「お酢掃除とクエン酸掃除」その違いと適した掃除場所は?

ナチュラル掃除の代表格とも言えるお酢とクエン酸を使った掃除の基礎知識を紹介します。この二つは似た者同士ですが、同じように使っていいのか、それぞれ適した掃除場所はあるのかなど、気になっていたことを家事アドバイザーの毎田祥子さんに伺いました。

昔に比べて生分解性が良くなり、環境への影響が少なくなったと言われる合成洗剤に対し、もともと自然界に存在し、生分解性も良いクエン酸や酢などは地球に優しいとされています。そんな環境配慮の観点から、ナチュラル掃除が注目されていますが、酢とクエン酸掃除、よく聞く二つの使い方や違いをよく分かっていない方も多いのでは?

「この二つの使い道や性質はほぼ同じです。共に弱酸性で水あか、尿汚れなどのアルカリ性の汚れを落とし、またそれらに伴う臭いを消すのに有効です。トイレ、水回り、キッチン、風呂などが主な活用場所。酸性なので、アルカリ性の汚れは得意ですが、油汚れや皮脂など酸性の汚れは不得意。共に緩やかな殺菌力があるので、赤カビや黒カビの予防にはなりますが、できてしまったカビを落とすことはできません。酢は食用なので万が一口にしても安心というメリットがあります。クエン酸も成分そのものは果物などの酸味に含まれるもの。食用のものは純度も高く、ものとしてはいいのですが、価格が高くたくさん使えないので掃除用のクエン酸がおすすめです」(All About家事ガイド 毎田祥子さん 以下同)

目次

性質や落とせる汚れは同じだけど
掃除法には若干の違いあり

「お酢とクエン酸の違いは、臭いと揮発性の有無と水ぶきの必要度合い。酢はご存じの通りツンとする臭いがありますよね。揮発性が高いのですぐに臭いは消えますが、苦手だという方も。また酢には糖分が含まれているのでベタつきが残りやすいためしっかり仕上げの水ぶきをする必要があります。一方でクエン酸は軽い水ぶきだけでOKですが、皮膚が弱い人は荒れる可能性もあるので掃除の際は手袋をするほうがベターです。酢はどのご家庭にもあるので気軽に始めやすく、食用なので安心というイメージが強いのではないでしょうか。どちらも汚れの落ち具合に大差はないので好みや場所別に使い分けするのがいいですね」

毎田さんがおすすめする
酢、クエン酸掃除おすすめ場所と方法

酢、クエン酸は共にトイレ、水栓、シンクなどの水あか、石けんカス、尿などのアルカリ性の汚れ落としが得意です。どちらを使ってもOKですが、より安全に、安心して使えるそれぞれの適材適所を教えてもらいました。

酢は口にしても安全なものだから
日々の冷蔵庫内のふき掃除に

酢でおすすめは雑巾に酢を染み込ませたふき掃除。「アルカリ性の汚れが付着している場所のふき掃除が適していますが、やはり食用という最大の武器を生かし、口にする食材を入れておく冷蔵庫内のふき掃除がおすすめです。酢はキッチンにあるでしょうから思い立ったときにサッと掃除できるのも魅力です。使う際は酢:水=1:2で薄めてください。ちなみに水で希釈しても酢の糖分は消えないので仕上げの水ぶきはしっかりすることを忘れずに。通常の食用酢で問題ありませんが、穀物酢、米酢、ホワイトビネガーは糖分が少なく扱いやすいと思います。逆に調味酢や果実酢、赤ワインビネガーなどは糖分が多いので避けて。赤ワインビネガーなど色のついた酢は、色移りにも注意を。ちなみに、酢の臭いが気になるという方は、酢:水=1:2で薄めたものにローズマリーを漬けてみてください。ローズマリーの香りで酢の刺激臭が軽減され、殺菌作用もプラスされるので除菌力も高まりますよ」

臭いを残したくないトイレの
消臭もかねてクエン酸スプレーを常備

無臭でベタつきなども残らないクエン酸は、スプレーにしておいてトイレに常備しておきたい。「水あかや尿汚れなど、トイレは酸性のクエン酸が得意とする汚れのオンパレード。臭いが残らず軽い水ぶきでOKなクエン酸は、トイレのふき掃除には最適です。推奨濃度は、水200mlに対しクエン酸小さじ1。穏やかな消臭効果も期待できますよ。便器、タンクの他、床、壁、トイレマットなども一気にふき掃除ができるのであれもこれもと洗剤を使わなくていいのもいい点です。ちなみに便座やふたなど、プラスチック素材は酸性、アルカリ性どちらの洗剤でも割れることがあるので洗剤を使う場合は中性洗剤と覚えておいてくださいね」

ナチュラルと侮るなかれ。
酢、クエン酸掃除の二つの注意点

注意1:変質の可能性がある材質には使わない

ナチュラル掃除だから何にでもOKと思いがちですが、使えない材質もあります。掃除用のクエン酸には注意書きもありますが、木や大理石、ステンレス以外の金属に使うと変質、変色の恐れがあるので使用NGです。また洗濯機や風呂釜は奥のほうに金属管が使われているのでさびる恐れもあるため避けましょう。

注意2:塩素系の洗剤とは絶対に混ぜない!

酢、クエン酸ともに酸性なので、塩素系の薬品とは絶対に混ぜてはいけません。食用の酢なら大丈夫な気がしてしまいますが、食用酢も含まれているので注意してくださいね。特に水回りや風呂などは塩素系洗剤も使う場所なので、酢やクエン酸で掃除をしたらしっかり水ぶきや水で流すことを徹底してください。

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今までモヤっとしていた酢とクエン酸の違いや注意点が分かりすっきり!早速掃除に取り入れてみたくなりました。自然だからと侮らず、注意点を守りながらナチュラルクリーニングにトライしてみようと思います。

取材したのはこちら

掃除、洗濯、料理などの基本の家事を、その時々の世の流れを組み込みハウスクリーニングやハーブ、アロマ等の資格も生かしたmix家事として提案。家事の形は「自分が一番心地いいバランス」を見つけることが大切だと力説。『ラクしてちゃんとした暮らしができる“朝だけ家事”』など著書も多数出版。

All About 家事ガイド 毎田祥子

https://allabout.co.jp/gm/gp/4/