【部屋の間仕切りのないスタジオタイプの家】壁の表情で空間を分ける、独創的なリノベーション

Yさんご夫妻は、大工として働くご主人と、専業主婦の奥さまの二人暮らし。夫婦共通の趣味である、アート、民芸品などを生かした空間にするために選んだのは間仕切りを外した78平米のワンルーム化。壁をギャラリーのように使った楽しいお宅を紹介します。

横浜の閑静な住宅街に佇む3LDKの中古マンションを購入したYさんご夫妻。78平米と二人暮らしには十分な広さでしたが、不要な部屋を取り除き、解放感のある空間を手に入れるため、3LDKからスタジオタイプにリノベーションしました。ただ広いだけでは空間にメリハリがなくなるので、DIY好きのYさん夫妻は壁ごとに趣向を変え、ボックスタイプの空間に自らハンドメイドで変化をつけることにしました。

目次

スタジオタイプは広々と開放的で
おまけに生活動線もスムーズ

写真は家の中心となるリビングスペース。仕切りがないからこそ、ソファ、イス、チェアハンモックなど家具が点在していても圧迫感がありません。

スタジオタイプとは、壁などで空間を仕切らないボックスタイプの設計で、近年人気のリノベーションスタイル。壁がない分圧迫感がなく、開放的な空間を確保できます。Yさんご夫妻のリノベーションのコンセプトが「お互いの気配を感じられる空間」だったため、仕切りのないスタジオタイプに決めたそう。「築30年以上という年季の入ったマンションなだけに、天井が低くせっかく横の広がりを作るのにその開放感を生かせない気がしたんです。だから思い切って天井を抜いて躯体をむき出しにすることにしました」(奥さま 以下同)

ひと続きの空間の意味分けと
見た目のアクセントを加えるために
壁はふんだんに味付け!

仕切りのないスタジオタイプ、Yさん邸の場合は25畳もあるので、空間のすみ分け、パーソナルスペースの確保のキーとなるのが壁。もともと夫婦揃ってDIY好きで趣味も同じことから模様替え感覚で壁をデコレーションしたりパーティションを作ったりしています。そうすることで空間をゾーニングでき、気分も切り替わるとか。「壁なら好きなだけ色を塗り替えたり、壁紙を貼り替えたりと変幻自在に好みを投影できますよね。この先趣味が変わることも当然あると思うので、インテリアには遊べる余白を持っておいたほうがいいと思うんです。それが我が家の場合は壁なんです。季節の変わり目や、なんだか飽きたな…と思ったら壁紙を変えたりペンキを塗ったりDIY。家具を買ったりファブリックアイテムを変えるよりも手軽だし費用もそこまでかかりませんよ」

家の中心となるキッチンは
二人仲良く並べるアイランド型。
見える収納で壁を活用

キッチンは、二人横並びで作業ができるようアイランド型を選択。ダクトまでも見える化することで隅々まで掃除の手が伸びるようになり、よりクリーンな空間になったという。「キッチンの壁はあえて白のタイル貼りにして清潔感と空間が明るくなるようにと意識しました。よく使うキッチンガジェットは他のスペース同様壁際に集めました」

穴をあけられない壁は
マグネットペイントが活躍

コンロ横の壁はキッチンの配線の関係上、穴をあけることができなかったため、磁石が使えるようになる特殊の塗料、マグネットペンキを塗ってウォールデコを。カレンダーやポストカードやちょっとしたメモなど、お気に入りをコラージュしてキッチンの雰囲気を変えています。「マグネットペンキの他、マグネットクロスもありいずれも壁に穴をあける必要がないので、賃貸の人にもおすすめです」

仕切りのないスタジオタイプの空間を、壁の演出で退屈しない場所へと作り上げたYさんご夫妻。まだまだこれからも手を加える予定だという自宅は、さらに進化していきそうです。

撮影/穂苅麻衣(BOIL)