シルク素材を自宅で洗う方法を紹介します。シルクのストールやブラウスの光沢感や心地よい肌触りをキープしつつ清潔に洗い上げるには、ちょっとしたコツは必要。失敗しないポイントを、洗濯ハカセに伺いました。肌に触れるものだから、いつでも気持ちよく使いたいですね。
光沢やなめらかな肌触りが魅力のシルク素材。自宅で洗うとせっかくの感触や光沢がなくなりゴワゴワと縮まないか心配ですよね? でも、手軽に洗えるならもっと頻繁に使いたい服はありませんか? シルク製品のなかには、自宅洗いOKのものもありますが、それでも取り扱いは慎重さが必要。そのあたりを洗濯ハカセこと、神崎健輔さんに聞いてきました。
シルクは人間の肌に近い構造で繊細。
だから摩擦と紫外線が大敵!
シルクはデリケート素材ですが、注意点をきちんと守ればおうち洗いも可能だと神崎さん。「シルクは肌と同じ動物性タンパク質でできています。人間の肌が摩擦に弱いように、シルクの大敵も摩擦なのです。これは普段の着用時はもちろん、洗濯時も同じ。水に浸かること自体も摩擦になります。したがって、シルクの洗濯は摩擦を極力避け、短時間で仕上げましょう。また、繊維と繊維の間に水が入り込むことで型崩れの原因にもなります。ウールやカシミヤも同じく動物性タンパク質ですが、シルクはこれらよりはるかに繊細。だから変色の危険性も高い素材です。シルクにはセリシンというタンパク質成分が含まれているのですが、これが紫外線を吸収すると黄色っぽく日焼けしたようになってしまうのです。だから、洗うのはもちろん、干す際にも注意が必要なんです。ちなみに着用しているときも長時間紫外線に当たっていると変色する可能性はなきにしもあらずです」(洗濯ハカセ・神崎健輔さん 以下同)
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「お家でシルク洗い」5つのルール
①:洗う前に手洗いOKか、
色落ちしないか2つのチェックがマスト
洗濯表示は洗濯におけるカルテのようなもの。シルクに限らずどんなアイテムも必ず洗濯前には表示をチェックするのがマスト。「そもそも擦れによる摩擦にも水にも弱いシルク素材は、洗濯機も乾燥機も使用NGです。まれに洗濯機OKのシルク素材もありますが、そうであっても極力手洗いをおすすめします。おうちクリーニングやドライ、手洗いコースなどを選んでも本当の手洗いとは比べものにならないほど摩擦を与えてしまうので。まずは手洗いOKの表示がついているかをチェックしてください。また、海外製のシルクは染色が弱く色が落ちてしまうこともあるため、軽く湿らせたタオルを裏から当てて色が抜けないかテストするといいでしょう」
②:シルク製品は、つけ置き洗いはNG。
洗い90秒、すすぎ90秒を目安に優しく素早く
手洗いとはいえ、シルクに関しては、スピード感と優しさが求められます。「シルクは繊維と繊維の間に水が入り込んでしまうと糸のよりが解けて型崩れの原因になってしまうので、水に触れている時間を極力短くしてください。摩擦がよくないならと、つけ置き洗いをする方もいますが、先の理由によりNGです。洗い方は、たらいなどに水を張り、洗剤をきちんと攪拌します。型崩れを防ぐため、おけのサイズに収まるようたたんだら、そっと水に浸けます。両手で優しく沈めて、軽く持ち上げてまた沈めてを3回から5回繰り返したら、同じ要領ですすいでください。時間にすると洗い1分半、すすぎ1分半で計3分ほどです。物足りない気がするかもしれませんが、この方法でちゃんと洗剤が繊維の中に入り込み汚れを落としてくれるので大丈夫です」
③:毛玉や毛羽立ちは洗剤でシルクが溶けた!?
使うのは中性のデリケート洗剤1択
優しく手洗いといっても、普段のアルカリ性洗剤を使うのはご法度! また、ふんわりさせようと柔軟剤を使ったり、白くしたいからと漂白剤を入れたりするのもNG!「アルカリ性の洗剤はシルクのタンパク質を溶かしてしまうので、絶対に使わないでください。洗えば洗うほど毛羽立ったり黄色っぽく変色したりボロボロになってしまいます。また、柔軟剤や漂白剤は繊維を偏らせたり、縫い目や繊維そのものをもろくさせて、型崩れや劣化を招きます。デリケート用の洗剤を溶かした水にくぐらせるだけできちんと汚れは落ちているので、これらは使わなくて大丈夫です」
④:脱水機やハンガー干しは型崩れの原因に。
タオル脱水と平干しを守ること
摩擦が大敵のシルクは脱水時にも細心の注意を払って。「よく、ネットに入れて脱水だけは洗濯機でという話も聞きますが、たとえ1分という短時間の脱水でも洗濯機での脱水はシルクを傷めます。手間はかかりますが、バスタオルに挟んで優しく絞って脱水してください。その後は平干しを。ニットと同様でハンガーにかけると水の重みで繊維が偏る恐れがあるので平干しネットなどを活用しながら直射日光を避けて干してください。これは、紫外線による変色を防ぐためです」
⑤:頻繁に洗わないほうがいいと思いがち。
でも、それは間違い!着たら洗うを心掛けて
シルクのなめらかさや柔らかな風合いを維持するためには気をつけたいポイントは2点。「摩擦が1番の敵なので、頻繁に袖を通さないこと。つまり、ヘビロテしないことも意識してみてください。着用時に生地と生地が擦れる、バッグなどが生地に当たるなど、頻繁に着るとそれだけ劣化のスピードとリスクは高くなります。一方で、繊細な素材だからと2、3度着てから洗濯するという方もいますが、むしろ、洗濯は着た際に都度行ってください。汚れをためてしまうと優しい手洗いでは落ちきらず、色のくすみなどにつながります。週1回の着用とその都度の洗濯が風合いを美しくキープするうえでも理想的なペースかと思います」
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シルク素材に限らず、高価な素材ものは何回か着てから洗うほうがいいと思っていました(笑)。まずはそこから反省。洗濯表示を確認しつつ、自宅で洗えそうなものは、おうち洗いにチャレンジしてみようと思います。ポイントは、摩擦を避け、優しく、短時間で、です。皆さんも、ぜひ試してみてください。
取材したのはこちら
実家の老舗クリーニング店「白洋社」部長として働く傍ら、宅配クリーニング「Nexcy(ネクシー)」CTOとしての顔も。もっと洗濯を楽しくキレイに!をモットーに日々洗濯の技術を模索中。洗濯ハカセの異名を持ち、日々家庭でできる洗濯や染み抜き技術をSNSや各メディアで配信中。