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「捨てる」と「整理整頓」は別の能力
大掃除のたびにゴミ袋をいくつも捨てているのに、一向に部屋が片付かないという人は、そもそも捨てる=片付けると勘違いしているのかも。「物を捨てれば、そこに空いたスペースができるので『片付いた』ことになると思うかもしれませんが、物を捨てても整理整頓ができなければ、部屋は雑然としたままです。まずは、ものを捨てることと整理して収納することは別の能力だということを知っておきましょう。それぞれ使う脳の場所が全く異なるのです」(脳の学校 代表 加藤俊徳先生 以下同)
片付けられない人は捨てることから始める
整理や収納も完璧で物も捨てられるAタイプ、なかなか捨てられず物は多いけれど、整理や収納が得意なBタイプ、物を捨てるのは得意だけれども、部屋は雑然としているCタイプ、片付けも下手で物も捨てられないDタイプと4パターンに分けられると加藤先生。「Aタイプは、当然何の問題もありません。Bタイプは、本人的には問題ありませんが、周囲には迷惑をかける場合も。Cタイプは、物を捨てることに抵抗はないものの、片付けやインテリアに無頓着という人が多いです。そしてDタイプが、いわゆる世間で言う『片付けられない人』。整理整頓も捨てることも共に行動が伴いますが、何より優先すべきは意思決定です。そう考えると、思考・感情・伝達・記憶をつかさどる脳が関係している『捨てる』ことから始めるのがきれいな家への第一歩と言えます」
物が捨てられないのは記憶が関係
物が捨てられないのには、理由が2点あります。「ひとつめは過去の特定の記憶や出来事に固執をしてしまうから。人は、物を見ると、脳の記憶の分野が刺激されて過去の記憶がよみがえります。例えば、過去のアルバムを見て、過去の記憶が思い出されますが、アルバムを捨ててしまえば、過去の記憶を思い出す手段がなくなります。思い出も消えるという喪失感からものを捨てることができなくなるのです。逆に記憶力がいい人は、物がなくても思い出すことができる上に、捨てた物も覚えているので、認知症にもなりにくいですね。ふたつめの理由は思考力の問題。捨てるときには思考力が必要です。なぜなら物を捨てるときには、捨てるものと捨てないものを比較し、さらに判断して決定しないといけません。それができない人は、思考力が弱いとも言えます。物を買うときも、必要か必要でないかを判断せずに、『あ、ほしい』という感情で買ってしまい、そもそも物が増えがちです。さらに言うとBタイプには、捨てたい物が見つからないという人もいます。こういう人は、脳の視覚系の力が弱い可能性もあります。不要な物がそこにあるのに、それが不要だと見えていないのです。こういうタイプの人は、物を見えないところにいったん保管し、しばらく時間を空けるとそれが不要だということに気がつき、捨てることができるでしょう」
整理整頓ができない人は状況判断が苦手!?
物を捨てられない人に対し整理整頓が苦手な人は、情報を処理するスピードや質に問題がある可能性が。「整理整頓する際に必要なのは空間にある物量がどれぐらいで、どの場所に収めればいいのかを視覚・理解系の脳番地を使った上で運動系脳と連携し行動に移さなければなりません。しかしながらこれが苦手な人の多くは、思考・理解系が弱いので、目で見た状況(物量)を的確に把握できないのです。空間認知能力が低い人も多いです。さらには運動系との連携もスムーズではないので、状況判断ができないことで面倒になってしまい、整理整頓するという行動に結びつかないのです。こういうタイプの人は、なるべく狭い範囲の整理整頓から始めるのがいいです。例えばクローゼットを整頓するにしても、衣類収納の全体に着手するのではなく、今日はハンガー掛けのもの、今日は衣装ケースなどと細かく分けていくと状況判断の質も上がり、なおかつ一度に整頓する量も少ないので、面倒と感じにくく、行動にも移しやすくなります」
〈おまけ〉
女性はそもそも整頓下手?
捨てる力、整理整頓力には性差が
捨てる、片付ける能力には男性と女性という性差も関係しているそう。「よく脳のことを男性脳、女性脳と言って性差で判断したりしますが、確かに男女によって脳の得意分野には傾向があります。終わった恋愛に関する記憶を、男性は新規保存して、女性は上書き保存するなどとよく表現されますが、男性のほうが過去に執着します。ですから、物も過去にひもづいているので男性は捨てるのが苦手なのです。女性は逆に、物を捨てるのは得意ですが、脳の視覚系の分野が弱いために片付けが苦手な人が多いです。視覚系を鍛えるためには、一度引き出しやクローゼットの中のものを出してみましょう。意外に不要なものが多いことに気が付くはずです。また、女性は捨てるのが得意とはいえ、年齢とともに物が増え、部屋が物で溢れてしまう人もいるでしょう。これは加齢により思考力が低下しているということです。何が必要で何が不要かを見えやすくするためTO DOリストを書く、模様替え後の部屋の家具の配置を図面にするなど、いったんアウトプットしてみてください。また、日頃から『朝食はパンかごはんか』『コンビニに立ち寄る、立ち寄らない』など、自分自身で意思決定をしていることを意識するのも大切。これだけでも脳は鍛えられますよ」
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