卵は「賞味期限」だけではなく
「産卵日」が書いてあるものを選ぶ
産地やブランドなど、卵を選ぶ基準はいろいろあると思います。賞味期限もそのひとつ。「賞味期限は、卵をパック詰めした日から14日先の日付を印字しています。産卵日から換算して日付を決めていると思われがちですが違いますよ」。これだけ聞くと、特に問題ないように思われるかもしれませんが、“卵をパック詰めする日”という点にカラクリがあるようです。
◆なぜお客さんが多い休日のスーパーでも
卵は売り切れないのか?
現在、国内の養鶏場は小さな個人農家と大規模養鶏場に分けられます。「産卵後、集められた卵はパック工場にトラックで運ばれ、相場を見ながらチルド管理された場所で洗卵・選別されていきます。チルド保管された卵は、取引先スーパーからの注文に応じてパック詰めされスーパーに移動。つまり、平日は100パック出荷のところを“特売日だから300パック”と、出荷数を調整します」。ということは……、“特売日”の卵には、前日産卵日だったものも、産卵から1週間経った卵も、パック詰めから換算して同じ賞味期限で出荷されているものが混在している可能性があるということです。
◆産卵日も印字しているかどうかは
良心的なスーパーを判断するひとつの目安
それでは私たち消費者は、何を基準にスーパーで卵を選べばよいのでしょうか。「法律上、賞味期限を明記していれば産卵日まで印字する必要はありません。ただ、スーパーによっては産卵(採卵日)まで丁寧に記しているところもあります」。卵の賞味期限表記は、卵をパック詰めした日から14日先なので、新鮮かどうかは産卵日を見るのが確実。「自分たちの儲けをいちばんに考えているスーパーは、1パックでも多く卵を売りたい。だから産卵日は伏せて、賞味期限しか表示していない場合もあるんです。ズルい考えでしょう?」
卵の常温販売はサルモネラ菌の温床。
冷蔵販売しているお店を選んで!
賞味期限のカラクリにも驚きましたが、卵を選ぶ際の注意点は温度管理も重要なんだとか。「常温販売では、サルモネラ菌の危険があるため冷蔵販売しているスーパーか、常に冷蔵販売しているコンビニで卵を選ぶのが賢明でしょう」。最近はふわとろの半熟オムライスや卵かけごはんがブームですが、卵はサルモネラ菌の宝庫。運が悪ければサルモネラ中毒にかかることだってあるのです。「欧米では菌が繁殖しないように冷蔵販売されています。もちろん生卵を食べる習慣もありません。先進国で卵を常温販売しているのは日本ぐらいではないでしょうか」。もともと自然で育つものだから常温で卵が売っていても、大丈夫と思いがちですが、サルモネラ菌が増殖する危険な状態です。「ちなみに一般的なスーパーの販売温度である25℃で保管すれば21日間は大丈夫です。真夏の温度36℃で保管していると、わずか1日で食中毒が起きるレベルまでサルモネラ菌は増えてしまいます」。安全面を考慮して、ぜひ冷蔵販売しているスーパーを選ぶようにしましょう。
~おさらい~
卵を買うときのチェックポイント
安心しておいしく卵を食べるなら、冷蔵ケースに入ったものを選ぶのはもちろん、買うときに以下の表記も気にしてみてくださいね! ちなみに茶玉は栄養素が高いと思われていますが、卵の色は鳥の羽の色、黄身の色は餌の色と同じです。
✓産卵日・採卵日が表示してある
✓生産農場
✓産んだ鳥の種類
✓何を食べて産んだ鳥か
普段、何気なく食べている卵にはこのようなカラクリが隠れていたんですね! 安さや手軽さだけで選ぶのではなく、こうした裏側を知った上で、安心して食べられる卵を選びたいものです。今回河岸さんからお話を伺って以来、我が家でも卵選びは産卵日印字&冷蔵販売のものしか買わなくなりました。