イギリスには「バカ」という残念な名前を付けられたデザートがあります。英語で愚か者、バカを意味する「Fool」という呼び名です。どんなものかというと、煮た果物をつぶしてクリームとヨーグルトと一緒に盛り付けたもの。例えるなら、パフェをもっとシンプルにヘルシーにしたようなものです。イギリスでは15世紀頃から家庭料理に登場していたほど歴史は古く、そして今もなお愛されているイギリス家庭のスタンダードデザートです。なぜバカと呼ばれているかですが、いろいろ調べてみたらフランス語の「Fluer」というマッシュする、すりつぶすという意味の言葉が語源という説があります。そんなフールですが、最近ではフールに使われるデザートも多様化していてラズベリーやキウイなども登場しています。そんなフールの魅力を簡単に説明すると…
- ヨーグルトの酸味とフルーツの甘味のバランスが絶妙でさっぱりしている
- どんな料理のデザートにしてもムードを損なわない
- 簡単なのに見た目が映えるのでおもてなしにも使える
イギリス在住歴15年、料理家として活動している私がフールに使うフルーツにぴったりだと最近よく使っているのがマンゴー。マンゴーは酸味の少ないフルーツ。このまったりとした甘さとヨーグルトの酸味がとてもマッチするんですよね。しかも本当に簡単に作れるので早速レシピをご紹介しますね。
焼き型も、難しいデコレーション技術も
不要だし、用意する食材は三つだけ。
しかも30分でできちゃいます!
2点のポイントを抑えるとよりおいしい!
①ゴムベラでざっくりと混ぜる
ヨーグルトとクリームを混ぜ合わせるときに泡立て器を使って混ぜるとクリームが泡立ちすぎて固くなってしまうので、ゴムベラか大きなスプーンでざっくりと混ぜてくださいね! ちなみにグリークヨーグルトはギリシャヨーグルトのこと。なければ通常のヨーグルトを水切りして使うといいですよ。
②完熟マンゴーを使う
固いと酸味が強すぎてヨーグルトとけんかしてしまうのと口あたりも悪くなります。むにゅっと指で押せる程度の熟れたマンゴーがベストです。日本で主に流通しているのはアップルマンゴーだと思いますのでそれでOK。熟れ具合が大切なので、品種や価格は問いません。
切って混ぜて盛り付けるだけなのに
仕上がりはカフェのデザート級のお洒落さ
さっぱりしているから重たい料理を
食べた後でもすっきり入るデザート。
鮮やかな色合いは、目にも楽しい!
マンゴーフールは口あたりがさっぱりしているので、和洋中どんなジャンルの料理の〆にも合い、少々重いものを食べた後でも、すっとおなかに入っちゃうのが◎。フールはイギリス国内では、家庭的なスイーツとして食べられてきたものですが、私は人が多く集まるパーティや料理教室の際によく作ったりしています。時短で簡単。たくさんの人数分を作るときでも、手間をかけず、ちゃちゃっと作れて見た目もいいのでホムパの時期におすすめです。
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季節も料理のテイストも問わず合わせられるイギリス伝統のデザート。拍子抜けするほど簡単なので、ぜひお試しくださいね! 甘いものが苦手な方もヨーグルトの酸味のおかげでペロリといけちゃいますよ!