最初に出合ったのはNYのレストラン。ステーキが繊細そうな木のお皿で出てきたのです。思わず、「ナイフ使って大丈夫?」と聞いてしまいそうになりつつも、普通にナイフを使っても全く問題ないことに驚きました。しかも、かちゃかちゃ音もしないしあたりが優しく、心地よく食事を味わうことができ、おいしさ倍増でした。何よりステーキが洗練されて見えたのが新たな感覚で、それ以来、木製皿との出合いを大切にするように。好きなデザインのものに巡り合ったら躊躇なく購入するようになりました。
そうやって使い始めて分かった魅力は、
- テーブルが洗練されて見える
- 簡単な料理も不思議と映える
- 割れないから取り扱いに気を使わない
- とにかく軽い!
といいことずくめ。コレクションのなかでもお気に入りの4点を紹介しますね。
目次
サラダから煮物までオールマイティ!
藤本 健さんの「えのきのボウル」
藤本さんは沖縄在住の作家さん。木と対話し、自然の力を借りて作る、この世にたったひとつの作品ばかりなのが魅力です。これは琉球えのきを使った器で、力強さを感じる木目と手のひらにフィットするなめらかな曲線のマリアージュにピンと来て、浅草橋のギャラリー「白日」で購入。いろんな料理を盛りつけていろんな表情を見たいと思い、私は陶器の中鉢と同じ感覚でサラダや煮物、また時にはパンなどものせてテーブルコーディネートを楽しんでいます。
独特の木目はあらゆる料理にマッチし
引き立ててくれるんです
武骨なステーキもモダンにまとまる
Shimoo-Designの「浮様」
富山の下尾和彦さん、さおりさんご夫妻のユニットである『Shimoo-Design』。木目を生かしつつモダンな印象に昇華させていて、見るたびにうっとりするくらい素敵なんです。着色は人体に安全な塗料を使用し、なおかつガラス塗装で仕上げられているので、木そのままの風合いに見えますが、水や油をきちんと弾くので水洗いはもちろん食器洗剤等も気にせず使えるのも扱いやすくて◎。こちらは白金台のギャラリー「雨晴」で購入しました。
メイン料理から軽食まで幅広く活躍し、
食卓をモダンな印象に格上げしてくれます。
洗練されたフォルムは、もはやアート。
吉川和人さんの「けやきの器」
吉川さんの器は過度な装飾は全くなく、シンプルでまるでそこに木そのものが存在しているような雄大さと洗練さが魅力です。カッシーナ・イクスシーで勤務した後、岐阜県立森林文化アカデミーにて木工技術の基礎と日本の森林文化を学ばれたせいかセンスの良い木の器ばかりで、個展に行くたびに目移りしてしまいます。こちらは重厚感と木肌のなめらかさ、また木目の優しさがシンプルなフォルムと見事に融合していてひと目惚れし、目白のギャラリー「FUURO」で購入しました。
サラダやケーキなど、軽めの食事を
リッチ&お洒落に仕上げてくれます。
使い手の想像力を刺激する
富山孝一さんの「栗の木・fuuka」
木工作家の富山孝一さんの作品は、風化した表情を出すために、木を草木染のように染めた風合いが滋味深く、まるで生きている木のような佇まいが特徴です。栗の木は堅いそうで、削った跡やでこぼこ感もあって、荒々しいなかにも繊細な印象がある点に惹かれて我が家に迎え入れました。この細長い板のような器、普通の家庭料理を盛りつけてもおもてなし感が出せるので、意外と出番が多いんです。この器から料理を発想することもあるぐらい料理熱を刺激してくれる1枚でもあります。
家庭料理が一気におもてなしへ!
お洒落なレストラン風食卓を気取れます。
木の器を大切に使うために
気をつけていること
木は温度変化に弱いので、食洗器・電子レンジはNG。なるべく冷蔵庫に入れるのもやめています。洗った後はすぐに食器棚にしまわないで、空気に触れさせて完全に乾かすように気をつけています。こう書くとなんだかセンシティブで面倒だと思われてしまいそうですが、木は生き物ですから経年変化はつきものです。あまり神経質にならずに、ちょっとシミが付いたり、油が残っても、味になると私は思って接しています。
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いつもの料理をぐっと素敵に演出してくれる木の器たち。映える見た目はもちろんですが、それ以上に木から受ける優しさは他には代えがたい魅力です。皆さんもぜひ、温もり溢れる木の器を食卓に取り入れてみませんか?