VRと言えばパッと思いつくところでは、ゲームなどエンタメ分野で多く見られますよね。そのVRシステムがリノベーション業界でも使用されているという情報をキャッチしたので、さっそくお話を伺ってきました。これを体験すると、注文内容も変わってくるんだそうです!
リノベーションを計画して、図面を眺めて頭の中でシミュレーションした段階では完璧でも、実際に家具を入れてみると想像より手狭だったり動線にゆとりがなかったりと、全てが思い通りとはなかなかいかないもの。そんなリスクを極限まで減らしてくれるのが、「フリーダムアーキテクツデザイン」が開発した“VR アーキテクツシステム”。そのフリーダムアーキテクツが展開するリノベーション事業「REDESIGN(リデザイン)」では、このVRアーキテクツシステムを使用したリノベーション提案を行っています。
目次
車を試乗してから買うように
リアルな住空間をVRでお試しできる!
このシステムは、3Dで作成した設計段階の家を、VRを使いバーチャル空間で疑似体験できるというもの。専用のゴーグルをつけて住空間を自由に歩くことで、図面やパースを見ているだけでは分からない、いろいろなことが実感できます。例えば、室内の奥行き感や天井高、時間ごとによる日差しの入り具合、壁紙の色、家具を搬入した際の部屋の雰囲気や圧迫感なども感じ取れます。
「リノベーション住宅は、お施主様のリクエストを伺い、図面やCGパースを作成し、紙ベースで話を詰めて施工という流れでした。車は試乗してから購入することができるのに、もっと大きな買い物となる住宅の場合は“試住”ができません。新築物件の場合はモデルルームがあるので大体のイメージはつきますが、リノベーションとなるとモデルとなる物件はなく、ひとつひとつがオリジナル。そのため、図面やCGパースだけではどうしても伝えきれない部分があり、お施主様とも完成イメージにズレが生じてしまうこともありました。REDESIGNではリノベーションの分野に“VRアーキテクツシステム”を導入したことで、そのズレがほとんどなくなりましたね」(フリーダムアーキテクツデザイン リデザイン部 部長熱田大作さん 以下同)
「身長に合わせたキッチン高の変更など
VRを体験した後は、リクエストが
より生活目線に変わってきます」
下の写真はVR内で実際に試住体験をした3次元の立体モデルです!
設計の初期段階でVRを取り入れたことにより、暮らしに寄った指摘が増えたそう。
「キッチンの使い勝手を確認していた奥様が、“もう少し調理台を高くしたい”とか“レンジフードの高さを調整したい”などのご要望もその場でパースを調整することが可能です。中には3次元のリビングで5分くらいソファに座ってじっくり居心地の良さを確かめるお施主様もいらっしゃいました」。
これまではどうしても“デザイン”や“素材”に目がいきがちでしたが、平面図ではイメージできなかった部屋の空気感や住んだ場合の実用感も丁寧に検証できるというのは、失敗したくない家の購入には本当に嬉しいことですね。
こんな日照シミュレーションもできる!
VRを用いれば、日差しの入り具合もわかるため、事前に部屋の採光計画を季節や時間軸で検証することができます。また実際に使用する家具を配置することができるので、竣工前にリノベーション代から家具まで含めた全体の予算がイメージできる点も助かります!
VRシステムをリノベーションに
活用するメリットとは?
これまで紹介してきたVRシステムの特徴をまとめてみました!
●図面だとイメージしにくいカウンターの高さや通路の幅などが確認&改善できる
●しゃがむ、見上げるなど、さまざまな動作&視点から住み心地を確認できる
●壁の色や家具を配置したときのインテリアの様子を確認&改善できる
●日差しの入り具合を考えて窓や家具の配置を検討できる
●新規購入する家具代なども含めたおおよその総予算をイメージできる
●施主と業者間の行き違いが大きく減らせる
戸建てやマンションのリノベーションは、自分の理想とする空間を建築設計者に伝えても、なかなかイメージが伝わらないもの。だからこそ、事前に何度も打ち合わせをして、後悔のない買い物にしたいですよね。リノベーションにVRシステムを活用すれば、竣工前にいろんな気づきがあるので、改善に改善を重ね、理想の住まいを手に入れることができるのです。これは試してみる価値がありますね!
取材したのはこちら
完全独立系の建築設計事務所では全国NO.1。2017年度の住宅設計実績は400棟を超える。世界にたった一つの家作りをモットーに、独自性の高い注文住宅を手掛ける。2016年からはリノベーションもスタート。