【白金台「雨晴」の主人に聞く和の器選び】汁気のある料理用に持っていたい深さのある8寸皿

素朴な表情ながら温かみがあって、ちょっとした料理も引き立ててくれる和の器。でも、どれを選べばいいのか分からなくて敬遠していませんか? そこで、白金台で和食器を中心とした工芸品を取り扱う「雨晴」の主人を取材。 毎月、旬の食材や料理に合わせた器選びの考え方を教えていただきます。

「陶房眞喜屋」8寸皿(φ24.5×H5.3㎝)8,100円(税込)

栄養価が高く、また美肌効果もあると人気の夏野菜ゴーヤ。家庭菜園で育てているひとも多いのでは? ゴーヤがいちばんおいしいただけるのは夏真っ盛りの6月から8月。夏バテにも効果バツグンです。そのなかでもポピュラーな、ゴーヤチャンプルーを今月の例題として話を聞きました。

目次

汁気を含んだ夏の炒め物には
柄が美しい深皿が映える

「今回ご紹介するのは沖縄県南城市で作られた8寸皿。昔から沖縄では汁気の多い炒め物をよく食べるため、お皿というとこうした深さのあるものが主流です。和え物やチャンプルーなどちょっと汁気のある、夏のゴーヤ料理にはまさにぴったりの形です」と雨晴の主人、金子憲一さん。「通常、和食器で1人用のお皿というと7寸がちょうどいいかと思いますが、深さのある沖縄の器は一回り大きい8寸を選ぶと、1人用にも盛り付け皿にも使えて便利です。特に、今回ご紹介する『陶房眞喜屋』の皿はリムが立ち上がっているので、真ん中に少しだけ盛り付けたときに食材がとても映えてきますよ」。高さがあることで、テーブルの上でもぐっと存在感が増してくるそうです。

藍と白のコントラストが
美しいコバルトの染め付け

ここ数年、昔ながらの素朴な風合いと独特の色や柄使いで人気を集めている沖縄の器。その歴史は約400年前の琉球王朝時代にまでさかのぼるそう。「和の器のなかでも土味を生かした自然な素材感を楽しめるのが沖縄の器の特徴です。沖縄の器には大胆な絵付けや色使いが多く、選ぶ楽しさもありますね。今回ご紹介する陶房眞喜屋の皿も、このコバルトと呼ばれる藍色で描かれた染め付けが特徴です。日差しの強い沖縄ならではの美しい色使いで、料理を引き立ててくれます」。染め付けは一般的には磁器に用いられることが多い技法ですが、沖縄では古くから陶器に使われてきました。唐草や点打ちといった模様で表現された、大胆かつ美しい色合いは沖縄の器の魅力のひとつでもあります。

「眞喜屋さんが手がける染め付けは、現代の暮らしに合わせて編集されたモダンな器のデザインも相まってとても洗練された印象です。同じ形でもさまざまな柄から選ぶことができるので、家族分違う柄を選ぶのもおすすめです。違う柄を並べても統一感が出てくるので、柄の美しさが重なり華やかさもまた格別です」と金子さん。

沖縄の古陶を意識しながら、
現代の暮らしに馴染む器を生み出す
沖縄の作家・眞喜屋修さん

今回ご紹介した染め付けの器を手がけたのは、「陶房眞喜屋」の眞喜屋修さん。沖縄県に生まれ、沖縄県芸術大学を卒業した後、沖縄を代表する陶芸家、大嶺實清さんのもとで腕を磨きました。2001年の独立した当時はまだ今のように沖縄の器がブームになる前で、伝統的な沖縄の器は使いにくいという声がとても多かったそうです。「琉球王朝時代の古陶を意識しながら、現代の暮らしに馴染む器をめざして作陶を続けている作家さんです。沖縄らしいおおらかさがありながら、ディテールにまでこだわった端正な佇まい、また染め付けで表現されるモダンなデザインがとても素敵で、まさに沖縄を代表する作家のおひとりです」と金子さん。

藍と白のコントラストが美しい眞喜屋さんの器。夏野菜をたっぷりと盛り付けて、この季節を存分に楽しんでみるのはいかがですか?

(撮影/吉澤健太)

取材したのはこちら

雨晴_金子憲一さん

“雨の日も晴の日も心からくつろげるくらし”をコンセプトに、和食器を中心とした工芸品を取り扱う「雨晴」。店に並ぶのは、ディレクターを務める金子憲一さんが、日本各地の工房や作家のもとを訪れ選んできたもの。「これからも大切に引き継いでいきたい日本に古くから伝わる感性。そして今の暮らしに馴染むもの」を基準にしたハイセンスなセレクションは、プロの料理人にもインテリア通にも大人気です。

東京都港区白金台 5-5-2
電話03-3280-0766
営業時間 11:00 ~ 19:30
水曜休

雨晴(あまはれ)/AMAHARE

http://www.amahare.jp/