re:sumica

プロの忠告。普通の人は「プロテイン」サプリを利用する必要なし!?

「筋トレをすると筋肉の線維が破壊され、それが修復されることで筋肉量は増えていきます。タンパク質は筋肉を作る材料なんです。年齢が高くなると、タンパク質から筋肉を合成する機能は下がってくるので、筋肉量を低下させないためには、タンパク質の摂取量を増やす必要があります」(フィジカルトレーナー 中野ジェームズ修一さん・以下同)。ということは、やっぱりプロテインをとることは健康にいいということなのでしょうか?

目次

よっぽどのアスリート以外は
通常の食事からのタンパク質摂取で十分。

プロテインは英語でタンパク質を意味し、意識髙い系女子の間で、朝食やランチ代わり、運動の後に粉状のプロテインパウダーやシェイクを飲んでいるという話を最近耳にすることが増えました。1995年をピークに、日本人のタンパク質摂取量が低下し、目標基準に達していないのは事実(参照「免疫力にも影響が⁉ 日本人は「タンパク質」が足りていないって本当?」)ですが、1日に必要なタンパク質は、体重1㎏あたり0.8~1.2gだとされていて、アスリートなどかなりハードな運動をする人でも体重1㎏あたり1.8~2.0gなんだとか。「タンパク質の摂取が重要という話をすると、プロテインサプリで補うのはどうかと聞かれます。結論から言うと、ジムで多少トレーニングしたり、ジョギングする程度なら特別にタンパク質だけを補う必要はありません。一般的な必要量のタンパク質を食事でとるだけで十分です」

お話を伺ったのは、多くのトップアスリートや青山学院大学駅伝部チームのフィジカル強化指導も担当するフィジカルトレーナーの第一人者、中野ジェームズ修一さん。都内で会員制パーソナルトレーニング施設の技術責任者も務めています。

プロテインを飲むのではなく、食事から
バランスよくタンパク質をとるのが理想的

体重や食べ過ぎを気にしている人には、肉や魚などの食品ではなくタンパク質をサプリメントで補おうという人もいます。ただ、日本人のタンパク質が足りないといっても、不足分は1日10gから30g程度。その程度であれば、プロテインサプリよりも普段の食事に気をつけるほうが健康的です。「野菜はヘルシー、肉は不健康だということはなく、重要なのはバランスです。私は毎日14品目を目指しています。例えば、朝食に白米、みそ汁、卵料理。昼食はペペロンチーノ。夜食は肉、サラダを食べるとします。厚生労働省では1日67g~103gのタンパク質をとることを推奨していますが、この数値には体重や運動量、活動量の個人差は考慮されていません。自分の体重に見合った量を計算するには、体重1kgあたり0.8~1.2gなので、ご自身の体重に1g(体重52㎏なら、52×1g)をかけた値が目安の摂取量だと思ってください。朝と晩にこのような典型的な食事をすると1回あたり約20gのタンパク質を摂取することができるので、40gのタンパク質をとることができます。しかしランチで食べたペペロンチーノはタンパク質が十分にとれないので、ここをプロテインで補うという考えもありますが、私は特にプロテインに頼る必要がないと思っています」。プロテインじゃなくても、カルシウムなどのミネラルやビタミンB群も豊富に含まれている牛乳200cc(1杯分)、卵1個のタンパク質量は共に6gくらいなので足りないときはプラスすればいいとのこと。

運動後24時間以内に高タンパクな食事を
とるだけで筋肉はしっかりと育ちます!

筋トレ後30分から1時間半後くらいが筋肉のためのゴールデンタイムと言われていますが、実はこだわらなくてもOKなんだとか。「最近の研究では運動後24時間以内に高タンパクな食事をすれば充分だとされています。限界までトレーニングをするアスリートの場合は、トレーニング後プロテインを飲んでも問題はないのですが、ジムや自宅で体を動かす程度なのにサプリメントでタンパク質を過剰摂取してしまうと、カロリーオーバーになってしまう可能性もあります。また、過剰に摂取し余ったタンパク質は分解され窒素になります。体内の分解過程で必要なくなった窒素はアンモニアに変わり、肝臓で変換され腎臓で尿として排出されます。その分解能力が低い人は肝臓や腎臓にかかる負担が普段よりも大きくなる可能性があり、内蔵疲労を引き起こしてしまう場合も人によってはあります」。トレーニングしていて心地よい疲れではなくだるさを感じたら、タンパク質の取り過ぎが原因の場合があるということです。「プロテインサプリを飲めば筋肉がつくと勘違いをしている方も多いようですが、サプリは筋トレをした後の筋肉の修復を助けるものです。ソイプロテインは細い筋肉、ホエイプロテインは太い筋肉を作ると思っている人もいますが、乳糖不耐症で乳製品由来のホエイプロテインが苦手という人なら、大豆由来のソイプロテインに切り替えるほうがいいという選択肢の問題だけですよ」。

・・・・・・

タンパク質は筋肉だけでなく、皮膚、髪の毛、爪、骨、内蔵、そしてホルモンなどの材料になる重要な栄養素。「必要最低限のタンパク質を意識した食事は、筋力アップにつながり、太らない体質を作ってくれますよ!」。年齢を重ねたとき、見た目の若々しさや健康的な体形維持のためにも、バランスのとれた食生活でタンパク質量をしっかりとっていきましょう。

モバイルバージョンを終了