ご主人がタイに駐在していた2年間、バンコクにあるタイ料理専門学校を皮切りに、より洗練されたタイ料理を学ぶため、マンダリン・オリエンタル・バンコク(五つ星ホテル)の料理教室にも通い、本格タイ料理の技を取得したみもっとさん。「器は主人がタイに赴任していたときに買ってきたものがほとんどです。この冬は20日間ほどチェンマイへ料理修業に行ってきたので、市場や雑貨屋、釜元を巡って何枚か調達してきました! タイには市場で売っているようなメラミン製の器から伝統的な焼きものまでいろいろな器があります。それぞれに魅力があるので、なかなかひとつのジャンルに絞れず、チープなものからそれなりに値の張るものまで、ひと目惚れしたものをコツコツ買い集めています」。タイで購入した器のコレクションと併せて、料理の盛り付け実例も見ていきましょう!
目次
食卓のアクセントになる
タイの定番、鮮やかな花柄皿
タイの食器と言えば、ホーロー皿が代表的。リーズナブルで割れにくいため、現地の屋台や食堂、一般家庭でよく使われています。「チェンマイの市場で見つけた花柄の平皿です。柄違い、サイズ違いでたくさん購入してきました。多少雑に使っても平気な、気兼ねなく使える点がホーロー皿のいいところ。シンプルな料理も、盛り付けるだけでパッと華やぐポップな色使いがいいですよね」。タイ料理はもちろん、山菜の天ぷら、冷ややっこなどシンプルな和食にも意外とマッチする器は、家庭料理を合わせて色のコントラストを楽しんでいるそうです。
◆賄いの炒め物や山菜の天ぷらも楽し気
なんとなく懐かしさを感じる
絵付けが楽しいデッドストック
初めて立ち寄ったチェンマイのアンティーク市場で購入したデッドストックのホーロー平皿。「日本人好みの落ち着いた色合いで、見た瞬間に『欲しい!』と思い、大小2サイズをそれぞれ数枚ずつ購入してきました」。色も柄も控えめな器は、料理のジャンルを選ばないので賄い皿として使うことが多いんだとか。「ホーロー皿は軽いし割れないのが一番の魅力。仕事で疲れているときなど、キッチンにあるものでパパッと作る賄い料理を盛り付けるのに重宝しています」。また、デッドストックならではの風合いを生かして、ホームパーティで使うこともあるそう。「ちょっとした料理も、ただならぬ存在感(笑)が増すので手放せないお皿です」
◆簡単に作った料理もワクワク見せる
不思議な力を持つホーロー皿
華美な装飾を控えめにリクエスト!
日本の食卓にもよく合うベンジャロン焼き
タイを代表する焼きものといえば「ベンジャロン焼き」。花や草などをモチーフにした繊細な模様に金彩をあしらった豪華な作風が特徴です。「現地の工房に行き自分好みの色や柄をオーダーしてきたんです。金色を加えてゴージャスに仕上げるのが一般的ですが、普段の食卓で使うにはちょっと派手すぎるかなぁと思い、あえて金色は使わずに黄色、水色、青色の3色展開のシンプルなものをオーダーしました。柄はさまざまな植物柄のなかから日本人にも親しみのある菊柄をチョイス」。12㎝ほどの小皿なので、ひと口サイズのおつまみやおかず、デザートを盛り付けるのにも便利なんだとか。
◆タイを代表する「ベンジャロン焼き」には
あえて日本食を合わせます
どんな料理も上品に見せてくれる
高級ホテル御用達・ボーンチャイナの平皿
実際にマンダリン・オリエンタル・バンコクでも使われているボーンチャイナの平皿。ちなみにボーンチャイナとは、原料に牛の骨灰(ボーンアッシュ)を含ませた磁器のことで、18世紀のイギリスで誕生し、今でもタイでは高級な器として扱われています。「葉をモチーフにした柄、金色の装飾がタイの高級レストランを彷彿させる器です」。和洋折衷、どんな料理も品よく見せてくれる優れもの。「丸いプレートが多いので、テーブルを引き締めたいときに、スクエア形のこのプレートは重宝しています。サラダに使うことが多いですが、柄の内側に盛り付けることで料理が引き立ち、定番料理もおいしく見えるから不思議です」
◆テーブルコーディネートが引き締まる
スクエア型のプレート
お手製のタイ風ディップは
繊細なセラドン焼きの小鉢で
お洒落に盛り付ける
以前、チェンマイに料理修業に行った際、ひと目惚れして購入したもの。「タイ北部に伝わる青磁器『セラドン焼き』の表面に絵付けを施した小鉢で、有名な作家さんが手がけたものなんです。通常は高くて手が届きませんが、1カ所欠けているところがあってB級品として売られていて、これは運命だ!と思い、大事に日本に持って帰ってきました(笑)」。本国タイではスープを入れたり、ごはん茶碗として使うことが多いようですが、みもっとさんはお手製ディップ・ナムプリック(タイ風のディップ)などを入れるのに使っているそうです。
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現在は東京・目黒でタイ料理教室を主宰しているみもっとさん。本場の味を楽しくおいしく学べる教室は男女問わず人気で、今では全国各地から出張料理教室のオファーがあるほどです。料理教室やケータリングなどの仕事があるので、普段は自身の料理スタジオにいることがほとんどで、食事は試作料理で済ませることも多いそう。「毎日慌ただしく過ぎていきますが、タイ時代の思い出の詰まった器に料理を盛り、食事をする。ちょっとしたことですが、私にとってのリラックスタイムなんです。これからも大好きなタイに行く機会があったら、お気に入りの器を見つけて日本に連れて帰ってきたいと思います」
(撮影/石田純子)