昔からインテリアが大好きで、タイルやドアノブひとつにまでこだわりを持つ奥さま。結婚して新居を探すときも“自分が好きな空間にできるリノベーション住宅がいい”と決めていたそう。設計士さんと密に相談しながら作り上げた理想のお宅を見せていただきました!
板橋区にある築39年の3DK中古マンション(約65平米)を、20畳のLDKを持つ1LDKにリノベーションしたNさん夫妻。元々リノベーション住宅を希望されていた奥さまとご主人の方向性が合致し、セミナーや見学会などにも足を運び、設計士との距離が近い「ゼロリノベ」に発注しました。実際に6カ所近くの物件見学をした結果、見つけたのが築39年のマンション。リノベーションするにあたって、ご夫婦の希望は
〇海外ドラマに出てくる開放的な対面キッチン
〇食材やお酒を収納できる広めのパントリー
〇ホームパーティで仲間が長居できる空間
〇ワークスペースをリビングの一角に
〇外国アパートメント風のじゅうたん敷き
〇壁に大好きなティファニーブルーを入れたい
〇コレクションのギターをリビングに飾りたい
具体的なものと抽象的な希望が混在するリクエストを整理して、設計士のかまたひろしさんが提案したのは
◆デザイン→「南仏のビーチハウス」
◆暮らし→「お酒と心地よい毎日」
この二つをテーマにリノベーションを進めていくことにしました。
目次
窓からたっぷり入る日差しをいかした
外を感じながら暮らせるリビング
「設計前にNさんご夫婦にイメージをヒアリングした際に“ビーチハウス”というワードがたびたび奥さまから出てきました。ビーチハウスといえば、基本的に外を感じながら暮らすというのが肝だと思い、光を遮らないように、外と中を曖昧につなぐようなイメージで、景色が目に入りやすい空間を提案しました」(設計士 かまたひろしさん・以下Kさん)。そしてアンティークな雰囲気も併せ持つ大人な空間を目指したので、色はブルーとブラウンを基調に。リビング家具でも特に重要なソファは、関家具で取り扱うRELAX FORMのもの。「ショールームで見て、座り心地がよかったことが最大の決め手。次は見た目かな? 新品なのにビンテージっぽい雰囲気なのが気に入りました。実はこれはレザーじゃなく、レザーテックスという新素材の布なんです。水拭きもできて手入れもしやすいですよ」(奥さま)。
廊下から寝室までをひと続きの
じゅうたん敷きにすることで
海外のアパートメント的ニュアンスを
壁の色、じゅうたん敷きなどのリクエストをアンティーク風のビーチハウスのイメージと調和させるように、かまたさんは、以下のように工夫したそう。「リクエストカラーのティファニーブルーは印象に残る色なので、使い方によっては甘くなりすぎてしまいます。そこでグレーを入れて引き締め、大人の配色になるように考えました」(Kさん)。また、オーストラリア在住経験がある奥さまの“海外のアパートメント”イメージはオールじゅうたん敷きでしたが、「全てじゅうたん敷きにするとビーチハウスのイメージから遠ざかってしまいます。なので、玄関からリビングにつながる廊下と寝室に採用しました。それだけでも十分に海外らしさは出せると思います」(Kさん)。実際に生活がスタートしたらフローリングのほうが生活しやすい部分もあるので、結果的によかったと、奥さまも大満足のご様子!
ウッドのオープン収納やマリン配色で
入り口からビーチハウスをイメージ
当初は、大きめのシューズクローゼットを考えていましたが、玄関の広さを考えると、より狭く暗くなってしまうので断念。壁をブルー×白のツートンにし、設計士のかまたさんが見つけてきたレトロな照明を設置することで、玄関の扉をあけた瞬間からアンティーク風ビーチハウスを感じられるようにしました。「オープン収納棚にしたことにより、靴の出し入れもしやすいし、湿気もこもりにくいから結果的によかったと思っています。またリノベ前よりも明るい玄関になったので嬉しいです」(ご主人)。
予算感も考慮しつつ奥さまが
こだわって見つけたタイルを使い
完成した地中海イメージの洗面所
奥さまから形が特徴的なアラビアンタイルを洗面所に使いたいというリクエストがありましたが、気になるタイルは予算オーバーなものばかり。「最初にかまたさんからご提案いただいたタイルの金額を聞いたとき、さすがにタイルにそこまでお金はかけられないと断念しました(苦笑)。でも、サンワカンパニーのショールームでたまたま見かけたタイルの値段を調べてみたら劇的に安いしデザインも私好みだったので即決定!」(奥さま)。奥さまは他にもタオルハンガーをmaltoで、カーテンタッセルは100均のseriaで見つけてきて海を連想させる素敵な洗面スペースとなりました。
ひとりでも夫婦でも大勢でも
お酒をおいしく飲むための
中心にあるのがこの対面キッチン
「思い通りの空間になったとしても、住む人のライフスタイルに合わない家だと意味がないですよね。話を聞くうちに、お二人のコミュニケーションツールはお酒だということが判明しました!」(Kさん)。そこで、楽しくお酒が飲めるように、このキッチンを中心にしつつ生活動線を考えて細部を詰めていきました。
ご主人がリビングのどこで飲んでいても
目に入る位置に趣味のギターが!
ソファからも、ダイニングテーブルからもよく見える、テレビの横の壁にご主人お気に入りのギターを設置。「“酒のつまみになる”と気に入ってくれてよかったです」(Kさん)。ギター専用につけられたライトで照らすとひと際カッコよく見えると旦ご主人もご満悦。
楽しくゆったり飲むために
広いパントリーは動線を考えた位置に
料理上手な奥さまはキッチンに立つ時間も長く、ご主人と話しながら、料理を作りつつ一緒にお酒を楽しむシチュエーションもあるそう。「キッチンとパントリーがつながっているので、料理を作るときの導線もスムーズでストレスフリーです」(奥さま)。
友人大勢で飲むときは
自然とキッチンに人が集まります
料理をする奥さまがさみしくないようにと、アイランドキッチンはリビングの中心に。「一段高い床面にしたことで目線が上がり、ゲストの様子が見渡せます」(Kさん)。またグラスなどを置けるちょっとしたスペースを設けたので、ホームパーティでは自然とみんながキッチンに集まってくるそう。
好きなものに囲まれた空間で、心地よい暮らしをスタートさせたご夫婦。実はこの家のいちばんの魅力といっても過言ではない、広々としたバルコニーを現在整え中。完成したらさらに心地よいビーチハウスになりそうですね。
(撮影/内田徳人)
監修
ただお洒落なだけのハリボテの住まいではなく、住む人の暮らし方や生き方、資金面・資産価値など、多角的視点から導きだす、本質的に豊かな住まいを設計しています。趣味は、旅をしながら、その土地の「暮らし」を覗き見すること。