防災グッズというと、市販のセットを準備する人が多いと思いますが、実際に災害時に使おうとしてうまくいかない場合も多いそう。女芸人で防災士の資格を持ち活動をしている赤プルさんに、「普段から使えて、防災準備にもなる」もの、最低限常備しておきたいものを紹介していただきました。
防災専用グッズを買うよりも
防災で使える日用品を揃えるべき
ラニーニャ現象の影響もあり、今年の秋は台風発生が多く、日本へ上陸率も上がると予測されています。そうなってくると台風被害も気がかり。「防災においてもっとも大切なのは、何が起こるのかを想定し、それに対し準備をしておくことです。市販の防災グッズが悪いわけではないのですが、実際にどう使うのか疑問なものもあります。災害は予期せずに起こるので、いざというときに使えないという事態は避けたいですよね。そのため、備えておくべきなのは、特別な防災専用品ではなく、日常的に使う身近なものがいいんです」(防災士・赤プルさん 以下同)。災害時、自宅の安全が確保でき自宅避難ができたとした場合、命のボーダーラインと言われる72時間=3日分生活できるだけの水(1人9L)は最低限確保してあることを前提に、その他備えておくべきものを紹介していただきました。
防災士赤プルさんが推薦!
普段から役立つ防災7アイテム
◆ ガスコンロとポリ袋 ◆
「防災食を食べるって案外大変です。
ガスコンロとポリ袋で簡単に
調理するほうが、いつもの食事に近いです」
「非常事態とはいえ、防災食は慣れていない人には食べづらく、冷たいだけで喉を通らなかったりするんです。だからレトルトや缶詰を温め、簡単な調理ができるガスコンロはあると便利。特別なものでなく普段お鍋をするときに使う家庭用のもので十分で、ボンベは1日1本を目安に1週間分備蓄しておくと安心です。食材をポリ袋に入れて湯煎調理する調理法=ポリクックでお米も炊けて、みそ汁、おかずなどいつもの食卓と遜色ない料理ができるので、ポリ袋とガスコンロはセットで持っておきたいですね」
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◆ モバイルバッテリー ◆
「災害時に大切なのは情報を得ること。
スマホやラジオを充電するバッテリーは必需」
「災害で停電してしまうとテレビは使えないし、細かな情報を得る上でも大事なのはスマホやラジオ。これらを長時間使えるようにしておくことが大事です。そのためモバイルバッテリーは現代の災害時の必需品。いろんなものの充電に使えるので、非常用としまいこむのではなく、普段から利用しておきましょう。ラジオの場合、意外に見落としがちなのが電池式でいざ使おうと思ったら液漏れしていて使い物にならなかったなんて例も少なくないそうなので、ラジオも充電式を選ぶのが得策かもしれません」
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◆ ランタン ◆
「ピンポイントに照らす懐中電灯ではなく
周囲を明るくするランタンで不安感も減」
「停電したときに最も困るのが夜。暗闇だと行動範囲は狭まるし不安も増していきます。懐中電灯を用意している人が多いかもしれませんが、あれはワンポイントを照らすものですし、持って歩くと片手がふさがれるので避難時には不便。ヘッドライトとランタンを用意しておくと、とても役立ちます。ランタンは空間全体を照らしてくれるので、不安感を減らしてくれる効果も。食事をするときも便利です。ヘッドライトは手をふさぐことがないのでいざ家の外へ避難という際にあるといいです。これらのグッズはアウトドア用品のお店に行くといいものが見つかりますよ。私はコールマンの電池式ランタンを常備して寝室のテーブルスタンドライトとして使っています。デザイン的にもインテリアの雰囲気を損なわず気に入っています」
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◆ 踏み抜き防止スリッパ ◆
「非常時に無防備な足を守るためにも
普段から踏み抜き防止スリッパという選択を」
「災害レベルによっては、自宅にガラスの破片やがれきが散乱する可能性もあります。急いで退避する必要になることもありますが、素足や通常のスリッパで移動するのは危険。そのために用意しておくと便利なのが踏み抜き防止機能がついた防災スリッパです。底の素材が強化されていて、足をしっかり保護してくれるものでワークウエアの専門店などで売っています。普段から自宅ではこういうスリッパで過ごすのもおすすめ」
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◆ 使い捨てトイレ ◆
「自宅にいてもトイレが使えない場合も。
1人1日5回×3日分は用意しておきたい」
「上下水道が壊滅していると自宅でも水洗トイレは使えなくなるので、災害用トイレは準備しておくべきです。実際食事よりもトイレを我慢するほうがきついという体験談が多いですし、人間、生理現象を我慢するのは無理ですよね。今は収納場所を取らないコンパクトな携帯トイレが多数販売されているので、最低でも3日分(1人1日5個想定)は用意してほしいですね。メーカーによって形状が違い、使いやすさは人によると思うので、できればいろいろ試してみることをおすすめします。個人的には袋型が捨てやすく使いやすいです。ドライブ中の渋滞やキャンプでも使えますよ」
◆ 衛生シート類 ◆
「赤ちゃんの尻拭きや介護用シートは大判で
体をふき、歯を磨くなどいろいろ使えます」
「特に暑い時期の避難では、シャワーも使えずに数日過ごさなければならないのは精神的にもつらいですし、衛生面も気になりますよね。体をふける使い捨てシートやドライシャンプーがあれば、数日は快適に過ごせます。実際に震災で避難された方からは、赤ちゃんのおしりふきシートが役立ったという意見をよく聞きました。大判で肉厚のウェットシートは体や顔をふけるし、歯を磨くのに使ってもいいと思います。ノンアルコールで水分のみが含まれているものを選ぶと汎用性があり便利。災害でないときも掃除や手ふきなど、暮らしのなかでも役に立ちますよね」
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〈おまけ〉
災害時に取るべき行動、
逃げるタイミングは事前に明確にしておく
「地震や水害、洪水など災害のケースはさまざま。いずれの場合もどう行動するのかをあらかじめ決めておいてほしいです。例えば洪水の場合は、浸水が床下までか、2階まで水に浸かるかによって、生命の危険度は大きく変わってきます。そのためどういう状況になったらどういう行動を取るべきか、いつ逃げるかというタイミングを明確にしておくことが大切。河川の水位が上昇する際に自分が取るべき防災行動を時系列で逆算し、整理できるマイ・タイムラインを作成しておくと、いざというときの行動の指針になります。マイ・タイムラインの作成方法はハザードマップなどと合わせて、国土交通省や各都道府県の自治体で配布されていることも多いので、ぜひチェックしてみてください。防災グッズの常備と合わせて行動もしっかりシミュレーションしましょう」
・・・・・
日頃から使えるものがいざというときに役立つと分かったら、防災グッズを揃えることのハードルが少し下がりますよね。とはいえ、グッズがあれば安心というわけではないので、赤プルさんがおっしゃるように、災害時の行動については、しっかり家族で取り決めておきたいと思いました。
取材したのはこちら
女芸人赤プルとして、また旦那様とのコンビ「チャイム」として活動する活動する他、2015年に起きた関東東北豪雨で茨城県にある実家が被災したことをきっかけに、2017年防災士の資格を取得。現在は、いばらき大使、常総ふるさと大使として茨城県の魅力をPRするとともに、茨城県安心安全アンバサダーとして防災士として防災の重要性を日々ブログ、SNS、メディアにて発信中。また、マイタイムラインリーダーとしてマイタイムラインの普及にも尽力。