共働き世帯が憧れる「ランドリースペース」の新しいトレンド

いまだ軽減されない家事のひとつが洗濯物を干す作業ですが、環境や家族構成の変化などにより、住宅設計で年々進化しているのがランドリースペース。「ランドリークローク」は、共働き世帯の増加に応えた最新形態。楽に素早く洗濯作業が進む工夫を、旭化成ホームズの事例で見学しましょう。

「食洗器やロボット掃除機など、家事を省力化するツールが次々登場していますが、いまだ楽にならない家事、それが洗濯です」(旭化成ホームズくらしノベーション研究所 シニアライフ研究所 所長 伊藤香織さん 以下同)。洗濯乾燥機を使う人も増えたとはいえ、まだまだ少数派で、洗濯物を干す、取り込む、たたむ、しまう、といった面倒な作業は残っています。その洗濯の家事を効率化しようと旭化成ホームズが提案を始めたのが「ランドリークローク」。その特徴は洗濯する、干す、たたむ、収納を1カ所にまとめたこと。

共働きが増えたことで、平日は室内干し、シーツなどの大物を洗濯する休日は外に干すと分けている家庭も増えてきました。「洗面所を日当たりのいい場所に設置し、洗濯物は完全に室内干しというご家庭も多いですよ。そこで提案しているのが、洗って干す作業からたたんで収納するまでを1カ所でできるランドリークロークです」。ポイントは、いかに動線を省略化できるか。「ランドリークロークは洗面所と必ずしもセットにする必要はありません。洗濯機のみをクローゼットの近くに置く間取りにすることもできるんですよ」。今住んでいる家にランドリークロークの概念を採り入れることも可能か伺うと……「2畳ほどの洗面所であれば、天井にポールを取り付け室内干しもできますし、衣類乾燥機を使って乾かせば、ベランダに干したり取り込んだりする手間が省けます。3畳もあれば、収納棚を置くこともできるでしょう」。そうすることで面倒な洗濯物を片付けるという家事の負担が減るわけです。

目次

専業主婦と共働きの世帯数が入れ替わる
1990年代から選択環境の進化が始まった

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構

  • 1990年代~ベランダに取り付ける雨よけ用の屋根
  • 2015年前後~洗濯と干す場所が近接したランドリールーム
  • 2018年~収納の動線も考えたランドリークローク

「まだ共働き世帯が少なかった約30年前に洗濯物干しの提案として手掛けたのは、ベランダに取り付ける雨よけ用の屋根です。『仕事で日中不在のとき急に雨が降ると、洗濯物が濡れて困る』という声から生まれたものでした。当時はまだ、洗濯物は天日で除菌できると考えられていたため、洗濯物は外に干すのが常識だったんです」。しかしその後の研究で、除菌に関しては天日干しと室内干し、乾燥機では大きく変わらないことが判明。徐々に共働き世帯が増えたこと、花粉やPM2.5 への対策意識などから、洗濯物を室内干しする人が多くなったそう。「今から5~6年前に新たに提案されたのがランドリーサンルームです。従来、洗面所は1階の日当たりの悪い場所に配置するのが一般的でしたが、これを2階の日当たりのいい場所に設置し、そのままベランダに出られるようにしました。洗濯物がすぐ外に干せますし、雨の日は洗面所にそのまま干しても生活の邪魔になりません」。その後、働き方改革の影響で多様な働き方が生まれ、夫婦家事シェアが基本に。そこで2018年に誕生したのが家事動線を考慮したランドリークロークなんです。

洗濯動線を工夫したらこんなに楽に!
「ランドリークローク」ふたつの実例

新築やリフォームでランドリ―クロークを希望するお客様も増えているそうですが、実際に旭化成ホームズでお住まいを新築した際、ランドリークロークを導入したお宅にその使い勝手を聞いてみました。

回遊できる洗濯動線で
家もすっきり片付くように
~T邸の場合~

共働きご夫婦のTさんは、お子さん1人の3人家族。平日は仕事で忙しいため、休日は家ではゆっくりくつろぎたいとリクエスト。「以前の住まいは、洗濯する、干す、収納する場所が離れていて、洗濯にかける手間が多く、雨が続くと洗濯物が常に室内干しされている状態で鬱陶しく感じていました」(Tさん・以下同)。そこで新居では、洗面と浴室、洗濯機と洗濯物干しスペースをまとめ、クローゼットを隣接させることで、スムーズな動線を確保。室内でも洗濯物が乾きやすいよう、風が通る窓も設置したそう。「入浴時に脱いだ服やタオルを洗濯機で洗濯し、その場に干し、乾いたらそのままクローゼットへ。下着やパジャマ以外は、全てハンガーにかけているので、たたむ手間も省けました」。疲れているときは、干しっぱなしのこともあるそうですが、生活空間と分けたことで、リビングでくつろいでいるときに、洗濯物が視界に入らず気分もいいんだとか。「このランドリークロークを設置したことで、家族の行動にも変化が生まれました。帰宅したら、手洗いと着替えのためにまっすぐランドリークロークに向かってくれるので、リビングに洋服が散らからなくなりました」

洗面所に収納を設置し
片付けもワンアクション
~M邸の場合~

Mさんもお子さんがいる共働きご夫婦。忙しくて家事に手が回らなかったことから、新築の際は家事がしやすい動線を意識したといいます。「もともと洗濯物は乾燥機で乾かしていました。以前の住まいは収納が寝室にあったので、乾いた洗濯物をいったんリビングに移し、たたんでから寝室に運ぶという無駄な移動が手間でした」(Mさん・以下同)。そこで新居では、洗濯機の対面に作りつけ家具を設置。ここに家族の下着や靴下、パジャマ、バスタオルなどを収納しているそう。その結果、乾燥が終わったら取り出しながらくるっと丸め、そのまま各収納に入れるだけとワンアクション収納を実現。「収納を細かく仕切ることで、低学年の子供でも片付けやすくなり、お手伝いしてくれるようになりました」。洗濯物の手間が大幅に減ったそうで、洗濯動線の見直しは、全力でおすすめしたいと話していました。

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今住んでいる家にランドリークロークの概念を採り入れることも可能か伺うと「2畳ほどの洗面所であれば、天井にポールを取り付け室内干しもできますし、衣類乾燥機を使って乾かせば、ベランダに干したり取り込んだりする手間が省けます。3畳もあれば、収納棚を置くこともできるでしょう」。そうすることで面倒な洗濯物を片付けるという家事の負担が減るわけです。洗濯物は工程が多いため、負担に感じている人も多いと思いますが、今の動線を見直すことで、効率化できる部分もあるかもしれません。ランドリークロークという概念を参考に、ライフスタイルに合った方法を見つけてみてください。

取材したのはこちら

1972年に旭化成グループの住宅会社として設立。日本が高度成長を実現した昭和40年代、それまで日本になかった「ALCコンクリート・ヘーベル」を建築材料として導入し、どこよりも安心・安全な住まいを目指して「へーベルハウス」を発売。1998年には「ロングライフ住宅の実現」を宣言し、長期にわたる住宅のメンテナンスのプログラム化、制震構造の採用、リフォーム事業や不動産流通事業の整備・拡大など、業界に先駆けたさまざまな取り組みにより、長く安心して暮らせる住まいの提供を追求してきた。2019年11月には、お引き渡し後の定期点検サービスの無償提供期間を、従来の30年から60年間に延長するなど、お客さまの「いのち・くらし・人生」全般を支える「LONGLIFE(ロングライフ)」の実現に向けた商品・サービスを引き続き積極展開している。

旭化成ホームズ株式会社

https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/index.html/