いつもの食卓をちょっと格上げ!「ステム付きの器」の魅力

「ステム」とは器の脚のこと。ワイングラスの持ち手などもそう呼ばれますね。ステム付きの器は高さがあるために見栄えも良く、テーブル・コーディネートを一味違ったものにしてくれます。いつもの食卓からおもてなしの席まで、テーブルをランクアップする「ステム付き器」の使い方をご紹介します。

目次

「ステム」は、草木の茎や幹、歯車の軸などを表す言葉で、食器では脚付きのものを指します。日々の食卓にひとつ取り入れるだけでも、お料理が取りやすくなるし、食卓での目線を変えてテーブルの上を洗練された印象に見せてくれます。一見難易度が高そうですが、いつもの料理をのせるだけで大丈夫! それだけで特別感が出せるんです。

ずっと欲しかった憧れのケーキスタンド。
あえてケーキ以外にも使ってみたら……

お菓子用と思いがちですが和洋中なんでも様になります。特に春巻きを盛るとボリューム感が出ておいしそう。〈左下〉本来はホールケーキをのせて楽しみます。今日は鎌倉アウスリーベのマルガレーテンを。

子供が小さい頃から、誕生日やクリスマスのケーキ用にずっと欲しかったのがケーキスタンド。やっと出合ったのが八王子で作陶されている陶芸家加藤かずみさんの作品でした。直径24㎝×高さ9㎝で、3、4人向けのケーキホールがのせやすい手頃な大きさと、アンティーク風の色合いが気に入っています。ここにのせるとケーキがランクアップして見えるんです。購入以来、我が家では特別な日に欠かせない器となりました。ただ、ケーキスタンドを使う機会はそこまで多くはありませんよね。せっかく気に入って手に入れた器を、もっと日常でも楽しめないかと、春巻きやから揚げなどの料理をのせてみたんです。これがなかなか良かった! 背が高くなるだけでテーブルの上が素敵なレストランのような雰囲気に。平らなので汁気の出ないものであれば思いの外使いやすく、以来、どんどん使って楽しんでいます。またダイニングテーブルに置いてカトラリー置きにするなど、工夫次第でテーブルメイクの小道具としても活躍してくれます。

アスティエの白い器にもいつものお惣菜。
小さめのステム付きなら応用範囲も広い!

〈左〉デパ地下風カボチャサラダを盛って。取り分けもしやすく。〈右〉今年の春はしばしばアーティーチョーク風タケノコをのせる器として使いました。

少量のフルーツやサラダなどを見栄え良く盛り付けたいとき、小さめのステム付き器が大活躍してくれます。そういったオーソドックスな使い方以外にも私がおすすめしたいのは、実はポテトサラダや和のお惣菜などの盛り付け。これならただのお惣菜も、ちょっとしたおもてなしの前菜として出すこともできそうですよね。淵付きなので汁のあるお惣菜も入れやすく、使いやすさも良いところ。直径15㎝程度のシンプルなステム付き器は本当に活躍してくれて、家族の食卓のお惣菜には手頃な大きさです。今回写真でご紹介した「アスティエ ・ド・ ヴィラット」のマーガレットシリーズのコンポートは、柔らかで繊細な雰囲気が気に入って購入したもの。温かみのある白い陶器には何をのせてもよく映えるので、重宝しています。フランスの名品ですが、癖のないエレガントさがどんな料理にも合うので和食にも活用しています。

テーブルコーディネートの幅が広がる
食材が映えるガラス器の使いこなしテク

〈左〉うまい具合にエビをひっかけられるので、真ん中に置いたガラス器にけケチャップカクテルソースを入れて、漬けて食べるように。 〈右〉繊細なガラス器はこれからの時期に出番が多くなります。底細になっているのでたっぷりの汁物も対応可!

レベルの高いレストランやプロのテーブルコーディネートが素敵に見えるのにはいくつかの理由があります。ステム付きの器などによる「高さ」方向の構成もそのテクニックのひとつ。また、ガラス器などをアクセントに使って、食材との組み合わせで意外性と遊び心を演出するのもプロっぽい方法です。特にステムのあるガラス器ならどこか特別な感じを演出することができます。
写真右の器は金沢にて作陶されている陶芸家の井上美樹さんのもの。能登の器ギャラリー「舟あそび」さんでの個展でひと目ぼれしました。のせているのはピリ辛キュウリ。ガラスにキュウリのグリーンがよく映えて清涼感のあるひと皿に。また先日ちりめん山椒を作ったときも、この器にのせて出すとあっという間にごはんと共に完食になりました。左の赤いガラス器は20年前にNYで購入したもの。5ドルくらいでした。シュリンプカクテルを縁にそわせ、おもてなし時の前菜として出したときには来客から歓声が上がりました。どちらも直径12㎝程度。サラダを入れるほどの大きさはないので、一口食べたくなるような冷たい前菜にぴったりです。こういう器がひとつあると、食卓の雰囲気がレストランぽくなりますよ。

素敵なのは分かるけど場所を取る?
その心配は「見せる収納」で解決

ステム付きの器を購入するときに困りそうなのが収納。実際高さがある分、場所を取るのも事実です。そこで普段はインテリアの一部としてディスプレイしておくのがおすすめ。取り出す手間もなく、使う前にさっと洗うだけなので日常使いの機会が増えました。普段はアクセサリーやキャンドルをのせてもいいし、インテリアの一部として楽しんでいます。

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今まで使う機会があまりなかったステムの付いた器。まずは1枚、食卓に取り入れてカジュアルに楽しんでみてください。固定観念を捨てていろいろ試してみると意外な発見があると思います。今までと違ったテーブル・デコレーションの世界が広がりますよ。