目次
みずみずしい果物と花々が描かれた
人気ブランド「アラビア」のアイコン!
使い勝手のいいフォルムに美しいデザインで人気の『アラビア』の器。北欧デザインが好きになったのはアラビアがきっかけという方も多いのではないでしょうか。今回ご紹介するのはそのアラビアの代表作で、果物や草花がみずみずしく描かれた「パラティッシ」。
アラビア社の歴史は1873年にスウェーデンの陶磁器メーカー、ロールストランド社がフィンランドに設立したアラビア窯に始まります。当初はロシア市場向けの製品を作っていましたが、1916年にロールストランド社から独立。そして1929年には、“美しい日常”をスローガンに使いやすくて美しいデザインの器作りがスタートしました。1932年には、アート・デパートメントと呼ばれる芸術部門を設立し、優れたデザイナーやアーティストを迎え、自由な創作をサポートしてきました。北欧モダンデザインの礎を築いたデザイナー、カイ・フランクなども所属し、アラビア、そして北欧デザインの黄金期を迎えていきます。
「パラティッシ」シリーズが生まれたのは1969年。アート・デパートメントで活躍した作家のひとり、ビルガー・カイピアイネンの作品です。アラビアでは器のフォルムをデザイナーが担当し、絵付けはデコレーターという工程でしたが、この「パラティッシ」シリーズは、ビルガー・カイピアイネンがフォルムと装飾の両方を手掛けたそうです。北欧デザイン黄金期に生まれた、当時も今も世界中で愛用されているロングセラーの名作です。
特別な日の料理から普段の食卓まで
どんなシーンでも活躍してくれる北欧の器
パラティッシとはフィンランド語で“楽園”という意味。一面にパンジーやカシス、ブドウ、リンゴなど、果物や花が大胆に描かれたプレートは、自然の恵みや華やかさが表現され、発売当初からフィンランドで人気を博したそうです。
名作と言われるゆえんは、やはりその美しい絵柄にあります。器自体のフォルムはとてもシンプルですが、緻密な構図で大胆に植物を描いたプレートは、テーブルに並べただけでパーティシーンを華やかに演出してくれますし、普段の食卓でも自然になじんでくれるという優れもの。朝食の卵料理とトーストやランチで作ったお手軽パスタ、夕食の魚料理だっておいしく盛り付けられます。フルセットでそろえてみたり、アクセントに一枚だけ取り入れたり、パラティッシの絵柄が加わることで食事の時間が一段と楽しくなってきます。
“陶芸界のプリンス”と呼ばれた
ビルガー・カイピアイネン
唯一の量産品がパラティッシ
このパラティッシシリーズを生み出した陶芸家、ビルガー・カイピアイネンのデザインを象徴するのはパンジーの花。パラティッシにも描かれている花ですが、ショパンをこよなく愛したカイピアイネンは、ショパンが愛したパンジーを用いた作品を数多く残しています。パンジーの花に鳥やチョウ、草花に果物、そして細かなビーズをあしらった作品は、そのどれもが一点もののアート作品で、今もコレクターの間ではとても人気の高い作品となっています。そんな彼が手がけた唯一ともいえる量産品がパラティッシシリーズです。陶芸界のプリンスとも呼ばれたそうで、美しい色使いや幻想的なデザインは世界中の人々を今も魅了しています。
テーブルに1枚あるだけで気分が上がる『アラビア』のロングセラー、パラティッシ。自分だけのとっておきのマグや、盛り付けしやすい大きめのプレートなど、暮らしに合わせて少しずつそろえていきたい憧れの名作です。