ライターという仕事柄、何かを依頼するときやお礼などもメールで伝えることが多く、手書きの良さを見直すのにいいかも! と以前からカリグラフィーには興味がありました。語源はギリシャ語でcalli“(美しい)”+“graphein(書くこと)”なんだとか。まさにアルファベットを「美しく書く」ための独特な手法がカリグラフィーです。 余談ですが、スティーブ・ジョブズがカリグラフィーに興味を持ったことから、アップルのMacが美しい書体を持つ初めてのパソコンになった話は有名です。
目次
インスタのハッシュタグは9万超え!
最近は日本でも人気なんです
◆優しい文字に女性らしい感性が宿るカード
女性らしい感性で描かれた@cieroazulさんのカードは、上品さが漂います。以前カリグラフィーのカードをもらって嬉しかったという経験をきっかけに10年ほど前から学び始め、今ではカードなどでひと言を添えるよう心掛けているのだとか。描かれているリースも、カリグラフィー の要領を応用したもの。「作品は人の目に触れて成長する。という周りからのアドバイスもあってSNSを通してカリグラフィー の輪も広がりました」
◆カリグラフィーがぬくもりを与える食卓
@a.i.1987.jpさんは、席札とクリスマスらしいデザインにビーズを配した額装アートを全てハンドメイド。「子供も一緒のホームパーティは、ドライフラワーをあしらった目に入りやすい席札、楽しさと可愛らしさが同居したテーブルセッティングを意識しました」。食器だけを並べてあるよりも、名前や心に響くキーワードが描かれているだけで、人の温かさを感じます。
◆インテリアや日常使いの雑貨としての
アクセントに!
フォトジェニックなカリグラフィーの作品が多い@michelle_designs_さんはグラフィックデザイナー。「フランスの詩人、ポール・ヴェルレーヌの”novermore”から引用した文章を書いたペーパーを、ケーキとお皿のサイズに合うようにコピーして丸く切り取りバランスよく調整しました」。ケーキの下にアクセントとして使用したペーパーのアイデアは、自宅のおもてなしにも使えそうですよね!
セミナーに参加。ペン遣いを覚えれば、
あの美しい文字が自分でも書ける⁉
「一見難しいイメージがあるかもしれませんが、文字や各書体には規則やルールがあって、モダンカリグラフィーは、それをベースに絵を描く感覚で仕上げていきます。アート性はとても高いですが、練習すれば誰でも描けるようになりますよ!」と話すのは今回モダンカリグラフィーを教えてくださった島野真希先生(以下同)。先生のデモンストレーションを見た後に、専用のペンで、直線、曲線、丸みを書き、続いてアルファベットや線を書く練習をします。見るのと実際やってみるのとでは、だいぶ勝手が違うとは分かっていたけれど、想像以上に難しい……。 カリグラフィーは、紙の位置、ペンの角度や向きが最も重要。先生にアドバイスをもらいながら繰り返しやってみましたが、圧をかけるタイミングが本当に難しい。「習字と同様、何度も何度も文字を練習すると、見栄えの良い字が書けるようになりますよ」。
ワークショップに参加したのは、師走だったので、「Merry Christmas」や「Happy Holidays」といった単語を練習しました。「文字はその心を映し出します」との先生のひと言にビクつきながら描いた私の文字は、かすれた弧を描いたり、自信がないという気持ちを露呈しているような頼りなさげのでこぼこな細い線……。お手本を見ながら、何度も繰り返すことが必要だと気づかせてもらいました。
実際にカリグラフィーを習得したら、具体的にどのように使えばいいのでしょうか?「もともとウェディングプランナーをしていたのもあって、気持ちをギフトカードにしたためて贈ることが多いですね。以前、無地の紙袋にハンドライティングしてプレゼントしたら、とても喜ばれました」。
思い立ってペンを購入!
やっぱり、とにかく書くことが
上達のポイント
取材を終えて、ある日たまたま画材屋さんへ寄ったら、自然とカリグラフィーコーナーへ足が向き、専用のペンを購入しちゃいました。ワークショップで習ったものとは違うものの、ペンの扱いなどの理論は一緒のようなので、先生のアドバイス通り、まずは何度か練習。
買った直後のある日の夕方に、何度か練習をしながら書いていたものの、「うまく書かなきゃ」とか「夕食の準備をしなきゃ」とかといった煩悩的な気持ちが邪魔をして、なかなか上手に書けませんでした。今ひとつ納得できなかったので、別日に再度トライ。ワークショップに参加したときのように午前中に書くと、集中力が高まり、少しだけ見栄えする文字が書けた気がします(自分調べ)。このワークショップに参加して、新たな気づきがありました。カリグラフィーって、よく見ると私たちの生活になじんでいるんです。世界的な炭酸飲料のメーカーのロゴや日本有名ブランドのチョコレートのパッケージなどもその例。以前お邪魔した某ラグジュアリーブランドのオープニングレセプションでは、その場で特別な紙に頭文字を書いてくれるお土産をいただき、特別感がありました。日常生活と親和性が高いからこそ、極めるといろんな場面で活躍してくれそうだし、何より周りの人が喜んでくれるのは嬉しいですよね。文字で気持ちを伝えることが少なくなった今こそ、こういった特技を持つことで、人との関係性も深まり、充実したライフスタイルが手に入るのかもしれません。