夏にビアガーデンで飲むビールは格別ですが、今年はおうちで飲む機会が増えそうです。器屋店主の私がいろいろ試した結果、ビールの種類によってもおいしく飲めるグラスは違います。4種類に分けて紹介するので、好みの味に合うものをぜひお試しください!
晩酌のビールがちょっと寂しかったり、物足りなく感じたりすることありませんか? ビールは、飲むグラスを変えると味わいもガラッと変わるんです。 日本で最もよく飲まる喉越しすっきり国産のラガービール、ごくごく飲める軽い味わいの外国のラガービール、芳醇さを楽しむエールビール、濃厚な味わいの黒ビールの4種類をよりおいしく飲める器を紹介します。本当に味わいが変わるので試してみてくださいね!
◆松村英治作「焼締ビアカップ」◆
ザラッとした肌合いが特徴のビアカップは
細かな泡でラガービールをまろやかに
国産のビールいわゆる「ラガービール」は、合わせる料理を選ばず、和食にも洋食にも、おやつにも合うのが特徴。そんなビールをおいしくしてくれるのが、松村英治さんの「焼締ビアカップ」。焼締(やきじめ)というのは釉薬のかかっていない陶器のこと。ざらざらとした肌合いで吸水性があるので、ビールを注いだとき、余分な苦味を中和し、細かな泡を作ってくれます。口当たりが柔らかく、まろやかなビールに仕立ててくれるから、ごくごく飲んでも、ゆっくり飲んでもビールを泡まで楽しめます。
◆花岡 央作「Air タンブラー」◆
口当たりのいい薄手のグラスは
外国産の軽いビールをごくごく飲みたいときに
揚げ物やハンバーグなど、濃い味のガッツリとした料理と一緒に飲むと、おいしさが倍増する外国産のライトなビール。そんなビールを飲むときは、花岡 央さんの口当たりのよい薄手のグラスの出番です。軽いビールを厚手のグラスで飲むと、ビールの味わいが口元で消えてしまう感じがしますが、薄手のグラスにすると、香りも味もしっかり口に入ってきておいしくいただけます。このグラスは、ヴェネチアグラスの伝統の吹きガラスの技法で作られています。日本の薄手のグラスは型に吹き込んで仕上げていますが、これは型を使わず、宙吹きのみで模様をつけ薄く仕上げています。これはなかなか高度な技術 ! 約70gほどの 薄手のグラスは保温性は低いので、ビールが冷たいうちにごくごく飲んでください。
◆中村一也作「しのぎミニグラス」◆
芳醇なエールビールの琥珀色が
映えて見た目にもおいしさが増します
イギリスやベルギーで主流の、芳醇な味わいが魅力のエールビール。日本でもクラフトビールでは見かけるようになりました。どちらかというと、たくさんの量を飲むというより、味わいを楽しむビールですから、大きなグラスではなく、少し厚手で、口当たりが優しい小さめのコップのほうが、よりビールの味が引き立ちます。中村一也さんの、「しのぎのコップ」は、大きさもコップの厚みも、エールビールにぴったり。ソーダの瓶を再生して作っているので、うっすらと緑色がかっているのが特徴です。
◆蜂谷隆之作「漆のタンブラー」◆
冷たさがキープできる漆器の器で
黒ビールならではのほろ苦い甘味を堪能する
味が濃かったり、甘かったり、苦かったり、と個性の強い黒ビール。焙煎された麦芽が作り出す濃厚な味を、料理と一緒にじっくり楽しみたいときには、漆器のタンブラーがおすすめです。漆器は熱を逃しにくいため、冷えたビールの味を変えずに、最後まで味わうことができます。蜂谷隆之さんのタンブラーは、外側は漆の黒仕上げですが、内側にはスズが蒔いてあります。スズはさびない金属で、スズのイオン効果で鮮度が保たれるという特徴があり、お酒をまろやかにするので黒ビールの強い個性を、最後までしっかり感じることができます。
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ラガービールには「焼締」、軽い味わいのビールには「薄手のグラス」、芳醇なエールビールには「少し厚手のミニグラス」、黒ビールには「漆器」をおすすめしています。例えば、軽い味わいのビールを焼締の器に注ぐと、味わいは消えてしまいます。濃い味のビールを大きめグラスに注ぐと、味が広がりすぎて風味が飛んでしまいます。同じラガーを、ガラスに注ぐのと、焼締に注ぐのとでは、味の濃さが変わります。それぞれの器の特徴を知っていれば、ビールをよりおいしくいただけますよ。
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