お腹が痛い! そんなとき頼りになるのが「正露丸」。実は8月に売り上げが増えるのですが、猛暑だったこの夏は、お世話になった人も多いのではないでしょうか? 私たちにとって身近な家庭薬、正露丸の素朴な疑問や「へえ〜」とうなるトリビアを調査してみると、意外なほど面白かったのでご紹介します!
お腹が痛くなったときに思い浮かぶのが「正露丸」ですよね。身近な薬として親しまれていますが、その成分には5000年近い歴史があったり、ブナ・松・杉等の原木を乾留、蒸留精製して得られる「木(もく)クレオソート」を使用した天然由来成分の生薬で、正露丸はいろいろな会社から発売されています。今回、“ラッパのマークの正露丸”で有名な大幸薬品・広報の中島杏子さんに「え!そうだったの!?」と思わず驚く正露丸のトリビアを伺いました。
目次
気温が1℃上がると売り上げも
3.5%上昇! 正露丸は8月に売れる
「上のデータを見ていただくとわかりやすいのですが、23℃を超えると、温度が1℃上がるごとに売り上げが平均3.5%上昇するという結果が出ています。おそらく冷たい飲み物・食べ物、冷えた室内(クーラー)等による“冷え”が原因で下痢になる人が多いからだと思います。水分を大量摂取することによる胃腸のダメージによる下痢も多いようです。それと、夏休みの海外旅行のお供として購入いただくことも多いです。実際この時期、空港の販売店では売り上げが伸びています!」(大幸薬品 広報の中島さん・以下同)
いろいろな会社から出ている正露丸には
違いがあり、ラッパのマークの
正露丸はウイルスや菌の下痢でも飲める
「 下痢は、腸の水分が過剰になってしまったり、大腸のぜん動運動が過剰に活発化したりすることで起こります。正露丸は各社の成分の違いで、【腸の動きを止めるタイプ】と、【腸の動きを正常化させるタイプ】に分類できます。下痢の原因は①飲み過ぎ・食べ過ぎ②ストレス③冷え④ウイルス・菌の4つありますが、ウイルス・菌による下痢の場合は注意が必要です。【腸の動きを止めるタイプ】だと、動きの止まった腸にウイルスや菌が留まってしまい、増殖してしまう恐れがあるからです。ラッパのマークの正露丸は、腸の動きを止めずに【腸の動きを正常化させるタイプ】なので、①~④の全ての下痢に飲むことができる全下痢対応の正露丸なんです」
もともとは「ロシアを征服する」の
意味を込めて「征露丸」だった
「正露丸の主成分“木クレオソート”の起源は、紀元前3000年のエジプトでクレオソートの原料でもある木(もく)タールをミイラの保存に使用していたことと言われています。その後、1830年頃にドイツでその精製に成功し、化膿症の治療や防腐剤、下痢止めとして使用されるようになったものが1839年に日本に輸入されました。1880年頃には、森鴎外らによって軍薬として活用されたようです。1904年の日露戦争では、日本軍の常備薬として使用されていました。なお、大幸薬品の『正露丸』は、日露戦争の2年前の1902年に、中島佐一薬房が『忠勇征露丸』の名で販売したのが始まりで、1946年に大幸薬品が製造販売権を継承しました。当時から、『ラッパ』がパッケージに用いられていましたが、それは当時軍隊のお昼を知らせる食事ラッパが由来と言われています」
アメリカでは脱水を防止する
サプリメントとして受理されている
「各国で薬の認可が違うので、各国に合わせた提供の仕方をしています。アメリカでは、従来、『SEIROGAN TOI A』(米国での商品名)を健康食品として販売してきましたが、昨年、FDA (米国食品医薬品局)に対し、『SEIROGAN TOI A』の主成分である 「木(もく)クレオソート」に、“運動時および発汗時に体内の水分吸収を促進し、脱水を防止する”作用があることを届け出し、受理されました。昨年のホノルルマラソン・エキスポでは、スポーツサプリメントとしてサンプリングも行いました。なお、日本国内では脱水予防による効能効果の承認は得ていませんので、サプリメントとしては販売しておりません」
同じ成分でも国によって、認証される効能が違うというのは驚きです。アメリカで脱水を防止する作用が認められているのであれば…他の用途にも期待ができそうですね!
黒い粒の正露丸 は虫歯痛にも効果がある
「正露丸の主成分である“木(もく)クレオソート”は、歯の鎮痛鎮静や根管の消毒用としても使用されているので、虫歯による痛みにもご使用いただけます。正露丸は匂いのない白い粒のもの(糖衣A)やカプセルタイプもありますが、歯痛には匂いが独特の黒い粒の正露丸が効果を発揮。内服するのではなく、痛みのある虫歯に適量詰めるといいですよ。ただし、一時的な歯痛止めであって、虫歯そのものを治療する効果はありませんので、歯科医で適切な虫歯治療を行ってくださいね」
スタンダードな正露丸は歯痛にも効果あり。
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「1981年にはコーティングすることで、あの独特な匂いがしない“セイロガン糖衣A”という商品が発売されています。若い世代の人たちにとっては正露丸と言えばこの“糖衣A”と思っている人も多いようです。昨年には、素早く溶ける液体カプセルタイプを発売し、こちらも匂いを抑えた製品です」
匂いのないセイロガン糖衣A
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素早く溶ける液体カプセルの正露丸クイックC
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あなたはいくつ知っていましたか?意外と「知らなかった」というトリビアもあったのではないでしょうか? まだまだエアコンや冷たい飲み物にお世話になる陽気が続くので、お腹痛の救世主として、正露丸を常備しておいてはいかがでしょう?