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生地が変色、白くならない。「漂白剤のトラブル」これが原因かも!

臭いの原因となる雑菌対策や、食べこぼしの染み、シャツの襟や子供の泥汚れなどの頑固な汚れに、よく使われる漂白剤。「酸素系漂白剤」の普及によってより身近なものになりましたが、それでも何かと尽きないトラブルや不満。よくある悩みを挙げてみると

横浜でクリーニング店を営みつつ、洗濯への啓蒙活動をしている洗濯ブラザーズの茂木康之さんによれば、こういった相談が多いそう。「漂白剤はあくまでイチかバチかの最終兵器です(笑)。最近は何から何まで漂白剤を使う方も増えていますが、僕たちは本当の最終手段でしか使いません。なぜなら漂白剤はとても刺激が強く、繊維が傷んでしまうリスクがあるからです。適切な洗濯や乾燥の方法をとれば臭いは発生しませんし、染みや汚れもほとんどはプレウォッシュ(予洗い)によって落とすことができます」(洗濯ブラザーズ・茂木康之さん 以下同)。そうは言っても、その最終手段を使いたいことが多いのが、家庭での洗濯事情…。「塩素系漂白剤は使用法を間違えると毒ガスが発生しますし、手荒れの原因にもなります。使用するなら酸素系漂白剤をおすすめします」

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「洗濯表示記号」どれだけ読める⁉
トラブルを防ぐためには事前確認を

洋服のタグに記載されている洗濯表示記号。茂木さんによれば、洗濯表示を確認したことがなかった、見方が分からないという人は意外にも多いそうです。漂白剤の使用に関係する表示は3種類ありますが、それを理解していれば、事前に避けられるトラブルもあったはず。「この3種類の表示は、簡単にいうと生地の強さと色柄物かどうがで分類されています。綿、麻、合成繊維は生地が強いため比較的漂白剤が使えますが、生地がデリケートになればなるほど漂白剤は使えなくなり、また色が出やすいものは漂白剤は使用できません」。色落ちや色移りなど基本的なトラブルは、もしかすると洗濯表示の確認不足が原因かも⁉︎ 使用前に、よく確認する習慣を身につけましょう。

覚えておきたい
漂白剤にまつわる3個の表示

漂白に関する洗濯表示はこちらの3種類。中央の表示は酸素系漂白剤のみ使用可能という意味なので、覚えておきましょう!

よくあるトラブルの原因は?

生地の変色
すすぎ不足や放置しすぎの可能性が

白いシャツやタオルなどに漂白剤を使用したら、生地が黄ばんでしまったというトラブルはよくあること。「これは主に漂白剤のすすぎ不足が原因です。漂白剤は強力なアルカリ性なので、しっかり水ですすいで弱アルカリ性まで中和させなければなりません。強アルカリ性のまま天日干しなどをすると、繊維が『アルカリ焼け』を起こして黄ばみに変化してしまうんです」。すすぐ際は手荒れを防ぐためにも、手ではなく洗濯機でしっかり脱水してからすすぐようにしましょう。「別の原因としては漬け置きのしすぎも変色につながります。漬け置き時間の目安としては、お湯の温度が冷めるまでの1時間程度。10〜15分おきに生地が変色していないか確認するとより安心です」。また、安価なワイシャツなどは服の生地自体に蛍光増白剤が使用されていることも。この場合は洗濯や漂白を繰り返すたびに生地から蛍光増白剤が抜けて黄ばんで見えるそうなので、元の白さに戻すのは困難なのだそうです。

ピンクの変色
漂白剤ではなく水と洗剤が原因⁉︎

白いシャツやタオルがピンク色に変色したという経験はありませんか? 漂白剤が原因だと思っている方が多いですが、実は水と洗剤の関係が原因なのだそうです。「これはピンク現象といって、水に含まれた鉄分と洗剤が化学反応を起こすことによるトラブルです。雑菌によって変色することもありますが、ミネラル分が多い水質の地域では特に注意しましょう。合成洗剤のほうが化学反応を起こしにくいので、石けん系の洗剤は避け洗剤は適量を守るようにしてください」

臭いや汚れが落ちない
水温が低いと性能を発揮できないことも

せっかく漂白したのに臭いが残ってしまったり、思うように白くならなかったりと効果がいまいち感じられないこともあります。「これは漂白剤の使い方の問題です。基本的に漂白剤は、水温が低いとあまり効果が出ません。漬け置きをする際はウォッシュタブなどにお湯を張って使用しましょう。とは言ってもあまり高温だと生地が傷みやすいので、水温は40℃程度がおすすめです」。ちなみに、酸素系漂白剤を使って効果が出ないからといって、そのまま塩素系漂白剤を使うのは厳禁。 少しでも酸素が残っていると毒ガスが発生するので要注意です。

ゴムが伸びてしまった
漂白剤による素材劣化が原因

漂白剤につけたらゴムが伸びたり、生地が縮んだというトラブルは、漂白剤による素材の劣化が原因。「ゴムやウレタン、合皮などの素材はもともともって3年と言われているため、漂白剤のような強い薬品に触れると劣化して伸びてしまいます。靴下やベビー服、マスクのゴム程度ならそこまで劣化は気になりませんが、大切なお洋服であれば漂白剤は使用せず、デリケート洗い用の洗剤を使うのがおすすめです」

色柄物が落ちて薄くなった
そもそも漂白剤を使うこと自体が問題

「たとえ生地が丈夫でも、色柄物には漂白剤自体を使用しないほうがいいでしょう。部分的な汚れであれば、洗剤と水を1:1で混ぜた液をピンポイントでかけてプレウォッシュし、洗濯機のデリケートコースで洗えば落とすことができます」。ハードな汚れがついたものや大切な洋服であれば、クリーニングに出すなどしてプロに任せるのが正解のようです。

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洗濯ブラザーズ・茂木康之さんによれば、漂白剤は一瞬で汚れを消し去る魔法のようなもの。簡単な手段である反面、生地は確実にダメージを受け、傷みやゴワつきの原因となります。すぐに漂白剤に頼らず、まずは日々の洗濯方法の見直しをしてほしいとのこと。いざというときの最終手段として取り入れることで、トラブルなく上手に漂白剤を活用できるといいですね。

洗濯ブラザーズの著書

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