ドクターに聞く「免疫力アップにつながる」5つの生活習慣

新型コロナウイルスをはじめ感染症対策としては、マスクや手洗い、うがいが大切ですが、感染しても重症化しない強い体作りも重要。特別なことをしなくても、普段の生活を意識するだけで免疫力は高められます。気をつけるべきポイントを医学博士 林 博之さんに伺いました。

人間の体には「免疫細胞」と呼ばれるさまざまな種類の細胞があり、体内に侵入してきた細菌やウイルス(病原体)に反応して攻撃、体を守っています。「 免疫力を高めるとは、端的に言えば、この免疫細胞の働きを活性化させることです」(渋谷DSクリニック 渋谷院 院長・医学博士 林 博之先生・以下同)。

目次

あなたの免疫力は大丈夫?
セルフチェック

  • 風邪をひきやすい/体調を崩しやすい
  • 疲れやすい
  • 気力がない
  • 寝ても疲れがとれない
  • 平熱が低め
  • 食欲がない
  • 便秘または下痢が続いている
  • 休みの日は寝てばかりいる
  • 目覚めや寝付きが悪い、睡眠が浅い
  • 肌/髪/爪の不調が続いている

このなかで、二つ以上自覚があったら免疫力が下がっているシグナルです。ホルモンバランスや体のリズムを整えることは免疫力向上に非常に重要な要因。「特別なことをしなくても、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度に運動するなど規則正しい生活をすることを心掛けるだけで免疫機能は改善されます」。不調を感じにくい、1日を快活に過ごせる免疫力をUPさせる生活習慣を見ていきましょう!

細胞を作る基は、バランスの良い食事。
日本人に不足気味のミネラルは積極的に

どの栄養素というより体に必要不可欠な「5大栄養素(タンパク質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラル)」をバランスよく網羅できているかが重要なんだとか。「免疫力を高めるためには、まずは普段の食事の栄養バランスがどうなのかを見直すことが大切です。例えば日本人が不足しがちとされているミネラルは、免疫細胞の保護のために必要です。日頃からビタミン・ミネラルが不足していると感じている人は、野菜や果物の摂取で補いましょう」

免疫機能の7割を担う腸の環境を
整えるには、発酵食品が役立つ

人の免疫細胞の6〜7割は腸にあり、腸内の免疫細胞は腸内の善玉菌によって強くなると言われています。「善玉菌のエサとなるのが乳酸菌などの発酵食品(主には納豆・ヨーグルト・キムチ・みそ)に含まれる菌や、食物繊維です。これらの摂取を心掛けるようにしましょう」。善玉菌を増やすことが、免疫細胞を増やす近道。

体温が低くなり過ぎないことも重要。
毎日最低30分歩く習慣を

体温が1℃下がると基礎代謝はおよそ12%低下し、免疫力は37%も低下するんだとか。「生活様式や仕事の変化で運動量や筋肉量が低下し、現代は低体温の傾向にあります。体温については36.5℃~が理想と言われていて、免疫力を下げないためにも、体温を上げるような生活習慣をつけましょう。具体的には入浴で温まる、30分歩く、スクワットを毎日行う、さゆを飲むなどです」

日付が変わる前にベッドに入り7時間寝る。
それだけでもホルモンバランスは正常に向かう

自律神経・ホルモンバランスは、免疫力に大きく影響します。「十分な休養やリラックスできる時間をしっかりとれているかどうかでホルモンバランスは大きく変わってきます。6〜7時間は続けて睡眠をとりましょう。可能であれば23〜24時には就寝できると睡眠の質が上がります」。毎日続けていると不調を感じにくくなり、1日を快活に過ごせようになるそうです。

入浴やストレッチで
血流を良くすることも効果的

「免疫細胞は白血球に集まっていて、白血球が体中を滞りなく巡ることで免疫力が発揮されます」。そのためには、運動・ストレッチ、湯船につかる、マッサージなどで、血の巡りを良くしておくと免疫細胞の活性につながります。「血流の改善としては、下半身の筋肉を動かすことが効率的です。特に下半身の血流ポンプの役割を果たしているふくらはぎを意識して動かすことと、ひざ裏やそけい部のリンパをマッサージすることで血流改善に役立ちます」

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「生活が大きく変容し、withコロナという考え方に社会も変わりつつある昨今ですが、健康維持の方法は以前より変わっていませんし、コロナ禍においても免疫力を高めることは可能です。免疫力を高めれば、ご自身も快活な毎日を送れるはずです」と林先生は言います。感染リスクを避けながら、自分の免疫力を高めるために日常を見直し、健康的な生活を心掛けていきましょう。

取材したのはこちら

「医学的根拠のないダイエット」に危機を感じ、健康を損なわないダイエットを提唱。「リバウンドなく体形を維持してこそ、ダイエットは成功」を基本理念とし、老若男女問わず一人ひとりに合った効果的かつ効率的なダイエットの指導を行う。著書に『ダイエットの真髄』(日本工業新聞社)。

渋谷DSクリニック 渋谷院 院長・医学博士 林 博之

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