毎年1%ずつ筋肉は減る⁉「下半身を鍛えて」効率よく代謝アップ

健康を維持して長生きするためには下半身の筋力アップが大切というのは最近の常識。とは言っても運動する機会が減っている昨今、自宅でもしっかり脚の筋肉を鍛えられるエクササイズを、青山学院大学駅伝チームのフィジカルトレーニング指導も行う第一人者、中野ジェームズ修一に教えていただきました。

海外での研究によると、歩くスピードが速い人は、ゆっくり歩く人の2.68倍大きな病気にかからず健康が維持でき(参照:PubMed.gov)、歩行速度が速い人と遅い人では平均寿命が20歳近く違う(参照:jamanetwork.com)との調査結果が出ています。つまり、速く歩くことができる=脚の筋肉がしっかりしている人は、健康寿命が長いということ。高齢者ならずとも、脚を鍛えることは健康につながります。

20歳を過ぎると、筋肉は
どんどん減っていく

「20歳を過ぎるとよほどの運動をしていないかぎり、男女問わず1年で1%ずつ筋肉量が減っていきます。筋肉が減れば基礎代謝量も減るわけで、若い頃と同じように食べているとカロリーを消費しきれず脂肪としてたまる一方です。特に、昨今のコロナ禍で通販やデリバリーの活用やテレワークは、運動不足による筋肉量減少に拍車をかけています。筋肉が少なくなると血流も悪くなり、疲れやすくなるといった負のループに陥ることも」(フィジカルトレーナー 中野ジェームズ修一さん・以下同)。最近だるさを感じたり、体形が崩れ始めてきたら、それは筋肉量が減っているサインです。積極的に体を動かすことをおすすめします。

中野ジェームズ修一さんは、フィジカルトレーナーの第一人者。「運動不足による筋肉量の低下は、健康寿命にも大きな影響を与えます。自立した生き生きとした人生を送るためにも、今こそ運動を始めましょう」

今、鍛えるべきは下半身
筋肉をつければ疲れや脂肪を解消できる!

「おなかや二の腕の“たぷたぷ”を減らそうと、気になる部分の筋トレに励んでいる人がいますが、実はあまり意味がないんです。鍛えるべきは下半身です」。ヒップや太ももなど大きな筋肉(大筋群)の宝庫である下半身を重点的に鍛えることで、基礎代謝量を効率よく上げることができ、消費カロリーがアップ。その結果、自然とおなかや二の腕の脂肪も落ちていくそうです。「メリットはまだまだあります! 筋トレを取り入れることで血流がアップし、疲労回復にもつながります。トレーニングが日課になれば、心肺機能も向上して、階段も息切れすることなく上れるようになります」。テレワークで頭ばかり使っている人こそ、下半身の筋トレを取り入れるべきということですね。

自宅でできるエクササイズを紹介

①「片脚立ち上がり」
下半身全体の筋肉をつける

イスに浅く座り、机(または別のイスの背もたれ)に両手をつきます。片脚を軽く浮かせ、太ももを意識しながら4秒かけてゆっくり立ち上がります。4秒かけてお尻を浮かせた状態に戻ります。これを最低3回ずつ(目標10回)両脚行います。1日最低3セットは行ってください。

「まずは下半身全体を鍛えましょう。両脚を同時にスクワットするのがメジャーですが、実は高齢者でない限り刺激が足りません」。片脚ずつ行うことで下半身に負荷がかかり、より効率的にヒップ〜太ももを強化することができるんだとか。「デスクワーク中に何かものを取りに立ち上がろうとするとき、このエクササイズを取り入れるようにすれば無理なく続けられますよ」。ゆっくり上がってゆっくり下がるのがポイント! お尻がイスに当たるか当たらないかのギリギリのところまで下げると強度が上がるそうですよ。

②「大股スクワット」
ヒップと太ももを鍛えて
腸腰筋の柔軟性UP

脚を前後に大きく開き、片尻だけで座ります。体がぐらつかないように、片手をイスの座面に置き支えます。前に出した脚の膝が前に出て行かないように4秒かけてゆっくり真上に上がります。4秒かけて①の体勢に戻ります。このとき後方の脚のつけ根にある腸腰筋がしっかり伸びていることを確認してください。これを最低3回(目標10回)繰り返し、反対側の脚も同様に行います。1日最低3セットは行いましょう。

ヒップの筋肉(大臀筋)と太ももの裏(ハムストリングス)の筋肉を強化することで、ヒップラインが引き締まり、代謝量もアップ! ダイエット効果にもつながるんだとか。同時に、上半身と下半身をつなぐ腸腰筋と呼ばれる筋肉(下腹〜足のつけ根あたり)をストレッチして、柔軟性を高めます。「腸腰筋が凝り固まっていると、姿勢が悪くなったり、下腹が出てきたり、歩幅も狭くなったりといいことは一ひとつもありません。逆を言えば、この筋肉の凝りを解消することで理想的なスタイルに近づきます」

③「膝上げ」
腸腰筋を鍛えて
日常動作をスムーズに

脚を肩幅に開きます。体がぐらつかないように片方の手をイスの背に置き支えます。片方の脚を軽く曲げ、胸のあたりまで1、2、1、2とリズミカルに最低10回(目標20回)上げ下げします。反対側の脚も同様に行いましょう。1日最低3セットは行ってください。

仕上げは腸腰筋のトレーニングです。前述のとおり、腸腰筋は姿勢や歩行に関わるとても重要な筋肉です。体の深層にあるインナーマッスルなので外からは見えませんが、日常的に意識して鍛えることで、姿勢がよくなり、垂れ尻や下腹ぽっこりの解消、歩く足取りもスタスタと軽やかになります。「このエクササイズはいつでもどこでもできます。特に回数は決めず、思い立ったらやるぐらいの気持ちで続けてください!」

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どれも手軽にできるので、今からでも始められそうですね!「筋トレ以外にも、とにかく日常的に体を動かすことを意識してください。例えば、駅やマンションでは必ず階段を使う。テレビを観るときは横にならず、踏み台で足踏みしながら観る(ランニングと同じ程度のカロリーを消費します!)。近所をウォーキングすることを日課にし、慣れてきたらランニングを始めてみる。テレワークで通勤に費やしていた時間を、運動の時間にあててほしいですね」

撮影/相澤琢磨

取材したのはこちら

日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるフィジカルトレーナーの第一人者。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球の福原愛選手やバドミントンのフジカキペア(藤井瑞希選手、垣岩令佳選手)など多くのアスリートから絶大な支持を得ている。2014年からは、青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。自身が技術責任者を務める東京神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」は、「楽しく継続できる運動指導と高いホスピタリティ」が評価され活況を呈している。主な著書に『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)、『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレシリーズ』(徳間書店)などベストセラー多数。

中野ジェームズ修一