一生役立つ「家の調味料を覚えて時短調理できるようになる」訓練法とは?

料理研究家、太田美和さんが考える“時短料理”とは、キッチンに立つ調理時間だけでなく、自宅にある食材や調味料を把握することで、レシピを考える時間や買い物へ行く時間などが短縮できるという広い意味での“時短調理”でした。

何度か紹介している「知的家事の会」のセミナー。今回は、豆腐マイスター認定講師、だしソムリエ認定講師やみそソムリエ等で活躍している料理研究家、太田美和さんの「私流・時短料理」がテーマでした。時短料理と聞くと、電子レンジなどの調理家電を効率よく使い作業負担を減らしたり、レシピと必要な食材が届くミールキットで買い物や考える時間を減らすなどが一般的だと思いますが、セミナー冒頭で「電子レンジ調理はしない、化学調味料・合成調味料は使わない、炊飯器は使わないで時短調理します」(料理研究家太田美和さん 以下同)という衝撃発言が飛び出しました!

簡単にまとめるとその方法は

  1. 基本調味料六つを揃えてその特徴をしっかり把握する
  2. ひとつの食材で三つのメニューが考えられるようする

と、何やら訓練が必要な様子ですが…「以前は便利な化学調味料も使っていましたが、東日本大震災をきっかけに料理の知識や知恵を見直し、便利な調味料をいくつも揃えなくても、さまざまな味がさっと作れるようになれれば、長い人生のなかでそれが最も時短調理につながると思ったんです」との意見に納得。

目次

まずは自宅にある「基本」と「+α」の
調味料をチェック。これを把握しないと
レパートリーは増えません!

我が家で使っている調味料はこちら! 多いと思っていた調味料の多くは「〇〇の素」でした。実は基本調味料はあまり種類を持っていないことが判明。汗

セミナーでは、「自分が持っている調味料を把握していますか?」と先生からの問いかけが。みなさん、頻繁に使っているものは思い出せたようですが、銘柄や産地、その特徴までを把握している人はほとんどいませんでした。先生曰く、以下の2点を意識しているとメニューのレパートリーが広がるんだとか。

基本調味料6点はどんなものを持っているか
さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(しょうゆ)・そ(みそ)・あ(油)の六つの調味料を確認。例えば塩の場合だと、精製塩、海水塩、岩塩の3種類を持っているなど。キッチンにある調味料が、どんな特徴のものか把握しておきましょう。

外国の味になる調味料は何があるか
普段何気なく買い足している調味料ですが、実際どんなものがあるのか把握していると今作れる料理を想像しやすくなります。

自宅に戻って我が家の調味料をチェック

全部並べてみて驚いたのは、和食用のサラダ油、中華のごま油、ドレッシングや洋食に使うオリーブオイル、米油はなんで買ったのか思い出せませんが(笑)、4種類もあったこと。それに対して砂糖は上白糖の1種類のみ。セミナーで「北海道でとれるてんさい糖は体を温める砂糖、逆にきび砂糖は沖縄でとれるので体を冷やす砂糖になります。季節や料理に合わせて使ってみてください」と教わり、調味料の産地や特徴を把握して使い分けるだけでも健康的な食生活につながることを実感しました。また和・洋・中の定番料理が食卓に並ぶことが多い我が家に世界各国の味が楽しめる調味料が少なかった気がします。「世界の調味料が揃っていれば、家にいながら世界の料理が楽しめて、メニューのレパートリーも広がりますよ」とのお話もありました。並べてみて納得! メニューがワンパターンになってしまうのは、スパイスやハーブ系が少なかったんですね。今後は調味料の特徴を理解し、どんな料理が作れるのかを考えてから意識的に増やしていきたいなぁ…と思いました。

ひとつの食材で三つのレシピが
考えられるように訓練をしよう!

「恩師から『ひとつの食材に対して三つの料理がパッと思い浮かぶようになりなさい』という教えを受けて以来、私は食材を見ると常に意識してレシピを考えるようになりました」。確かに! ニンジンの千切りひとつを例にしても、調味料次第で、味が変わります。私は家族から“お母さんまたこのメニュー(涙)”と言われることがあり、レパートリーを増やさなきゃと思っていたのでこの訓練はいいかも! 「調味料以外に、焼く・蒸す・煮る・揚げるなど調理方法のバリエーションも増やしておくと思い浮かぶレシピはさらに広がると思いますよ」

おまけ〉
味変実験。「白だし」ひとつで六つの味が!

「さまざま料理に対応可能な白だしは、少し値段が高くても、無添加でシンプルなものを用意しておくと便利ですよ」

一例えば、ラーメンが食べたいと思っても、スープの素を使い切ってしまい買いに行くのが面倒で断念するなんていうことありませんか? 「うま味たっぷりで使い勝手のよい“白だし”さえあれば、いろんな味を作り出せます」。ということで、セミナー最後はひとりずつ味変実験を行いました。味が変わったときには大きな歓声が上がったりと大盛り上がり!まずは白だし+お湯でベースの味を確認。
白だし+お湯+ブラックペッパー=コンソメスープ
白だし+お湯+ブラックペッパー+ごま油+しょうゆ=和風ラーメンスープ
白だし+お湯+ブラックペッパー+ごま油+しょうゆ+みそ=味噌ラーメンスープ

トマトスープやクリームシチューのような味にも変化しました。ベーシックな調味料の組み合わせで、こんなに味が変わることに驚きです。詳しく知りたい方は、ぜひ太田さんのお教室に行ってみてください。

・・・・・

我が家ではレンジや炊飯器はフル稼働、目先の調理時間短縮だけを考えて、冷蔵庫には“○○の素”といった調味料が所狭しと並んでいます。でも先日の台風や集中豪雨などで、便利なものばかりに頼っていると、いざというとき何もできないのではないかという不安にかられました。便利な道具や完成された調味料がなくても、ささっと作れる時短調理の技を身につけていきたいと思います。

 

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取材したのはこちら

学生時代より世界を旅することが好き、世界の料理が好きでした。大学では国際法を学び、外資系保険会社に入り働きながら、建築インテリア、テーブルコーディネート、各国のお料理を学ぶ。その後、さまざまなジャンルの「食」を習得し、現在、東京調布にて世界の食卓をお届けする料理教室linospoonを主宰。
世界の食卓研究家として活動。特に得意なのがタイ料理。
豆腐マイスター認定講師、だしソムリエ認定講師、おから再活プロデューサー認定講師、みそソムリエ、野菜ソムリエ、築地魚がしコンシェルジュなどの資格あり。
豆遊塾主宰、東京タイ料理教室サヌックV-Kitchen主宰

料理研究家 太田美和さん

https://twitter.com/mohtadiamond

監修

不動産会社の企画営業、フードプランニング会社のチーフディレクターを経て独立。仕事と家事の両立に苦労した経験から、無駄な時間と労力を省く「知的家事」を考案。「時間がない」「家事が大変」と嘆く多くの主婦の悩みを解決。家事家電や住設備のAI化にもいち早く目を向け、テクノロジーを生活に融合させた、より豊かな暮らし方を研究しています。本間朝子さんが主催する「知的家事の会」は月1回、平日と週末を交互になんと無料でセミナーを開催されています。そのセミナーは人気が高く、世田谷区の閑静な住宅街にある素敵なマンションの一室には毎回「知的家事」のコツを求めて、埼玉や千葉の遠方からも受講者が集まってきます。

知的家事プロデューサー 本間朝子さん

https://ameblo.jp/titeki-kaji/