イギリスでも、ホリデーシーズンと呼ばれるクリスマス前後は、連日ごちそうが並び、食べ疲れが生じるタイミング。私はイギリスで12年ほど料理家として活動していますが、イギリス人になじみがあってさっぱり食べられるデザートを…と思って目をつけた食材がレッドキドニービーンズ。日本語でいうと赤インゲン豆のことですが、イギリス含めヨーロッパ諸国ではポピュラーな豆で、代表的な調理例としては、チリコンカーンがよく知られています。親しみ度でいうと日本の大豆的立ち位置でしょうか。そんなキドニービーンズを軸にするので、どうせならお正月明けの疲れた胃に優しものをということで、全て植物性食品でヘルシーさを追求してみました。
煮る、混ぜる、注ぐで完成。
簡単なのに洒落た見栄えのアガーゼリー
甘味は豆乳と黒糖、ゼリー作りに必須の凝固剤は、動物性のゼラチンではなく植物性で寒天よりも早く固まるアガーパウダーを使うことに。黒糖と豆のコンビネーションは一気に和の佇まいになるので、日本のみなさんにもぜひ食べていただきたいゼリーです。
【作り方】
①鍋に水気を切ったキドニービーンズと砂糖を入れ火にかける。砂糖が溶けてひと煮立ちしたら火からおろし、シロップごと容器に移し粗熱が取れたら器に盛り付ける。
②別の鍋に黒糖とアガーパウダーを入れ、泡だて器でよく混ぜる。さらに豆乳を加えながら黒糖、アガーパウダーを溶かす。
③沸騰直前まで温めたら、キドニービーンズを敷きつめたグラスに豆乳液をそっと注ぐ。
④ゼリーが固まったらキドニービーンズと刻みナッツをのせて完成。
ガラスの器に盛り付けると見た目も爽やか。動物性特有の匂いが苦手という人も、アガーゼリーなら癖もなく食べやすいと思います。また、キドニービーンズのしっかりした食感と豆乳と黒糖の優しい甘味が絶妙にマッチし、お正月バテした胃にぴったりです。男性やお年寄りにも人気です。
成功の秘訣は
「アガー」の扱いをマスターすること
アガーは植物性の凝固剤でヴィーガンやヘルシー志向の人からも注目されていますが、調理する上で気をつけておきたいことがいくつか。アガーの性質を知っておけば失敗することなく調理できますよ。
・液体と混ぜるとダマになる
アガーパウダーを使う際は、砂糖などの粉物と一緒に混ぜておきましょう。その上で液体を混ぜればダマになることはありません。
・およそ90℃で溶ける
よくアガーが固まらないという声を聞きますが、それはアガーを加えた液体を90℃に達する前に火からおろしてしまうから。アガーの融点はおよそ90℃。水は100℃で沸騰するので、感覚値としては沸騰直前を目安に考えてみてくださいね。
・固まる温度はおよそ30℃
逆にアガーが固まるのは30℃。冬なら冷蔵庫に入れなくても固まります。これはゼラチンや寒天よりはるかに早いのですぐに完成するのはいいのですが、素早く作業しないと鍋の中で固まっちゃったということにもなりかねないので注意してくださいね。
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調理時間もおよそ20分と短く、行程もシンプルなので、さっと作れるところも魅力のアガーゼリー。お正月バテした胃に優しく染み渡ることでしょう。見た目も洒落ているので、ぜひお試しください。