「私が東京に来た当初、キッチンの狭さに衝撃を受けました。そこで考えたのは、料理を作るにはスペース確保が大事だということ。ボールやザルは重ねられるものがいい、洗い物を減らせるようフィニッシュまでひとつで済む万能調理器具がほしい。毎日使うものだからこそ、見た目はもちろん、簡単で便利、スペースを取らないもの作りを目指しています」(良品計画 生活雑貨部 稲富由里子さん・以下同)。キッチングッズはあらゆるメーカーから同様なものが出ていて、使い心地や勝手の良し悪しが分かりやすい分野。そのためウェブサイトやお客様室、店舗からのお客さまのリアルな声は必ずチェックし、「なるほど」と思ったところは、反映してブラッシュアップしているのだとか。今回ピックアップしたアイテムは、そんなこだわりから生まれたものばかりです。
目次
★第1位「シリコーン調理スプーン」★
炒める、混ぜる、すくう、
ひとつで何役もこなすロングセラー
断トツ1位は、調理から盛り付け、取り分けまでこなす「シリコーン調理スプーン」。2009年11月の発売以来、ここ数年ほぼこのスプーンが売り上げトップを占めているそう。「このスプーンを手に取ると適度な重みを感じると思います。それはステンレススプーンの周りにナイロン、その上にシリコーンをコーティングしているから。こうすることで、強度と安定感が生まれ、炒める、混ぜる、すくうなどのあらゆるシーンで使える万能スプーンになるんです」。土台はしっかりしているのに、先端やサイド部分はなめらかに動く。だから炒めものや煮物などはもちろん、とろみのあるソースも楽々すくえるんですね。今まで菜箸やへら、おたまと使い分けていたものが、これひとつで調理完了なのが嬉しいですね。
★第2位「ステンレスボール」★
泡立てやあえ物がしやすくなる深さや角度。
計量も調理も同時にできる目盛り付き!
泡立てたり、かき混ぜたり、こねたりと、日々の料理やお菓子作りに欠かせないボールが2位にランクイン。傷が目立ちにくくマットな質感が美しい18-8ステンレスを使用したボールは、適度な厚みなので使いやすく、コロンと丸いシルエットもキッチンになじむとシリーズ買いする人が多数。「長年愛されているボールですが、お客さまの声を取り入れて2014年にリニューアルしました。泡立て器などと併せて使いやすいように深さと角度を工夫。内側には目盛りが付いているので、下ごしらえの段階で調味料の計量もできその後の調理がスムーズです」。サイズはS、M、Lの3種類。Sサイズは、ちょっとしたあえ物や切った薬味を入れておくのに便利。Mサイズは、何でもこなす万能選手。Lサイズは、こねたり、卵やクリームの攪拌作業にも向いています。
★第3位「ステンレス平ザル」★
自分がほしくて商品化!?
この平らさが使い勝手抜群で、
この春登場の新商品ながら既に大人気
平ザルという名前の通り、高さが3㎝と浅めなのが特徴。ボール型のザル同様、素材を洗ったり、水切りをしたり、下ごしらえに使えます。「実はこのザル私がほしくて開発したんです(笑) 。ザルを平らにしたことで、野菜の水切りがスピーディ、魚の湯引きや油揚げの油抜きをしたときのパット代わりに、枝豆などの熱さましが素早く均等にできたりと凄く優秀なんです」。浅いザルはミニトマトやイチゴなど重ねると傷がつきやすい食材を洗うとき、パレット感覚で広げておけばOKなので重宝しそうですね。シンプルなデザインだからそのまま食卓に出してもお洒落。そうめんやそばの出番が多くなるこれからのシーズン大活躍しそうです。
★第4位「鉄フライパン」★
さびにくく焦げにくい窒化鉄を使用し、
本格派ながらビギナーでも使いやすい
このフライパンの最大の特徴は、料理をおいしく焼きあげる鉄の魅力はそのままに、さびにくく焦げにくい窒化鉄を使用していること。だから鉄のフライパンビギナーでも安心して使えます。「本格的なフライパンを作りたい! と何度も社内会議にかけ、2016年にやっと実現できた、思い入れのあるフライパンです。鉄は熱伝導が良く、食材に素早く熱を加えられるため、焼いたり炒めたりする調理に向いています。特に違いが分かるのはぎょうざですね。外はパリパリ、中はふっくらジューシーに仕上がりますよ」。ちなみに、インスタ映えすると流行の円盤ぎょうざは、20㎝のフライパンで焼くと、24個丸くきれいに並ぶそう。
★第5位「ステンレス パン切りナイフ」★
波刃の形とバランスを見直して
近頃人気の生食パンも切りやすい!
◆このギザギザの波刃でパンくずが出にくい!
食パンブームの影響もあり、人気急上昇中のパン切りナイフが5位にランクイン。無印良品のパン切りナイフは、刃渡り18㎝と気持ち小さめなので、扱いやすく収納もしやすいのが◎。「もともとパン切りナイフは、よく切れると評判で、隠れた名品でした。ただ、パンを切るときにノコギリのようにギコギコと前後に動かすので、パンくずが出るのが悩みだったんです。そこで昨年秋、波刃の形と配列を見直しし、パンくずが出にくくなるよう改良しました」。切れ味もよりよくなったので、ふわふわで切り口がつぶれやすい生食パンもよりスパンと切れるようになったのだとか。毎朝のパン生活が楽しみになりますね。
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今回取材に行って、無印良品のキッチン小物は、スタッフが愛情たっぷりひとつひとつ丁寧に作り上げているのだということが分かりました。作った商品も半年から1年単位で定期的に見直しをし、より使いやすくなるようブラッシュアップしているそう。それが支持する人がどんどん増えていく秘密なんですね!
・無印良品ネットストアをチェック!
撮影/石田純子