選択と集中が成功!「限られた予算のリノベーション」で満足感の高い結果を得る

限られた予算のなかで理想の家造りをする際に悩むのがお金の配分です。どこにどれだけ使うのか? 東日本橋の中古マンションをリノベーションしたYさんの予算はおよそ1000万円。暮らしていく上で、変わらない部分に予算を大きく割り振ったというYさんの家造りの考え方は、参考になりますよ。

東京のシンボル、スカイツリーが臨める東日本橋の中古マンションを購入しリノベーションしたYさんご夫婦。お二人とも住まいへのこだわりは強く、家を購入する際は自由にリノベーションができることが条件でした。家探しをしていた5年前に1棟丸ごとリノベーション会社が買い上げ、各部屋を家主が自由にリノベーションできるという現在のマンションと出合い購入を決めました。

「リノベーション会社と打ち合わせでは、理想の家を造れるという期待感を持ちつつも、予算という現実のなかでどう実現させていくかという課題もすぐに見えてきました。我が家の場合は夫婦と5歳の息子の3人家族。10年、20年と月日が流れるなかで、暮らし方の変わる点、変わらない点を精査することから始めました。そして家族が最も集まる場所であるLDKを主軸にし、年月を経ても変わらない壁、床、キッチンの素材に予算の比重を置くことにしたんです」(Yさん・以下同)。予算の振り分けをおおまかにまとめると、

レンガの壁:100万円
フローリング材:150万円
キッチン:100万円
壁の断熱材:100万円
家具類:250万円
その他(設計、人件費など):300万円

合計 およそ1000万円

集中的に予算をかけた場所を中心に、リノベの成果を見ていきましょう。

家の中心であるLDKの壁や床、
キッチンにはお金をかける

予算の約半分をかけたのが、空間の雰囲気をつかさどり、この先もずっと変わらない普遍的なパーツである壁、床、キッチンの素材。Yさんはリラックスできるようにとナチュラルさにこだわり資材を選びました。

100万円以上をかけたレンガの壁は
我が家のシンボル

ご主人が最もこだわったというのがLDKの壁一面のレンガ。レンガ調の壁紙かと思いきや、本物のレンガを積み上げて仕上げたのだそう。「部屋が狭くならないように奥行き5㎝ほどのレンガを半分に割って薄くし、それを職人さんがひとつひとつ積み上げてくれました。圧迫感が出ずに、それでいて落ち着ける色味を探してパーツ屋さんを巡ってしっくりくるこの淡めの赤レンガに決めました。レンガって耐熱性、耐水性に優れているので、熱に強く、カビも生えにくいということで、キッチンの作業台前まで思い切ってレンガにして横に視線が広がるようにしました。施工後5年が経ちましたがレンガ壁で困ったトラブルもありません」

アンティークっぽい色味で落ち着き感を出した
フレンチパインのフローリング

素足で歩くときも心地いいフィット感を求めて床も木のフローリングに。「木のフローリングだとメンテナンスが必要なこともありますが、やっぱり“木風”の床とは足裏が触れたときのタッチが全然違うんですよね。やっぱり温かみを感じるというか、リラックスにもつながると思い、床はエイジング加工されたフレンチパインという材質のフローリングにしました。色はアンティークっぽい色味に惹かれて選びました。経年変化も味になるなと考え、あえてワックスなどは塗らずに無垢なままを楽しんでいます」

ナチュラルさのなかにスパイスをひとさじ。
キッチンの天板はステンレスの1枚板を採用

アイランド型のキッチン。調理器具や、家電、ゴミ箱、食器に至るまで全て見えないよう内側に収納。

頻繁にホームパーティをするYさんは、キッチンをオープンにしたいという思いが強く、アイランドキッチンを選択しました。「キッチンとしての機能は果たしつつも、皆がくつろぐリビングにもなじむものにしたいと思いベースは木目調を選択しました。本物の木ではないので、メンテナンスも楽だし費用も抑えられました。でもインテリア的に緩急をつけたいなと思い天板をステンレスにしてモダンさを加えました。日々使っていくうちに細かい傷などはついていきますが、レストランの厨房感が出て気に入っています。また掃除がしやすいのもいいところです」

殺風景になりがちなトイレは
一面をレトロな雰囲気のタイル張りに

考えるのが後回しになりがちなトイレですが、Yさんはトイレも普遍的な場所と考え、壁にこだわりました。「トイレもひとつの部屋と捉え、インテリア的なポイントを作ろうと思いました。狭い場所なのでやれることは限られてるけれど、視覚的に変化をつけられるということで壁一面をタイル張りにしてみました。平田タイルでひと目惚れした、深いグリーンのタイルは程よいインパクトと落ち着き感を与えてくれるので気に入っています」

暮らしていくうちに好みや使い方が
変わる部分は、予算を抑えてスタート

生活スタイルや好みが変わることを想定し、家具や照明などは一生ものを揃えるのではなく、買い替え前提でネットなども活用して新調しました。

ソファとダイニングテーブルは
IDEEで統一感をほんのり意識

LDKはやや変形したおよそ23畳。窓からは眼下に隅田川を、視線を上げると東京スカイツリーを臨める。

ご夫婦揃って好きだというIDEEでダイニングテーブルとソファをチョイス。「ナチュラルななかにほんのりインダストリアルなテイストを加えるのが好きなので、ダイニングテーブルは天板はウッド、脚がアイアンのもの。ソファは床と壁のブラウンになじみすぎず、浮きすぎない明るめのレザー調にして、全体のトーンをまとめてみました。サイズ感やテイストに統一感が出るので、同じブランドで揃えるのが失敗しないかなと思います」

空間のアクセントになる照明は
ネットで好みのものをリーズナブルに購入

入居後に揃えた照明はご主人がネットで見つけてきたもの。「ダイニングの照明は工場感があって主人の好みにぴったり。ちょっとデザイン性があるほうが単調な空間の程よいアクセントになっていいですね。家具だとここまで主張したものは選びにくいですが、照明ならOKですよね。同じ感じで子供部屋の照明も、色味が気に入ったものを楽天で購入しました」

収納家具は組み合わせ自在で
リーズナブルな無印良品が活躍

子供のおもちゃや本、雑貨類などクローゼットにしまいこむほどではないものは、無印良品のスタッキングシェルフが活躍。「シンプルなデザインで我が家の空間にもなじみ、さらに足りなくなれば追加ができたり、置き方もいろいろと変えられるので子供の成長に合わせてカスタマイズできると思い購入しました。寝室でも本棚やちょっとした小物の収納として使っています。壁面にあっても圧迫感が出ないようオーク材を選びました」

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後で変えられるものは予算を抑えて、家自体のこだわりたい部分にお金を使うのが結果的に満足感が高くなりそう。まずは、自分がこだわりたい場所がどこなのかを見極めることが大切なのかもしれませんね。