本当はどうなの⁉今流行りの「超濃縮系洗濯洗剤」メリットと上手な使い方

粉末洗剤が当たり前だった昭和の時代から、液体洗剤主流へと変わり、最近ではコンパクトな「超濃縮洗剤」の人気が高まってきています。「なんか良さそう」と雰囲気だけで使用している人も多いかもしれませんが、そもそも濃縮系洗剤とはどんなものなのか、そのメリットや上手な使い方を調査しました。

「コンパクト洗剤」や「高濃度洗剤」とも呼ばれ、ドラッグストアなどでここ最近目立つようになった濃縮タイプの洗濯洗剤。従来の液体洗剤よりもかさばらず、濃度が高いため、少ない量で洗濯できるのが最大の特徴です。「濃縮洗剤とは簡単に言うと、水分量を減らした液体洗剤のこと。一般的な液体洗剤は約7割が水ですが、濃縮洗剤は逆に約7割が洗剤成分。水分量を減らすと界面活性剤が結晶化して水に溶けにくくなるため、商品化が難しかったのですが、20年くらいかけて開発が進み、ここ最近でようやく一般家庭に普及するようになったんです」(フレディ レック・ウォッシュサロン 鈴木新さん  以下同)。濃縮洗剤かどうかの見極め方は、パッケージの裏に記載された使用量を見ること。水量30Lに対し洗剤量が5〜10mlであれば、濃縮洗剤にあたるそうです。

お洒落な新感覚コインランドリー「フレディ レック・ウォッシュサロン」のディレクターである鈴木新さん。ジュニア洗濯ソムリエの資格と知識を活かして活動し、オリジナルの洗剤やランドリーグッズの開発にも携わっています。

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「濃縮洗剤」4つのメリット

① 実は濃縮洗剤は水に溶けやすい

濃度が高いと水に溶けにくいのではと心配になります。 一般的な洗濯洗剤はムラにならないように、洗濯物を入れる前に洗剤と水を攪拌するのがおすすめですが、濃縮洗剤は?「結晶化しないよう長年研究を重ねて開発された成分なので、濃縮洗剤は実はとても水に溶けやすいんです。洗濯機の庫内に直接入れるとムラになりますが、きちんと洗剤入れに投入すれば水が押し流してくれるので、そこまで神経質にならなくても大丈夫です」

② コンパクトなのでかさばらず
ゴミを減らしてエコにもつながる

濃縮されたぶんパッケージが小さくなったため、狭いスペースでも場所をとらず、軽量なので買い物も楽。内容量は少ないですが、1本で使える回数は多いので買う回数も減らせます。「そもそも濃縮洗剤の開発の経緯は、約20年ほど前、生活の排出ゴミを減らして地球環境に配慮するためでした。その考え方が世の中で一般化し、それに対応するために生み出されたのが濃縮洗剤なんです」。使い勝手がよく、さらにエコにもつながるとは一石二鳥ですね。

③ 洗浄力アップや汚れ戻り防止など
さまざまな機能がついてくる

パッケージに記載された「最強洗浄」や「ニオイ専用」、「汚れ戻り防止」などのキャッチコピーもまた、濃縮洗剤に惹かれる部分でもあります。洗剤が凝縮されたことで、洗剤のパワーも強化されたということなのでしょうか? 「洗剤業界では常に界面活性剤の研究が進められており、さまざまな界面活性剤を探して改良した結果、今の濃縮洗剤にたどり着きました。なので、濃縮されたことで洗浄機能が上がったというわけではないんです。濃縮技術と並行してさまざまな機能を持った成分が研究されたことで、臭いや再汚染を防ぐなどの他の機能も備えた洗剤へと進歩しました。今度もますます洗剤開発の技術は向上していくと思います」

④すすぎはほぼ1回でOK
節水・節電・時短にもなることも

粉洗剤や液体洗剤はすすぎ2回が基本ですが、濃縮洗剤は1回でOKと記載されているものが多く見られます。当然、使う水や電気の量も減り、洗濯時間の短縮にもつながるため、共働きのご夫婦やお子さんの多いご家庭には嬉しいポイントです。「すすぎは1回でOKと記載されているものが多いですが、柔軟剤を使用する場合や汚れの程度によっては、できるだけ2回すすぐことがおすすめです。そのときの状況で判断するようにしましょう」

洗浄力では粉末洗剤にかなわない⁉︎
酸素系漂白剤をプラスして洗浄力の調整を

雑誌やネットの記事にある洗濯洗剤の比較ランキングを見ると、粉末洗剤が上位を占めていることがよくあります。ここまで進化を遂げた濃縮洗剤でも、粉末洗剤と比べると洗浄力は劣るものなのでしょうか? 「粉末タイプの洗剤には、洗浄力の高い漂白剤やアルカリ剤が配合されています。ですが、これらの成分を濃度の高い液体にするという技術はまだできていないんです。なので、洗浄力だけで比較してしまうと、どうしても粉末洗剤が勝ってしまうのが現状です」。一方で、洗浄力が穏やかだからこそのメリットも。「濃縮洗剤は中性タイプが多いので、衣類へのダメージを減らすことができます。ご夫婦だけの家庭の場合や、お子さんの衣類の汚れが激しくないときは、そこまでの洗浄力は必要ではないかもしれません。どちらがいいかは一概には言えませんので、使いやすさをとるか、洗浄力をとるかは、ライフスタイルに合わせて選ぶといいですね」

おすすめは汚れたときだけ
「液体洗剤+酸素系漂白剤」

「最近は共働きの家庭も多く、男性でも家事をする時代なので、手間や時短などを考えると、やはり毎日使うなら液体洗剤が便利です。洗浄力が気になる方におすすめしているのは、普段は液体洗剤を使ってもらい、汚れが激しいときだけ酸素系漂白剤をあわせて使うこと。洗剤と一緒に洗濯機に入れるだけです。そうすることで、必要なときだけ洗浄力をアップすることができますよ」

通常の液体洗剤の勢いで入れてはダメ。
入れすぎにはくれぐれも注意を

少量で済む濃縮タイプだと、つい物足りなさを感じますが、従来の液体洗剤と同じ分量を入れてしまうのは絶対にNG! パッケージに記載された分量で洗うことが、もっとも効果を発揮できます。入れすぎると衣類のダメージや、すすぎ残りで肌荒れの原因にもなりますので、気をつけてください。

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一般的なボトルタイプから、軽量のいらないプッシュ式やボール状のものもあり、ますます便利に進化している濃縮系洗剤。鈴木さんに教えていただいた洗濯方法を組み合わせることで、物足りなかった洗浄力も補うことができそうです。上手に活用して、毎日の洗濯への負担を解消できるといいですね!

取材したのはこちら

「前向きなココロとライフスタイルをランドリーシーンから」をモットーにした、ベルリン生まれのカフェ&コインランドリー。東京・目黒区に2店舗を展開し、オリジナルで開発した洗濯洗剤や、さまざまなランドリーグッズも公式ONLINE SHOPで購入できます。

フレディ レック・ウォッシュサロン

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