ドアポケットに入れるのはNG!【卵と冷蔵庫】の5つの正解

私たちの生活のなかで最も身近な食材ともいえる卵。パックで購入してきたら冷蔵庫の卵ポケットにそのまま閉まっていませんか? 実はそれ、卵にはあまり良くないそうです。卵を安全に長持ちさせるために、普段やってしまいがちなNG行動をチェックしましょう!

.買った卵は、冷蔵庫の卵ポケットに入れる
.卵が入っていたパックは捨ててしまう
.卵の尖ったほうを上にして保存する
.調理前に卵の殻を洗ってから使う
.賞味期限が近づいたらゆで卵にする

 

さて、あなたが普段やっていることはどれですか? 実は、上の5つは、卵の保存にとっては、全てNG行動なんです! このように当たり前にやっていることが実は間違いだらけと教えていただいたのは、食品保存の分野で研究を続けている東京農業大学元教授で農芸化学博士の徳江千代子先生。この5つがなぜ良くないのか、詳しく聞いていきましょう。

卵の正解.1
ドアポケットは温度が安定しないので
繊細な卵には不向きな場所。
奥の棚で保存しましょう

ここに卵を保存してねという前提で冷蔵庫のドアには必ずたまごポケットが付いているので、私も何の疑いもなくパックからたまごを出して閉まっていますが、実はこれ、NGなんだとか。「そもそも、食材のなかでも卵はとても繊細なもの。頻繁に開閉する冷蔵庫のドアの振動が傷みの原因になります。また、冷蔵庫を開け閉めして外気にさらされる分量が多いドアポケットは温度差が生じやすい場所です。この振動と温度差により、たまごの劣化は加速してしまいますので、ドアポケットは使わないほうがベターです」(東京農業大学元教授・農芸化学博士 徳江千代子さん 以下同)

卵の正解.2
購入した際に入っているパックのまま
保存するほうが、温度も安定するし
衛生面でも安心です

スーパーから帰ってきたら、まずパックから卵を取り出しますよね。これも実はNG。その理由は、「先に述べたように、卵はちょっとした温度差も劣化を早める原因になります。パックは外部から守る働きがあり、温度の変化を最小にしてくれるので、パックのまま冷蔵庫の奥にしまうのが正解。ドアの開け閉めによる温度差の影響も受けにくいので、冷蔵庫の奥がおすすめです。また、卵の殻には食中毒の原因となるサルモネラ菌が付着していることもあるので、冷蔵庫で他の食材に菌をうつさないためにもパックのまま保存をするのが良いでしょう」

卵の正解.3
実は卵は丸い部分で呼吸しています。
それを妨げないように
尖ったほうを下にするほうが長持ち

普段そこまで意識をしていないかもしれませんが、卵保存に正しい向きがあるのをご存知でしたか? 「卵は尖ったほうと丸いほうがありますが、みなさん無意識に安定するからと、丸いほうを下にしてしまうことが多いと思います。実は卵の丸い部分には気室と呼ばれる空気の入った空間があり、なんと卵は呼吸しているんです! つまり、丸いほうを下にすると圧迫されるうえ、微生物が入りやすくなるのでNGということなんです。写真のように、丸いほうを上にして保存してくださいね」

卵の正解.4
卵の殻を洗う行為は、卵の内部に
菌を進入しやすくするので避ける

調理前、野菜を水洗いする流れで卵の殻を洗っていたりしませんか? それも徳江先生曰く絶対NGなんだとか。「卵に付着したサルモネラ菌を心配して水洗いをする人が多いのですが、水洗いしてしまうと、卵の表面にある、水分の蒸発を防いだり、内部を保護する役目のクチクラ層が剥がれてしまい、他の菌が侵入しやすくなってしまうので洗うのはNGです。ちなみにサルモネラ菌は70℃以上の熱に1分以上さらさないと死滅しないので、水洗いに意味はありませんよ」

卵の正解.5
ゆで卵のほうが賞味期限は
短くなります!

卵の賞味期限が近づいてくると、もったいない精神が働き、とりあえずゆで卵にしちゃいますよね…。良かれと思ってのこの行動も保存という意味では不正解だそう。「生よりも加熱するほうが長くもつというイメージを持たれてゆで卵にしがちですが、実は茹でるほうが傷みやすくなるんです。というのも、卵白には菌を溶かす酵素が含まれているのですが、茹でることで酵素の働きが失われてしまいます。だから”賞味期限に焦って茹でる”はおすすめしません。ちなみにゆで卵は持って2日ぐらいです」

ちなみに、卵の賞味期限は
“生で食べられる”期間のことです

「卵の賞味期限は食品衛生法に基づき、白身に含まれるリゾチームという酵素の働きがある期間から算出されており、それは『生で食べられる期間』のことなんです。賞味期限が過ぎてしまうともう、調理をしてもダメ…というイメージがありますが、卵の賞味期限は本当に傷んでしまう時期よりも早めに設定されているので、賞味期限が多少過ぎてもしっかり加熱処理すれば食べて問題ありません」

意外に知らない卵のトリセツ。あなたは正しくできていましたか? 涼しくなってきて、食材管理の油断をしがちな季節ですが、身近な食材だからこそ、正しい保存法を実践してより長く、おいしくいただきましょう。

監修

「食品の保蔵・加工における多様な食品機能」を主なテーマに掲げ、野菜や果物など食材の成分、栄養、保存方法などの研究を続ける農芸化学博士。著書「食品の保存テク もっとおいしく、ながーく安心」(朝日新聞出版)は食材の正しい保存法が学べるとあって評判を呼んでいます。

東京農業大学元教授・農芸化学博士 徳江千代子さん