夏野菜は、夏に感じる不調(夏バテ)を改善する栄養素が含まれています。一言で“夏バテ”と言っても「暑さによる“食欲不振”、寝苦しい夜が続いての“睡眠不足”、紫外線ダメージによる“肌さび”、夏が起因となる“冷え”や“むくみ”など症状もいろいろ」(渋谷DSクリニック管理栄養士の榎田彩加さん・以下同)。食欲が落ちるこの季節、夏野菜に含まれている栄養素とその効果を学んでしっかり体調管理しましょう!
目次
夏野菜①
紫外線ダメージによる“肌さび”に効果的!
リコピン豊富な「トマト」で美肌を整える
「トマトの赤色はリコピンという強い抗酸化作用のある色素によるもので、この「抗酸化作用」が“肌さび”予防に効果的だと言われています」。肌さびとは、細胞がエネルギーを発生する過程で生じる“活性酸素”が、生命活動の主役であるタンパク質やDNAにダメージを与え、その働きを低下させることで老化現象(シミ・しわなど)を引き起こすこと。「活性酸素が増える主な原因のひとつが“紫外線”です。肌さびに効果的なリコピンは、“肌を整える”成分とも言われているので積極的にトマトを摂取して、夏でも酸化しづらい体を目指してください」。
夏野菜②
「ピーマン」のビタミンCとβカロテンは
“疲労回復”や“夏かぜ予防”などに期待
ビタミンCとβカロテンが豊富なピーマンには、「血液をサラサラにする香り成分“ピラジン”による血栓予防などの健康効果もあります。ピーマンに含まれるビタミンCは大ぶりのピーマン1個だとレモン1個分にもなります。また加熱調理しても損なわれることが少ないことも特徴です」。ビタミンCには活性酸素の発生を予防する力がありますし、風邪や夏バテの予防、疲労回復、さらには美白にも◎。「一般的にビタミンCは熱に壊れやすい性質ですが、ピーマンの場合は果肉が厚く、加熱しても壊れにくいのが優秀。また、ピーマンに含まれた抗酸化作用、免疫力アップに効果のあるβ-カロテンは脂溶性なので、油で調理するとカロテンの吸収率が高まり元気に夏を乗り切れる助けに」。ピーマンは生で食べると独特の苦味がありますが、加熱してもビタミンCを摂取できるので、火を通して甘さを引き出して食べるのもおすすめです。
夏野菜③
“パワー不足”を感じたら食べると吉!
アルコールの代謝も助ける「枝豆」
「枝豆は、疲労回復効果が期待できるビタミンB郡、パワーの源になるタンパク質、おなかの調子を整える食物繊維、カルシウムや鉄分などいろいろな栄養素がとれる万能野菜です。糖質、タンパク質、脂質も含むので、一回に食べる量は小鉢一杯分を目途にしてください。上質なタンパク質がとれる食材ですが、糖質もあるので食べ過ぎによるカロリーオーバーにはご注意くださいね」。また、メチオニンというアルコールの分解を促進する成分も含まれているので、“ビールのおつまみに枝豆”という組み合わせは、実は肝臓への負担を和らげるバッチリな組み合わせ!
夏野菜④
塩分過多による“むくみ”を改善!
「キュウリ」で効果的に水分補給が◎
キュウリは水分代謝を整えるカリウムが多い点に注目。「BBQや外食など塩分が多い食事が続いたときにキュウリを食べると、カリウムの働きが過剰な塩分を排出しむくみ予防や高血圧防止にもつながります」。カリウムには利尿作用があり、体内の水分量を調節し、むくみ予防にも効きめがあると言われています。「生で食べやすいキュウリは、カリウム以外にもビタミンCや食物繊維、β-カロテンも摂取できます」
夏野菜⑤
夏バテによる“胃腸の疲れ”にいい
消化機能を助ける「オクラ」
「オクラのネバネバ&ヌルヌルした正体は、“ムチン”という糖質とタンパク質の複合体です」。このネバネバが胃の粘膜を守ったり、消化機能を助ける働きがあるそう。「夏場は冷たいもので胃腸が疲れてくる人も多いので、オクラを入れた雑炊などで胃腸を休めるのもいいでしょう。また、血圧を健康に保ってくれるカリウムも含まれているので、血圧が高めの方にもおすすめしたい野菜です」。これ以外にもオクラには皮膚の健康を維持するβ-カロテンなども豊富。最近は冷凍食品でも刻んだオクラが売っているので、料理に取り入れやすい食材としても認知されるようになりましたね。
〈おまけ〉
管理栄養士おすすめ夏バテ解消レシピ!
包丁も火も使わない「簡単ミネストローネ」
〈作り方〉
①大きめの耐熱容器に、ドライバジル以外の材料を全部入れ、混ぜ合わせる
②ふたをせずに、電子レンジ(500〜600w)で約12分加熱する
③加熱が終わったら全体を混ぜ、ドライバジルをかける
料理が苦手な人にも嬉しい、缶詰と冷凍食品&加工食品のミネストローネ。「このレシピは、火を使わずにレンチンで簡単にできる栄養満点のミネストローネスープです。そして包丁も使いません! 加熱してもリコピンが摂取できるトマトは、トマト缶でも十分な栄養はとれますし、ビタミンCが豊富なブロッコリーはレンジで調理することで、栄養素の損失を防げます。そのまま調理できて便利です」。大豆の変わりに枝豆を入れタンパク質を摂取するのも◎。暑い時期は糖質ばかりの食事になりがちなので、簡単スープでしっかり栄養面もカバーするのが大事。
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実家が農家を営んでいるので私にとって野菜は身近ですが、今回改めて栄養面の高さを知ることができました。
●暑い時期に不足しがちな栄養素が詰まっている
●野菜が強い日差しから身を守ろうとすることで栄養成分が増す
などおいしいだけじゃない夏野菜の凄さを教えていただき、この夏は、野菜料理のレパートリーを増やしていきたいなと思います。