冬こそ注意が必要!「マスク肌荒れ」原因と対策

マスクをした生活が常態化してはや1年。それに伴い肌トラブルの声もよく聞かれるようになり、皮膚科を訪れる人も増えているようです。空気が乾燥する冬は特に気をつけるべき時期。「マスク肌荒れ」にはどんな対策をすればいいのか、皮膚科の専門医に聞きました。

withコロナ時代の今、毎日のマスク着用が当たり前になりました。それに伴い肌トラブルも増えています。「マスクの常用が始まってから1年近くたとうとしていますが、マスクによる肌トラブルでクリニックにいらっしゃる方は以前より増えています。その最たる原因がニキビの悪化なんですが、マスク常用前に比べて30%ほど増えたように思います。さらに冬になり乾燥による肌不調を訴える方も増えていますね」(天下茶屋あみ皮フ科クリニック院長 山田貴博さん 以下同)

マスク肌荒れの3大要因

1.高温多湿によりニキビが悪化
「毛穴の奥にある脂のつぼの入り口が、角質や汗の混じった汚れで詰まってしまう状態を放置していると、菌が繁殖して赤ニキビに発展しがちです。思春期ニキビの場合はおでこから鼻筋にかけてのTゾーンにできやすいのですが、マスクの着用が原因による大人ニキビは、口周りやフェイスラインに注意。また、高温多湿な状況を作るマスク着用はニキビを悪化させやすい環境です」

2.マスクと肌の擦れによる炎症
「マスクが頬など皮膚との摩擦により炎症を起こしてしまうというトラブルも多いです。マスクが刺激を与えているだけでなく、マスクについたほこりや空気中の物質などが皮膚に付着し赤みやかゆみなどを引き起こしている可能性もあります」

3.侮れないのが乾燥肌
「マスクで蒸れているのは、保湿されているのとは違い、マスクを外すときに顔の周りにたまっていた水蒸気が肌の水分も奪っていきます。肌が乾燥すると皮膚のバリア機能も低下するので荒れやすくなりますね」

目次

マスクをしていてスキンケアの
油断しがちな今、「乾燥」は特に注意。
さまざまな肌トラブルの原因に

マスクをしていると自らの呼吸でマスク内はスチーム状態。乾燥とは縁遠いと思いがちですが、それが大きな間違いと山田先生。「冬でもマスクの中はサウナのように蒸れている状態ではありますが、肌が潤っているわけではないんです。お茶を飲んだり、食事をしたりするときにマスクをパッと外した瞬間、ものすごい勢いで皮膚中の水分が蒸発してしまいます。お風呂から上がった瞬間、肌がパリパリに乾燥していくのと同じ原理です。そのため、乾燥肌や敏感肌の人は、肌が乾燥してしまい、逆に脂がきちんと出せる普通肌の人は、乾燥を防ぐために肌が慌てて脂を出そうとするので、毛穴が詰まってニキビになってしまうのです。また、顔のほとんどをおおっていることから、女性の場合はメイクも薄めで、それに伴い洗顔やスキンケアも手薄になっている傾向が。そのためマスクをしていないときより肌も無防備な状態なので、乾燥による炎症を引き起こすパターンが冬は特に多いです」

とにかく心掛けるべきは「保湿」すること

マスクによる肌荒れ対策で最も重要なのは、しっかり保湿をすることです。やるべきことは、

  • きちんと汚れを落とす
  • 化粧水をたっぷり与える
  • 保湿クリームなど油分で肌にふたをする
  • 日中もこまめに保湿を心掛ける

これらが基本。「乾燥肌、敏感肌の方はもちろん、オイリーなニキビ肌の方も同じです。マスクの中は、単純に水分で蒸れているだけで、油分が補充されているわけではありません。マスクを外して肌の水分が蒸発すれば、皮膚の中の潤い成分も一緒に持っていかれてしまいます。スキンケアの基本ですが、きちんと汚れを落としたうえで化粧水、美容液、そして保湿クリームなどの油分でしっかりふたをしてあげてください。ただでさえ空気が乾燥している今の時期は日中もこまめに保湿を心掛けてほしいですね」

洗えるマスクを使っているなら
洗剤残りにも注意を

使い捨てではなく、洗えて繰り返し使えるマスクも一般的になりましたが、実は洗濯がマスク肌荒れの原因を作っている可能性も。「布製マスクを洗濯機で洗う人も多いと思いますが、敏感肌の人は、洗い残しの洗剤で肌が荒れてしまうケースもあります。マスクの除菌自体は水洗いや熱湯消毒で十分なんですよ。汚れが目立ってきたら洗剤で洗うようにしましょう」

マスク選びも一考するタイミング。
肌に優しい素材、オーバーサイズがいい

マスク肌荒れの対策として、マスク自体を見直してみるのも大切だと山田先生。「肌へのダメージだけで考えると、不織布タイプは肌が強い人以外におすすめできません。不織布のマスクは細かな摩擦が常に肌の上にあるので、肌の表面の角質層が常に削られている状態なのです。特に小さいサイズのマスクをぴったり付けていると、マスクの縁が頬やフェイスラインに当たり、肌が荒れる原因に。ただでさえ乾燥でダメージを受ける時期ですので、さらに表面が削られ悪循環になります。化学繊維によるジャージー素材も刺激になりやすいので敏感肌の人は避けたほうがいいでしょう。やむを得ずこれらのマスクをつけなければならない場合は、内側にガーゼを1枚挟み、マスクが直接肌に触れないようにしましょう。また、サイズも重要です。鼻の頭から顎先まで全ておおう大きめのサイズで、肌との接地面が少ないものを選ぶと肌荒れのリスクを減らせます」

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まだまだ続くマスク生活。基本に立ち返り、マスク選びとケアをしっかり行ってマスク肌荒れとは無縁の冬を過ごしたいですね!

取材したのはこちら

名古屋市立大学医学部卒。NTT西日本大阪病院、阪南中央病院での勤務を経て、2017年に天下茶屋あみ皮フ科クリニックを開院。

大阪府大阪市西成区岸里1-1-4
Tel.06-6115-6665
休診日 木曜、日曜、年末年始

天下茶屋あみ皮フ科クリニック 院長 山田貴博さん

http://ami-skinclinic.com/