皆さんはスパイスとハーブはどう違うのかご存じですか? 厳密な定義はないようですが、植物の使われる部位によって分類されることが多いとか。「ハーブは植物の葉や花の部分が主。単純に料理に緑色がプラスされると、見た目にも美しくおいしそうな印象を与えます。大きな役割としては料理に良い香りをつけたり、逆に嫌な匂いを和らげること。味わいに奥行きを出し、プロっぽく仕上げるために大切なのが香りです。その大切な香りをコントロールして料理をブラッシュアップできるので、ぜひハーブを取り入れてみてほしいです」(エスビー食品株式会社 スパイス&ハーブマスター 遠藤由美さん 以下同)
そんなハーブは、新鮮な香りと色合いが魅力のフレッシュ(生)と保存がきき手軽に使えるドライ(乾燥)に分けることができます。「フレッシュも新鮮でおいしいですが、時期を選ぶし余ったときの扱いに困るもの。その分ドライは必要なときに使いたい分だけ出せて便利です。また水分を飛ばして凝縮しているぶん、ドライのほうがフレッシュに比べて香りが3倍近く強いんです。逆に言うと、フレッシュを使うならドライの3倍の量は必要ということです」。
料理や食材に合わせて考える
おすすめハーブはこれ!
◆「バジルとオレガノ」◆
宅配ピザを本格的な味にしてくれる
清涼感ある香りが魅力
トマトの風味と相性の良いバジルとオレガノは、イタリア料理をリッチな味わいにしてくれます。「バジルはすっきりした強い香りで、オレガノは清潔感のある香り。例えばパスタソースを作るとき、トマト缶を入れて煮込む際に小さじ1/2程度を加えるとレストランのような本格的な味になります。また、宅配ピザの上に振りかけるだけでも香りが立って確実にランクアップ。さりげない香りなので、から揚げにまぶしたり、卵焼きに混ぜたりとさまざまな料理に使えるのであると重宝します」
◆「ローレル」◆
乳製品と相性よし。ホットミルクが
抜群においしくなるのでぜひお試しを!
「ローレルは乳製品との相性もよく、牛乳の独特な臭みを消してまろやかな風味にしてくれるので、チーズリゾットやバターライスを作る際にも重宝します。ローレルを入れる際は、葉っぱに傷をつけるのがポイント。ハーブやスパイスの香りの元となるのは、精油という揮発性の成分。葉を傷つけることで、鮮烈な芳香を発生させるんです。ローレルも、料理に加える前にちぎったり切り込みを入れたりすると香りがより引き立ちます。ちなみに弊社内のマスターたちに人気なのがローレルとホットミルクの組み合わせ。臭みが消えるので、牛乳が苦手だという方も飲みやすいと思います。これにハチミツを加えてもおいしいです」
◆「ローズマリー」◆
淡白な鶏肉のアクセントにも
ラム肉など癖のある匂い消しにも◎
「淡泊な料理のアクセントとしておすすめしたいのがローズマリーです。すっとした強い香りが印象的ですが、よく嗅ぐと奥に甘い香りも存在し、これが鶏肉の淡泊さの良いアクセントになるんです。これからクリスマスが控えていますが、スーパーに売っている丸鶏にローズマリーとニンニクを入れて焼くだけで、臭みがなくなり手軽においしいメイン料理が完成しますよ。ジャガイモやマッシュルームなどあっさりした野菜を炒める際に入れてもおいしいので、ぜひお試しください。逆に、この強い香りはラム肉や青魚など匂いの強い食材との相性も◎。この場合は臭みを軽減し、爽やかにまとめてくれます」
◆「タイム」◆
生臭さを消す、すがすがしい香りは
魚料理の王道ハーブ
独特のすがすがしい芳香があるタイム。魚の香草焼きやムニエルなどに使われ、魚との相性の良さから“魚のハーブ”と呼ばれることも。「私はツナサンドを作るときによく使います。ツナ、玉ネギ、マヨネーズのサンドイッチにタイムを入れると生臭さも消え、爽やかな風味がプラスされて食べやすくなります。大人の方におすすめの食べ方ですね。魚料理に使われることが多いタイムですが、肉やトマト、煮込み料理とも相性は良いですよ」
料理初心者でも安心して使えるのは
ハーブが調合された「マジックソルト」
魅力的なスパイスやハーブがたくさんあるけど、自ら選んで調理に使うのはハードルが高い。そんな方にはあらかじめハーブが調合されたマジックソルトがおすすめ。「岩塩にハーブやトマトパウダーなどを加えたマジックソルトは、料理にひと振りするだけで風味が強調されます。ハーブやスパイスだけで料理ができあがることはありませんが、マジックソルトなら、これ1本で味付けまで完結するので料理初心者や時短したいときにぴったり。炒め物や下味をつけるのはもちろん、ビネガーと混ぜるとドレッシングも作れますよ。ちなみにフレッシュハーブであれば初心者の方にはベビーリーフをお勧めします。複数の野菜やハーブの幼葉がバランスよくミックスされています。葉の形や彩りが豊かで、柔らかな食感が特徴。ベビーリーフサラダとしてたっぷり召し上がるのもおすすめですし、料理のトッピングとして少量盛り付けていただくのもいいですよ」
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ちなみに、スパイスやハーブに関する知識習得度をはかるものとして「スパイス&ハーブ検定」があり、スパイスやハーブの使い方、豆知識などが幅広く身につきます。エスビー食品は、スパイス&ハーブの魅力を伝える活動のひとつとして、検定の公式テキスト「スパイス&ハーブの使いこなし事典」の制作にも携わっているそう。奥の深いスパイス&ハーブの世界、おうち時間が増えた今、勉強してみるのも楽しそうですよ。