ちょっと風味が悪くても、水っぽくても「冷凍食品だからしょうがない」と思っていませんか? それ、思い込んでいた勘違いを正せば解消できますよとは、冷凍食品ジャーナリスト山本純子さんの弁。みんながやってしまいがちな冷凍食品の勘違いを指摘してもらいました。
こんな思い込みは全部NGです!
- 冷凍庫にただ入れておけば安心
- 開封後も賞味期限内は保存OK
- 霜のような氷が付いている魚介類は古い
- 冷凍野菜はゆでるとべちゃべちゃ
- いつもレンジの温めボタンにお任せ
当たり前のように思っていたことですが、山本さんいわく全て間違った認識なのだとか。これらを正すだけで冷凍食品へのプチ不満は解消され、今までよりおいしく食べられるかも。
NG! 冷凍食品は凍っていれば問題なし
▼
「おいしい冷凍保存の最適温度は-18℃以下。
温度変化が意外と多い家庭の冷凍庫は要注意」
溶けなければOKと、冷凍庫に雑然と保存している方は意外と多いと思います。冷凍食品をより良い状態で保存するには実はきっちり並べて庫内をパンパンにするのが正解だとか。「アメリカで行われた実験で、冷凍食品は-18℃以下(0℉以下)という温度帯がいちばん効率よく味や風味を損なわずに1年間保存できるという結果が出ているんです。そして世界基準になりました。これを受けて日本の冷凍食品業界も-18℃以下を基準としています。しかしながら家庭の冷凍庫は開け閉めによる温度変化が激しいのに加えて隙間が大きいと扉を開けたときにそこに外気が入ってさらに温度が上がります。もはや常識になりつつありますが、冷凍庫内のものは互いに冷やす働きもあるので、できるだけパンパンに詰めるのが正解なんです。-18℃という温度にも注目してみてください」
NG!半分食べても残りは冷凍しておけばOK
▼
「度重なる温度変化は味の劣化をまねきます。
購入後1、2カ月以内で食べきるのが理想」
賞味期限内だからと一度買ってきた冷凍食品をずっと冷凍庫に眠らせていませんか? それ、冷凍食品的には品質を落とすNG行動なんです。「冷食企業が最も大切にしていることは温度管理。コールドチェーンと言われ、冷食を製造している工場から消費者が手に取るまで、低温での流通を途切れさせないことに気を使っているんです。というのも温度が上がると品質が担保できないから。買ってきたらそこからできれば1カ月以内、遅くとも2カ月以内には食べてしまいましょう。よくあるのが、賞味期限が1年あるからと開封後半分食べて残り半分を冷凍保存。その後期限ギリギリで食べると『あれ、なんか味が違う』という場合は、度重なる温度変化で味が劣化したせいです。開封したものをまた冷凍庫に戻す際は、できるだけ空気を抜き、保存袋などに入れるのがいいでしょう。そしてできる限り早く食べ切るのがおすすめです」
NG! 霜のような氷があまり付いていない
冷凍食品を選ぶ
▼
「むきえびなどの氷は酸化防止用にあえて
付着させている、いわば冷凍食品の品質担保」
冷凍されたむきエビ、むきアサリなどを買ってくると、霜のような氷が付いてることがありますよね。なんとなく古そうに感じてしまい、つい、付いていないものはないかなと探してしまいますが、これもまた勘違い。「魚介類に付いているのを見て、良くないものと思い込んでいる人が本当に多いのですが、その氷はグレーズといって酸化防止のためにあえて氷の膜を付けたものです。氷がカチカチに付いているのは、鮮度の証しだと思ってください。ちなみに、グレーズが付いたまま調理するとべちゃっとなるので、水やお湯をかけてグレーズをきちんと取り、水気をふき取ってから加熱調理をしましょう。どの食材も驚くほど食感や風味が良くなりますよ」
NG! 冷凍野菜はゆでるとべちゃべちゃになる
▼
「冷凍野菜は8割ゆでて冷凍したもの。
ゆですぎの可能性があるかも」
私も、冷凍野菜はゆでると水っぽくなっておいしくないと思っていました。でもそれは、冷凍野菜は生野菜を凍らせたものだという勘違いからくるゆですぎに原因があるそう。「冷凍野菜には、『加熱してありません』と表示されていますが、それは調理としての加熱をしていないだけ。生鮮からのゆで時間を10としたら、冷凍野菜は凍結前の下ゆで(ブランチング)で8割加熱済みと考えてください。そのため、生野菜と同じように調理すると、カボチャは皮がむけてボロボロ、ホウレンソウもゆでるとドロドロになってしまいます。汁ものなどは、最後に冷凍野菜をそのまま入れて火を止める程度でOKです。ごぼうのような根菜も加熱してあるので、残り2割の加熱と心得てください」
NG! レンジは温めボタンで済ませちゃう
▼
「レンジの自動温めや長時間加熱はダメ!
表示時間通りが最もおいしく仕上がります」
冷凍食品はレンチンすればOKという思いから、自動温めに任せっきりにしていたり、逆にちゃんと火が通るか心配だからと長時間加熱していませんか?「どちらもよく聞きますし、決してやってはダメというわけではないのですが、もったいないですね。というのも、冷凍食品の裏側に記載されている解凍・調理時間は、その商品がベストな仕上がりになるようにメーカー側が計算して出している数字です。できれば、あわてず、急がず、500Wでの加熱をおすすめします。裏面の調理方法に従って、最もいい状態で召し上がってください!」
・・・・・
取材をするまで全て裏の行動をしていました…(反省)。どれもちょっとした心掛けでできることなので、早速実践して冷凍食品をもっとおいしく活用していきたいと思います。
取材したのはこちら
冷凍食品ジャーナリスト。冷凍食品専門紙の記者・編集長・主幹を34年務めたのちに2015年10月に独立。「冷凍食品エフエフプレス」を立ち上げ、本当においしくて楽しい冷凍食品の情報をお届けすべく活動中。自称“冷凍食品おばさん”。