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「ローカーボ」と「低GI」はどう違う? ダイエットへの取り入れ方と注意点

ダイエットに興味があるなら、両方とも「糖質」と関係がありそうだということは知っていると思います。ただ、同じものではありません。間違えて覚えていると、せっかくダイエットをしても思ったような効果が出ないということもあるので、しっかり憶えておきましょう。

目次

糖質の量そのものを
制限するのが「ローカーボ」

ローカーボ(low-carbohydrate)は直訳すると「低炭水化物」ですが、一般的には炭水化物(糖質)を制限した食事を指します。どの程度糖質を制限するかはさまざまですが、一般社団法人 食・楽・健康協会が提唱する「ロカボ」は、1日の糖質の量を70~130g以内に収めることを推奨しています。一般的な食事の場合、1日に必要な炭水化物の量は250~325g程度のため、比較すると必要量の2分の1から5分の1程度にまで制限することとなります。(※)

血糖値の上昇を穏やかにする
食品の指標が「GI値」

低GI食品とは、GI値の低い食品を指します。GI値(参照:シドニー大学 Glycemic Index )とは、食後の血糖値の上がり方を示した指標で、GI値が低いほど食後の血糖値の上昇がゆるやかになります。例えば、白米より雑穀米、チョコレートよりピーナッツのほうがGI値が低くなります。食後の血糖値の上昇がゆるやかだと何がいいのかというと、それは血糖値を下げるインスリンというホルモンと関係しています。インスリンは血糖値を下げると同時に脂肪を合成する働きを持っています。そのため、食後に急激に血糖値が上がるとインスリンが過剰分泌され、体に脂肪を蓄えようとしてしまうのです。低GIの食品を選ぶことでインスリンの過剰分泌からの脂肪合成→肥満を防ぎ、さらには将来的な糖尿病の予防にもつながります。

どちらもダイエットや、血糖コントロールを目的として取り入れられていますが、全く異なるものだということは分かりましたか?

ローカーボと低GI、どっちがいい?

効果は大きいけどリスクもある
「ローカーボダイエット」

ローカーボは、1日のエネルギー源の大半を占める炭水化物(糖質)を制限するため、ダイエット効果が得られやすいのが特徴です。また糖質を制限すれば、他のものはたっぷり食べてもOKというものなので、取り組みやすく感じる方も多いでしょう。さらに最近では、食品に「低糖質」などと書かれているものも多く、食品選びも比較的簡単です。ただ、デメリットもあり、急激な体重減少による筋肉量の低下や、体臭が出やすくなる、脳のエネルギー源が不足して集中力が低下するなどが考えられます。また主食や嗜好品がもともと好きだった方にとって、一生続けられる食事法とは言いがたく、長続きしにくくリバウンドしてしまいやすいことも挙げられます。

効果が表れるまで時間がかかるけど
長続きして健康的な「低GIダイエット」

低GI食品を取り入れる方法は、血糖コントロールに着目した方法で、糖質の量やカロリーを減らすわけではないのでローカーボと比べるとダイエットの即効性は期待できません。しかし長期的にみると、太りにくい習慣を身に付けられることや、糖尿病予防が期待できるため、健康的な方法といえます。また低GI食品のほうが、高GI食品に比べると食物繊維が豊富なことが多いため、食物繊維による便秘解消効果も期待できます。さらには血糖値が穏やかに上昇することで満腹感が持続しやすく、食べすぎ防止にもつながります。

それぞれにメリット、デメリットがありますが、取り組む前に「自分に合っているか?」「まず見直すべき悪習慣はないか?」を考えてみることをおすすめします。

意外と分かりにくいのが低GIの食品

ローカーボは糖質が少ない食品で、低GI食品は血糖値を上げにくい食品です。低GI食品にも低糖質のものも多いですが、必ずしもイコールではありません。代表的な食品は以下の通りです。

実はGI値が発表されている食品は多くありません。それは、食品のGI値を調べるには、一定の条件を満たした血糖値の研究が必要であるからです。このため、低GI食品を「分かりにくい」と感じる方も多く、明解なローカーボが普及しているのでしょう。

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ローカーボ、低GI食品はそれぞれのメリット・デメリットがあります。管理栄養士である筆者としては、ローカーボや低GI食品にこだわりすぎず、両方のよいところをそれぞれ取り入れるとダイエットにも健康にもよいのではないかと考えます。例えば、炭水化物の多い食品を食べる前に、レタスやトマトなど生野菜がたっぷり入ったサラダや、野菜たっぷりのけんちん汁やコンソメスープ、ミネストローネなどを食べることで、血糖値の上昇をゆるやかにすることができます。低GI食品ばかりを選ばなくても、食べる順番で血糖コントロールは可能です。またカサのある野菜を先に食べることで満腹感が出やすく、糖質の多い食品の食べすぎを防げます。結果的に糖質の摂取量を抑えることができ、糖質の過剰摂取を防げます。他にも、主食だけ雑穀米や玄米などのGI値が低い食品を選んだり、食べすぎが続いた後にローカーボ食品を取り入れるようにしたりするのもいいでしょう。

ダイエットや健康のための食事は、自分が取り組みやすく、ゆるく長く続けられる方法を見つけるのが一番です。ストレスなく、無理なく続けられる方法を見つけましょう。

※日本人の食事摂取基準(2020年版)をもとに、1日の必要エネルギー量が2000kcalの場合で計算しています。
炭水化物は、糖質+食物繊維の量です。炭水化物と糖質の厳密な比較はできませんが、ここではイメージとしてお伝えしています。

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