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築40年以上の古民家再生 日本家屋の良さを残す温故知新リノベ

ちょっと古めかしい昭和の間取りを、日本建築のプロポーションは守りつつ、こんなモダンな印象に!

Eさん一家は、子供3人の5人家族。今回手に入れたお宅は、床面積141㎡と十分な広さながら、かなり古めかしい昭和の古民家です。「初めて今の我が家に出合ったとき、時が止まった古屋でした。でもそこに愛着を感じ、それを何とか形にしたい」というご主人のリクエストを基に、“日本建築らしさ”に磨きをかけるということが今回の改修計画のテーマになりました。

目次

日本建築の特徴のひとつ、
長押(なげし)を強調することで
モダンかつ統一感の増したLDK

随所に日本らしさを残しつつ、スポットライトなどがモダンな印象を加味。

もともとDKと居間に分かれていた空間は、18畳の広いLDKに変更。元のDKにはなかった長押(※なげし。日本建築で、柱から柱へ渡して壁に取り付ける横木)をキッチンまで延長することで、空間の連続性が強調されています。そして、この長押こそ、日本建築らしい垂直水平の整え方を表すものとして、このLDK以外にも随所で取り入れられました。窓側の障子は、下半分にガラスの入った“雪見障子”。この風情を感じる仕様も、改修前から引き継いだデザイン。この空間に合うようにと、同様に時を経てきたアンティークの家具を取り入れたりと、Eさんもこの家を育てていくことを楽しんでいるんだとか。

薄暗い印象だった廊下も
明るくシャープに生まれ変わりました

玄関すぐにあった壁を取り外すことで、明るくなった玄関から続く廊下部分。

玄関から続く廊下部分も、以前にはなかった長押がデザイン的に効いています。リノベーションをおこなったキューブデザインの代表いわく「横に伸びている長押が、7対3くらいでバランスをとることで、縦方向にメリハリをつけている」とか。水平方向のラインが入るだけで、なんともシャープですっきりした印象に。階段近くのドアをガラスにすることで、陽光が届くようになり廊下が明るくなっただけではなく、リビング側にいても、子供が帰宅したが分かるようになりました。

縁側~リビング~廊下まで、床材を
統一することで、空間に連続性が

既にご紹介しているLDK、廊下を含め、縁側部分まで床材は同じ日本の栗の木を使用しています。床暖房にしたリビングに対応可能で、なおかつ日本家屋に合う素材として選ばれた素材です。この床材を縁側から廊下まで揃えて敷き詰めることで、この三つの場所が、広いまとまった空間として認識できるようになったことも、リノベ後の家屋がすっきりとした印象に見える理由のひとつ。俯瞰の目線でとらえることが、インテリアデザインでは重要だということがこのことからも理解できます。

大きな変更は加えなくても、色を意識する
だけで印象は大きく変わるという好例

この部屋、ビフォアアフターでかなり印象が違いますが、壁は薄く白を塗装しただけで、材料はそのまま。デザイン的変更はほとんどありません。それほど予算をかけなくてもイメージを変更することも可能なので、贅沢にお金をかける場所と低予算で済ませる場所、事前にしっかりと考えることが、結果的に満足度の高いリノベーションにつながると言えそうです。

元の家屋の85%はそのまま残していても
現代の住み心地を手に入れるには
一度はかなり開ける必要があります

「元の家の良さをできるだけ残したい、コストもできるだけ抑えたい」という施主の希望があったので、この古民家リノベーションでは、元の家屋の85%くらいはそのまま使用しているそうです。ただ、間仕切りの変更や床暖、断熱材を加えるなど、21世紀の家屋の住み心地レベルに近づけるには、いったん分解し、見えない部分の改修も必要。写真のように、実際は大掛かりな作業を経たうえで、見た目だけじゃない快適な住まいが手に入ります。

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「どうせ戸建てに住むなら、量産物は嫌でした。高価じゃなくても、価値あるものを選びたいと思いました」と施主のEさん。妙な愛着を感じた古民家をリノベーションした結果には、「材料選びや、使い勝手・耐久性などへの配慮が巧みで、古い家と私たち新しい家族の、どちらも等しく尊重してくれました。おかげさまで家族5人毎日楽しく暮らしています。古い家は一見、多くの人が好まないかもしれないけど、それだけ長い間、人の暮らしを支え、積み重ねた、新品にはない価値があると思いました。この価値を尊重し続けるために努力することは、新しいものをゼロから生み出すことと同じくらい、大切なことなんじゃないかと感じています」とのお答えをいただきました。欧米に比べて、古い家を直しながら使うという文化は日本ではまだ歴史が浅いですが、新築とはまた違った魅力を見つけたいなら、あえて古い家を探してみるのもいいかもしれません。

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