テーブル除菌の方法を科学的に検証した結果、最も効果的なふき方が分かりました。コロナウイルスの蔓延で、今まで以上に清潔に気を使うようになり、テーブルも頻繁にふいている家庭も多いと思いますが、たぶん、そのふき方はNGです。我が家も間違えていました!!
新型コロナウィルスの家庭内感染も増え、ドアノブやリモコン、照明スイッチなど手で触れる場所の除菌に注目しがちですが、「感染の危険度は、ウイルスの感染力、接触頻度などから考えなければなりません。ドアノブやスイッチに触れるのは一瞬なので、実はそこまで危険度は高くありません。本当にハイリスクなのは、家族が集まり会話や食事をするダイニングテーブルです」。そう語るのは、著書『図解 健康になりたければ家の掃除を変えなさい』(扶桑社)で、提唱するお掃除テクがメディアでも話題になっている医療環境管理士の松本忠男さん。テーブルを使うたび、水ぶきをしアルコール消毒もしているので安心と思っていても、そのふき方が実は間違っているかも⁉
こんなテーブルのふき方は全部NG!
- 食事の後は必ず水ぶき
- 汚れが気にならない場合はアルコール除菌のみ
- ふきんを何度も往復させてふいている
- 大きめサイズのふきんを使っている
- ふきんを折り返して使っている
- 汚れが目立つまでふきんの洗濯はしない
上のふき方がダメな理由を簡単にまとめると、
- 水ぶきがダメな理由~潜在的な汚れを溶かし、浮き上がらせてウイルスなどの病原体と混在させてしまうから
- アルコール除菌だけだとダメな理由~潜在的な汚れを水ぶきよりもっと溶かし、浮き上がらせてしまうから
- ふきんの往復がダメな理由~テーブルの全体に汚れを広げているだけだから
- 大きめサイズのふきんがダメな理由~手の圧がかからないところには、汚れが吸着しにくくなるから
- ふきんを折り返して使うのがダメな理由~手にウイルスや汚れが付着するから
- ふきんを汚れるまで洗濯しないのがダメな理由~ふきんについているウイルスや汚れが、テーブルに戻ってしまうから
どうですか? 私は完全に間違ってました(笑)
目次
除菌するなら最初に乾ぶき!
他のふき方は汚れを広げているだけ
テーブルに付着したウイルスや病原体を含む汚れを除去する正しい掃除法を伺うと、「私が推奨するのは、“最初に乾ぶき”です。濡らした雑巾でゴシゴシこすったり、アルコール除菌スプレーを吹きかけてテーブルをふく方も多いと思いますが、それだけで終わらせては、ウイルスを含む汚れを、水分で塗り広げてしまうだけなので逆効果です」(松本さん・以下同)。乾ぶき以外の水ぶきや除菌スプレーを使ったふき方は、層になって重なっていた汚れを浮き上がらせてしまい、結果的にテーブルに広がる汚れが増えることに。アルコール除菌スプレーを使う場合は、まず乾ぶきをし、表面の病原体を大まかに取り去ったが後が正解です。また、スプレー1回だと汚れが浮き立つだけなので、スプレー後にふき取って、もう一度除菌スプレーをするのが正解。また乾ぶきはテーブルを使うごとに行うことが重要なんだとか。「こまめに乾ぶきすることで、テーブルに付着したウイルスや病原体を含む汚れを効果的に除去することができテーブルを常に清潔に持てます」
乾ぶきは正しく行ってこそ効果的。
「一方向にふく」を徹底しましょう
とはいえ、ただ乾ぶきをしただけでは、汚れを効果的に取り除いているとはいえません。「重要なのはふき方です。乾いたふきんでも、ゴシゴシ同じ場所を繰り返しふく往復ぶきをしてしまうと、ふきんについた汚れを汚れていない部分にまで広めてしまいます。正しいふき方は、往復をさせず一方向に動かすこと。S字を描くようにしてもいいです。大切なのは、一度ふいた場所を同じふきんでふかないことです」
データでも明白。テーブルふきは、
乾ぶきで一方向にふくのが正解!
このデータは、松本さんが実験した結果をまとめたものです。水ぶきをした後は、菌が増えているという衝撃的なデータです。効果があるのは乾ぶき、それも一方向にふいた場合が最も効果的だということが分かります。
家族に高齢者がいるなら
乾ぶき後に除菌や消毒も念入りに
最近では、アルコール除菌をテーブルに吹きつけながらのふき掃除も多く見られますが、実は注意が必要なのだとか。「最近のコロナ禍で、消毒や除菌をすれば大丈夫という考え方が広まりつつありますが、これは大きな間違いです。除菌をするなら、まずは乾ぶきで病原体を含む汚れを落としてから。乾ぶきせずに除菌スプレーをかけてからふき取るだけでは、汚れをテーブル全体に巻き散らしているだけ」。また飛沫については、テーブルの上にのっているだけの状態なので、健康な人であれば消毒・除菌剤を使わずとも、都度の乾ぶきで十分。「薬剤に頼ってやった気になるのは危険です。もし家族に高齢者や免疫力の低い人がいるならば、乾ぶき後にエタノールや中性洗剤を噴霧し、汚れを浮き立たせ、再度乾ぶきで浮いてきた汚れを取り除いてから再度消毒・除菌剤をスプレーすることが感染予防の手順になります」。ちなみに消毒剤と除菌剤の違いはアルコール濃度です。80%以上の濃度が消毒剤。濃度が低いものが除菌剤で消毒効果は低いそう。
その他、注意すべき2点
- ふきんは手の平サイズ~「手の平の圧がかかる部分に汚れがひきついてくるので、ふくとき手の圧が均等になるよう、手の平サイズのものを使いましょう」
- 折りたたんで使わない~「折りたたんで使っていると、汚れた面が分からなくなり手に濃度の高い汚れが付着し、手で触れた場所に汚染が散らばる原因になるので、やめたほうがいいですね」
「清潔なふきんでこまめにふくことが大切。キッチンペーパーを卓上に置いておくのもいいと思います。ティッシュだと薄いので、キッチンペーパーくらいの厚さがあるといいですね」
・・・・・・
新型コロナウイルスの残存時間は、ステンレスで48時間、プラスチックで72時間後までとアメリカの国立アレルギー・感染症研究所などの研究グループにより発表されています。テーブルの材質でよく見られる木は、木目や表面の傷に汚れがたまりやすいく、特にコーティングされていない無垢素材だと、汚れが入り込みやすいそうです。「ウイルスは平らな表面では数日間残存するので、テーブルの上の掃除が不十分なまま飲食を行えば、おのずと感染リスクは上昇します。必ず乾いた布での一方向ふきを習慣にしてください」。最近の傾向で、むやみやたらにアルコールスプレーを吹き付けていたという人も多いと思いますが、テーブルをふくときは必ず乾ぶきをすること。これを徹底して、清潔なテーブルを保ちましょう。
取材したのはこちら
東京ディズニーランド開園時の正社員、ダスキンヘルスケア(株)を経て、亀田総合病院のグループ会社に転職し、現場のマネジメントや営業に従事。1997年、医療関連サービスのトータルマネジメントを事業目的として、(株)プラナを設立。病院清掃および感染対策に携わり33年。これまで現場で育ててきた清掃スタッフの総数は700人以上。現場で体得したコツやノウハウを、多くの医療施設やオフィス、店舗、家庭に発信する。