作り置きは既に一般的になりましたが、せっかく作ったけど食べるタイミングを逃したり、余ったりして無駄にしたことはありませんか? 最近、作り置きより便利だとチャレンジする人が増えているのが「下味冷凍」です。そのメリットを料理研究家 島本美由紀さんに伺うと
- 時短でメイン料理が作れる
- 肉や魚が柔らかくなり、味がよくしみる
- 長期保存が可能でロスが減る
「肉や魚を味付け済みで冷凍しておけば、食べる半日ほど前に冷蔵室に移しておくだけで、メインのおかずが簡単に作れます。例えば鶏肉をスパイスヨーグルトに漬けておけば、焼くだけでおいしいタンドリーチキンに。凍る間に調味料が食材の細胞の間に入り込み繊維を離すので、身が柔らかく味もよくなじみます。また下味が水分を引き出すので酸化しにくい効果もあります」 (料理研究家 島本美由紀さん 以下同)。下味冷凍を活用すれば、約1カ月の長期保存が可能なので、冷凍焼けした肉や魚を破棄することが減り、食費の節約にも一役買いそうです。
島本さんおすすめの
お手軽下味冷凍レシピを紹介!
★★★「鶏の塩麹から揚げ」★★★
塩麹効果でジューシーさが倍増!
【下味冷凍の作り方(2~3人分)】
鶏もも肉/1枚(約250g) 塩麹/大さじ2 フリーザーバッグ(M)に塩麹を入れ、一口大に切った鶏肉を加えてよくもみ込み冷凍。「タンパク質を分解する働きがある塩麹を下味に使うと、お肉がいっそう柔らかくなります。また、ビタミンB群が豊富な塩麹には疲労回復効果もあるので、暑さ対策にぴったり。から揚げの他、グラタン、チャーハンなどにもアレンジ可能です」
【調理は10分!】
下味冷凍した「鶏肉の塩麹漬け」は冷蔵室におき解凍しておく(電子レンジの場合は解凍または弱モードで100g1分が目安)。① 鶏肉の塩麹漬けにすりおろしたショウガ(小さじ1)を加え、フリーザーバッグの上からよくもんでなじませる。② かたくり粉(大さじ1)をふってしっかりもみ込み、続けて小麦粉(大さじ1)をもみ込む。③ 低温の油に②を入れて2~3分ほど熱し、油を高温にしてカラリとなるまで揚げる。
「そのまま焼いてもおいしいですが、ショウガをなじませるひと手間を加えてからから揚げに。香ばしさとジューシーさがプラスされ、食欲をそそります」。揚げ物が苦手なら、フライパンに少量の油を入れて揚げ焼きにしても、風味良く仕上がるそうです。
★★★「サケのパセリパン粉焼き」★★★
「みそ×ヨーグルト」のうま味がたっぷり
【下味冷凍の作り方(3切れ分)】
生ジャケ/3切れ 塩/適量 みそ/大さじ2 ヨーグルト(無糖)/大さじ4 ①サケの両面に塩をふって5分ほどおき、キッチンペーパーで軽く水気をふき取る。②フリーザーバッグにみそとヨーグルトを入れてよく混ぜ、①を加えて全体にいきわたるようになじませる。「みそ漬けは冷蔵で作り置きする人も多いと思いますが、冷凍のほうがよく味がしみ、身もふっくら柔らかくなります。生ジャケがなければサーモンでも代用OK。余った漬けだれで野菜を炒めてもおいしいですよ」
【調理は15分!】
※下味冷凍した「サケのみそヨーグルト味」は冷蔵室におき、解凍しておく(電子レンジの場合は解凍又は弱モードで100g1分が目安)。① パン粉(0.5カップ)とパセリのみじん切り(小さじ1)を入れて混ぜ合わせ、漬けだれをぬぐった「サケのみそヨーグルト味」を1切れずつ入れて、満遍なくまぶしつける。② フライパンにサラダ油を熱して①を並べ、弱めの中火で表裏を約3分ずつ、揚げるように焼く。③ 好みのつけ合わせ野菜とともに器に盛り付け、レモンを添える。
「うま味の効いたみそヨーグルトの下味が、サクッとした旬のパセリパン粉とよく合います。パン粉焼きは少ない油で揚げ焼きにするだけなので、後片付けも楽です」。シンプルに焼くだけでもおいしいので、ストックしておけば、朝食やお弁当、夕食のおかずに重宝します。
★★★「豚肉のスタミナどんぶり」★★★
安い豚こま切れも柔らかくおいしく変身!
【下味冷凍の作り方(2、3人分)】
豚こま切れ肉/300g しょうゆ/大さじ2 酒/大さじ2 みりん/大さじ2 ショウガ(すりおろし)/小さじ1 ニンニク(すりおろし)/小さじ1 〈作り方〉①フリーザーバッグに豚こま切れ肉以外を入れ、バッグの上からよくもんで混ぜ合わせる。②①に豚肉を入れてよくもみ込む。「豚こまをまとめ買いしたときにおすすめなのがこちらの下味冷凍。安い部位のお肉でも、思いのほか柔らかくなる絶品節約レシピです。ショウガとニンニクが利いているので、中華風の炒めものにも合いますよ」
【調理は15分!】
※下味冷凍した「豚こまショウガニンニク味」は冷蔵室におき、解凍しておく(電子レンジの場合は解凍または弱モードで100g1分が目安)。① 玉ネギ(0.5個)を繊維に垂直に1㎝幅で切り、ニンニクの芽(4、5本)を4㎝程度の長さの斜め切り。エノキタケ(0.5パック)は石づきをとり、長さを半分に切ってほぐす。② フライパンに「アルミホイル」を敷き、「豚こまショウガニンニク味」を漬けだれごと入れ、中火で炒める。肉に火が通ったら火からおろし、アルミホイルごと取り出す。③ あいたフライパンにバターを熱し、①を順に加えて炒め、塩を軽くふって野菜に薄く味をつける。②を加えて炒め合わせる。④ 器にごはんを盛り付け、③をのせ、好みで七味とうがらしをふり、紅しょうがを添える。
「パンチある下味とバターの風味がマッチするがっつり系のメニューです。好きな野菜と一緒にサッと炒めてごはんにのせれば、ボリューミーなひと品があっという間に完成します。他のアレンジとしては、中華風の炒めものにもよく合います」。忙しい日のごはん作りをラクにしてくれるので、2~3セットまとめて作っておくと便利ですね。
〈おまけ〉
「サケのパセリパン粉焼き」を
実際に作ってみたら簡単でした!
普段よく使う食材のサケで下味冷凍に初チャレンジ! 一週間冷凍後、夕飯のメイン用に解凍しました。両面で6分焼けばあっという間にできがり。身はふっくら柔らか、パセリパン粉の口当たりもよく上出来でした! しばらくはおうちごはんの多い生活が続きそうなので、食事を手早く作る方法を増やしておくと便利ですね。食材をしまう前のひと手間で済む「下味冷凍」なら、作り置きが三日坊主だった私にも続けられそうです(笑)。 簡単でおいしいので、ぜひ試してみてくださいね。