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洗濯ソムリエが解説「冬の部屋干しを5時間で乾かす」四大ポイント

部屋干しを実施している家庭は8割以上!
しかし悩みが尽きないのが実態…

ダイキン工業発表の「住宅内空気の困りごとと部屋干しに関する実態調査」によると、毎回部屋干ししている世帯は約2割。ですが、状況に応じて部屋干しすることがあるという世帯を含めると84.8%にのぼり、その割合は年々増えています。「今は昔よりも紫外線量が増加しているので、衣類の色あせを防ぐためには日光は当てずに部屋干しすることをおすすめしています。外気は汚れていますし、天日干しの過乾燥は洗濯物がカピカピになる原因にもなるんです」(洗濯ソムリエ・松延友記さん 以下同)。しかし、洗濯物がカラッと乾かない、臭くなる、乾くのに時間がかかるなど、部屋干しには何かと悩みが尽きません。

5時間以内に乾かすことが
生乾き臭も防止につながる!

お洒落な新感覚コインランドリー「フレディ レック・ウォッシュサロン」のプロデューサーである松延友記さんは、洗濯ソムリエとしても活躍。

以前の記事でもご紹介しましたが、洗濯物の生乾き臭の主な原因はモラクセラ菌。洗濯物に残った水分や汚れをエサにし、その排泄物が臭いを発生させているのだといいます。「モラクセラ菌は約5時間経つと一気に増殖し始めます。そのため、生乾き臭を防ぐためには5時間以内に素早く乾かすことがもっとも大切です」。乾きやすい環境に整え正しい干し方をすれば、部屋干しでも5時間以内に乾かすことは可能なのだそう。

部屋干し対策①
エアコンやサーキュレーターを使い
乾いた空気をたっぷり当てる

一般的には乾きにくいとされている部屋干しですが、室内の湿度や空気の循環をコントロールすることで、解決できるそう。「冬場は暖房、夏場なら冷房を入れて、まずは室温を24〜25℃程度に調整しましょう」。大切なのは温度というよりも、湿度の低い環境を作ること! 「乾いた空気をたっぷりと当てるため、サーキュレーターや扇風機を回すことも大切です。洗濯物は下から上へ乾いていくという特徴があるので、なるべく下のほうから斜めに風を当てましょう」。本来ならば乾くまで風を当て続けるのがベストですが、最低でも2〜3時間は必須。外出する際などはタイマーを活用するのも◎。部屋の湿度や結露が気になる際は、エアコンを除湿モードにすることも有効です。

部屋干し対策②
干す場所は空気が循環しやすい
廊下やリビングの中央がベスト

日当たりや風の通りを考えて窓際に干す人も多いと思いますが、紫外線によるダメージや、雨の日は湿度の高い空気が当たるため、あまりおすすめではないのだとか。「サーキュレーターを回さなくても乾きやすい場所は、人の通り道。空気が通りやすい廊下やリビングです」。多少生活動線の妨げにはなりますが、人が通ることで自然と空気も循環しやすく、洗濯物は乾きやすくなるんだとか。「廊下は部屋全体の空気の通り道。ドアの開け閉めだけでも空気が循環しています。リビングに干す際は、部屋の隅ではなく、できるだけ中央に干すようにしましょう」。また、浴室乾燥機があればお風呂場に干すという手もあり。「お風呂場はこまめに掃除していても、どうしてもカビが生えやすい場所。壁などに繁殖したカビや菌が洗濯物に付着する可能性もありますので、干す際は壁に洗濯物が触れないようにするなど注意が必要です」

部屋干し対策③
洗濯は小分けにして

十分な間隔をあけて干すことが大事

ピンチを使う場合、中心に短いものや薄手のもの、外側に向かって徐々に長いものや厚手のものを干す“アーチ干し”を意識。

仕事と家事を両立している女性なら、家事の効率化を考えて、洗濯はまとめて一気に行う人も多いと思いますが、素早く乾かすためには少量ずつ干すことが大切。「一気に大量の洗濯物を干すと、室内の湿度は急上昇します。また、干したものが重なりあっていると乾きにくくなります。しっかり間隔をあけて空気の通りをよくするためには、洗濯物はためずにこまめに洗い、乾かすことがいちばんです」

パーカや厚手トップスは、逆さ向きにした“バンザイ干し”。乾きにくい袖の内側やフード部分が重ならず、空気が当たりやすくなります。

ピンチを使う際は、空気が通りやすい“アーチ干し”に。これだけで全体に空気が当たりやすくなり、乾かす時間の短縮になるそう。タオル類はUの字に折らず、伸ばした状態で干すのが◎。物干しざおにかけるときは、少し段差をつけるだけでも、乾いた空気が当たる面積が増えて乾きやすくなります。均等にかけてしまうと内側に空気が入りにくくなり、生乾きの原因に。干し方を少し工夫するだけでも、乾く時間は短縮することができるんだとか。

部屋干し対策④
乾燥機を使う際には
洗濯容量の半分程度に収めること

乾燥機を使って乾燥時間を短縮するのももちろん効果的。「使用する際には乾燥容量を守ることが大事です。例えば洗濯容量が8キロの場合、乾燥機を使う際はその半分の4キロくらいが乾燥容量の目安となります」。洗濯機と同じ容量で今まで乾燥機を使ってた人は……「乾燥機内がパンパンだと洗濯物の全ての面に暖かい空気が触れず、実はなかなか乾かないんです。生乾きのまま乾燥機に放置すると、菌の増殖にもつながるので要注意です」。少ない量をパラパラと散らすように回すことで、確実に乾いた空気が全体に触れ、乾燥時間の短縮につながります。「乾燥機である程度乾かしてから室内に干すのもおすすめです」

おまけ
コインランドリーを活用すれば
殺菌もできて仕上がりもふかふか

松延さんがプロデュースするコインランドリー「フレディ レック・ウォッシュサロン トーキョー」。お客のほとんどが30〜40代の女性。

意外にも梅雨時よりも衣類が乾きにくい冬場や秋口のほうが、コインランドリーを使用するお客さんは多いのだとか。「昔は単身の男性が使うイメージでしたが、最近ではほとんどが働く女性。仕事が忙しく干す時間がないという方が活用されています」。その理由は、家庭にはなかなかないガス乾燥機で温度が70〜80℃まで上がるため、自宅での洗濯の2回分くらいが30〜40分ほどで乾燥できるから。「高温のガス乾燥機なら、モラクセラ菌をはじめ、ほとんどの菌やダニまで死滅させることができるので、時間短縮だけでなく衛星面でもメリットがあります」。働く女性は思いきって週末だけコインランドリーを利用するなど、上手に活用するのもいいですね。

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仕事が忙しくて洗濯する時間がない、天候が不安定でなかなか外に干せない。そんな悩みを抱えている人に追い打ちをかける嫌な生乾き臭。しかし、コツをおさえておけば、そんな臭いとは無縁の快適な部屋干しが実現できます。どれもちょっとした工夫でできることばかりですので、今すぐ実践して家事のストレスを軽減しましょう!

(撮影/石田純子)

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