漏れるよう設計されました。電球の明かりは決して直接目に入ることはなく、不快な眩しさを抑えた優しい光が食卓を満たします。

「光をかたちづくる」というヘニングセンの情熱が生み出した画期的なデザインは、誕生から60年経った今も、北欧のみならず世界中の照明デザイナーに影響を与え、私たちの暮らしに美しい光をもたらしています。

アーティスティックで機能的!
つけても消しても美しいデザイン

目に優しく、より自然に近い光を作りだしたPH5。明かりの美しさだけではなく、消灯時に見せる端正なフォルムにもまた感動させられます。緻密な計算でデザインされたシェードの重なりは、「美しい彫刻作品」とも評され、まさに機能性と美しさを兼ね備えた北欧デザインの傑作です。ちなみにPH5の“PH”はデザイナー、ポール・ヘニングセンの頭文字、“5”はメインシェードの直径(50㎝)に由来しています。そして昨年、この名作にミニ版の「PH5ミニ」が仲間入りをしました。光の美しさはそのままに、メインシェードが30㎝とひと回り小さなサイズ感。複数のPH 5ミニをダイニングテーブルの上にリズミカルに吊るしてみたり、部屋のコーナーに高さを変えて吊るしてみたり、コーディネートの幅も広がりました。

また現在、カラーバリエーションはPH5、PH5ミニともに、クラシック・ホワイトとモダン・ホワイトの2つの白に、北欧らしい鮮やかな6色をラインナップした計8色で展開。カラータイプはシェードの上から下へ向かって明るくなるグラデーションで配色され、明かりを灯したときに下へ向かうほど反射が強まり、視覚的な効果をより引き立てています。さらに、今年は誕生60周年を記念して、トレンドのカッパーカラーのシェードを組み合わせたスペシャルバージョンも登場。ヘニングセンが考案したシェード・システムをよりダイナミックに表現する、新しい表現にも注目が集まります。

巨匠、ポール・ヘニングセンが目指した
光と闇が織りなす美しい照明の世界

デザイナー、建築家、作家、文化評論家とさまざまな肩書きを持つポール・ヘニングセンは、デンマークの社会そして北欧のデザイン界に大きな影響を与えてきました。なかでも彼が最も情熱を注いだのが照明の分野でした。1907年に初めて電灯を見た彼は、当時まだ新しかった電気を使った照明のデザインに取り組み、その改良に人生の大半を捧げたそうです。目に優しく、仕事や生活の場がより快適な場所になるよう考案された、グレアフリー(グレア=眩しさ)の画期的なシステムは、今なお不朽の名作としてデザイン界に大きな影響を与え続けています。また闇と光の両方があってこそ美しいというヘニングセンの考えは、デンマークを代表する照明メーカー「ルイスポールセン」社のフィロソフィーの基礎にもなっています。

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