昨今の健康ブームから、改めて注目されている納豆。低価格で栄養価の高い、スーパーフード納豆について、納豆食べ放題が話題の「納豆工房せんだい屋」さんでお話を聞いてきました。その素晴らしさを実感できますよ!
ヘルシーな食材として扱われることの多い納豆。全国納豆協同組合連合会の調査によると、61%の人が毎週納豆を食べているそうで、日本の食卓には欠かせない存在です。そんな日本の国民食、納豆にはどんな栄養や効果があるのか、おいしい食べ方など、思わず膝をたたいてしまいそうな納豆トリビアを、納豆食べ放題定食がマニアに話題の「納豆工房せんだい屋」マネージャー・長塚悟史さんに伺いました。
目次
納豆トリビア①
「ネバネバの正体は、うま味成分の
グルタミン酸。混ぜる目安は50回!」
「納豆のネバネバの主な成分はグルタミン酸という、うま味成分です。つまり、アミノ酸の一種であるグルタミン酸が引き延ばされ、鎖のようにつながったものなのです」(納豆工房せんだい屋 マネージャーの長塚悟史さん・以下同)。納豆菌の菌膜(納豆表面の白っぽいところ)が混ぜられることで、細い糸のように伸びネバネバを作っているのです。ちなみに納豆は、混ぜれば混ぜるほどおいしいという噂がありますが……。「混ぜる回数が増えればうま味成分も増えますが、ある程度までネバネバさせたらOK。逆に混ぜすぎると豆自体がつぶれて食感が悪くなることもあります」。30~50回を目安に混ぜた状態が最もおいしいそうです!
納豆トリビア➁
「ビタミンC以外はほとんどの
栄養素が入ったスーパーフード」
昨今の健康ブームで納豆の栄養効果に注目が集まっています。「納豆にはタンパク質、食物繊維、ビタミンB2、E、K、ミネラル、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分、リノール酸など驚くほど豊富な栄養成分が含まれています」。他にも血栓を溶かす作用を持つ「ナットウキナーゼ」や抗菌作用があり食中毒を予防する「ジピコリン酸」、同じく抗菌作用を持ち免疫機能を活性化させる効果のある「リゾチーム」、女性ホルモンに似た構造を持つ「イソフラボン」やアンチエイジング効果があると言われ話題の「ポリアミン」、記憶力を高める効果があるという「レシチン」などが。ビタミンC以外のほとんどの栄養素を合わせ持つと言われるスーパーフード納豆の栄養価の素晴らしさをお分かりいただけたでしょうか?
納豆トリビア③
「納豆の旬は2月」
納豆にも旬があることをご存じですか? 「年間を通して店頭に並んでいますが、実は旬があるんです。俳句などでも、納豆の季語は冬です。昔、まだ冷蔵庫が普及していなかった頃に、秋大豆を納豆にして食べていたことが由来と言われていますが、今でも秋に収穫した新大豆が市場に出回るのが2月くらいということから、冬場が旬になるのではないかと思います。」つまり最も納豆がおいしい季節は、2月なんだとか。ちなみに夏場はネバネバした納豆を好む人が減少するためか7〜9月は納豆の売り上げが少し落ち込むそうですが、「本当はこの時期こそ食中毒の防止にもなるので、積極的に食べてもらいたいものなんですけどね」
納豆トリビア④
「納豆は腐っていません」
発酵が進んだベストな食べ頃は賞味期限ちょうど!「納豆はもともと腐っているから賞味期が限過ぎても大丈夫という人がいますが、納豆は腐ってません(笑)」。人間に害を与える雑菌が増えてしまった状態を腐敗と言いますが、人間にとって有益な栄養素をたくさん含む納豆は発酵食品なのです。実は高温に非常に弱い食品なので、5℃以下で冷蔵保存するのが◎。「蒸し暑い時期に常温で放置すると、2次発酵が進んでアンモニア臭が出て臭くて食べられなくなります。またカビが生えることもあるので気をつけてください」。また、賞味期限が過ぎた納豆を食べてもすぐにおなかが痛くなるといったことはありませんが、アミノ酸が結晶化してシャリシャリと食感が悪くなってきたり、臭いが強くなっておいしくなくなるとのこと。
納豆トリビア⑤
「アンチエイジング効果も期待できます」
納豆の原料となる大豆は、“若返り物質”として今注目を集めているポリアミンを豊富に含んでいます。「最近の研究では、ポリアミンには細胞の代謝を促進し老化に伴う病気の原因となる『老化因子(LAF-1)』を抑える作用があることが分かったそうです」。ちなみ体内でも合成されるそうですが加齢とともに作られにくくなってしまうため、 納豆をはじめとする食品から補給することが大切だそう。「実際に毎日、納豆1パック(50g)を食べ続けると、約8週間で血中のポリアミン濃度が高まることが確認されているそうで、人体のデータで血中ポリアミン濃度の上昇が確認されている食品は、現時点では納豆だけなんですよ」
納豆トリビア⑥
「納豆消費量のランキング1位は、
水戸ではありません」
水戸納豆のイメージが強い水戸が1位だと思いがちですが、納豆消費量の政令指定都市別ランキング第1位は、岩手県盛岡市。「納豆をごはんにかけて食べることが多い茨城県水戸市に対して、副菜として毎日なにかしらの納豆料理が食卓に並ぶ、岩手県盛岡市のほうが、圧倒的に納豆を消費しているとなんて言われています」。ちなみに、関西人は納豆を食べないという話題については、関西出身の長塚さんいわく本当のことだそう。「関西地方では子供の頃から納豆を食べる習慣がないので、好き嫌い以前に全く食べなかったんです」。最近では関西でも少しずつ納豆を食べる習慣が根付いてきたようで、臭い控えめの納豆などがスーパーにも並んでいるそうです。
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調理せずにすぐ食べられて、高タンパクで低カロリーなスーパーフード納豆。この取材を機に栄養素の高さを知ったので、毎日食べる習慣をつけて若々しさをキープしたいものだなぁ…と思いました!
(撮影╱石田純子)
取材したのはこちら
東京都世田谷区池尻3-20-3柳盛堂ビル1F
tel.03-5431-3935
11:00~19:00(イートイン~15:00 LO)
無休
納豆工房「せんだい屋」は、山梨県笛吹市石和町に本店と工場を持つ納豆の専門店。名前の由来は、仙台出身の創業者によるものなんだとか。県外では、世田谷区内に2店舗を展開する「せんだい屋」ですが、こちら池尻大橋店で大好評なのがイートインコーナで提供されている「納豆食べ放題定食」。ちなみにこれまで最も納豆を食べた記録は、男性の40パック、女性の33パックだそう。国道246号沿いにある池尻大橋店は、店頭に設置された“納豆自動販売機”が目印です。ちなみにこの納豆の自動販売機の設置は、せんだい屋が初だそうです。
せんだい屋 池尻大橋店
監修
今回、納豆トリビアについてあれこれ詳しく取材させていただいたのは、「せんだい屋」池尻大橋店・マネージャーの長塚さん。ご自身で調理師の資格も持っていて、納豆のことならなんでも知っていると言っても過言でないほど、どんな質問にも答えてくれました。「せんだい屋」社長とご縁があり、こちらの納豆の味に惚れこんで働き始めて10年という“納豆マスター”の長塚さんですが、意外にも関西出身で全くの異業種からの転職なんだとか。