土鍋とは、文字通り土を材料とした素焼き鍋のことで、日本を代表する伝統工芸の一種でもあります。鉄製の鍋に比べて緩やかに熱が回ることから素材がふっくらしおいしく仕上がるのが特徴で、鍋やごはんを炊いたり煮物を作ったりといろいろ使えるのも魅力です。そんな土鍋は大きく分けると萬古焼、伊賀焼、信楽焼、セラミックの四つが主流と言われていますが、合羽橋道具街の和食器・土鍋専門店「かっぱ橋まえ田」のご主人によると「土鍋は断然、萬古焼(ばんこやき)がおすすめです。だからうちには萬古焼の土鍋しか扱っていません」とのこと。その理由は…
●優れた強度で割れにくい
「土鍋というと、割れやすいイメージがありますが、萬古焼はペタライトを含んだ陶土のため、ガス台での調理や万が一の空炊きにも耐えうる強さがあります」(「かっぱ橋まえ田」店主・前田さん 以下同)
●匂い移りがしにくい
「萬古焼の素材である陶土は目が細かいので、土鍋の表面にざらつきがなく、なめらかな仕上がりが特徴です。そのため水はけもよく、匂い移りもしにくいと言われています」
●IH対応や片手土鍋など、現代の生活に
合わせた多様な機能&デザイン性
「現代のキッチン事情やライフスタイルに合わせ、IH対応型や出しっぱなしでも様になる洗練されたデザインや色など、従来の土鍋のイメージを覆し、お洒落に進化しているのも萬古焼の特徴です」
萬古焼の特徴が分かったところで、「かっぱ橋まえ田」店主のおすすめをチェック。
目次
「かっぱ橋まえ田」の店主が推薦する
萬古焼土鍋を3点紹介!
1.モダンなキッチンに映えるモノトーン土鍋
今どきのモダンなキッチンに置いても様になるモノトーン土鍋が近年人気急上昇中なんだとか。「土鍋というと、ひと昔前までは、和柄が入っているイメージが強く、食卓に出せない、キッチンの雰囲気に合わないと敬遠される存在でした。しかし最近では萬古焼の性能はそのままに、見た目がスタイリッシュに進化しているものが多々あります。なかでも人気なのがモノトーン。どんなキッッチンや食卓にもすっとなじむのが魅力のようです」
2.ふっくら炊ける瑠璃色のごはん土鍋
お鍋用の土鍋は持っているという方のサイド土鍋として人気なのが、2合のごはんが炊ける土鍋。「少し前から土鍋でごはんを炊くのがブームになっていますよね。その流れを受け、ごはん用土鍋が売れています。黒が主流なんですが、この瑠璃色が珍しい!と注文が殺到。コロンとした見た目の可愛さとごはんがふっくら炊き上がる実力もあり人気です」
3.どんぶり感覚で使える片手土鍋
最近いちばんの進化系土鍋はこの片手鍋。「通常の鍋の形状と同じなので、調理がしやすい(※持ち手は大変熱くなりますので布巾や鍋つかみをご使用ください)のが第1のポイント。土鍋には遠赤外線効果があるので、煮炊き料理はふっくらおいしく仕上がります。第2のポイントはそのまま食卓に出せてどんぶり代わりに使える点。雑炊、ラーメン、麻婆豆腐など、熱々のできたてを出したいときに便利ですよ。うちではマット加工が施されたスタイリッシュな片手土鍋が人気です」
おまけ:
土鍋を長く愛用するために注意したいこと
熱しにくく冷めにくいのが特徴の土鍋は、急激な温度差が大のウィークポイント。ひび割れの原因になりやすい下記の行為は避けて長く大切に土鍋を使いましょう。
・土鍋を洗うときはしっかり冷ましてから。
・早く冷まそうと鍋に水を入れるのはNG。
・濡れたまま火にはかけない
土鍋シェアの8割を占めると言われる萬古焼。どんな土鍋を買おうかなと迷っている人は、ぜひ萬古焼の土鍋をチェックしてみて。サイズも一人用から多人数用まで豊富なので家族構成、使用用途に合わせてご自身にぴったりの土鍋を見つけてくださいね。