今年も蒸し暑い夏が間近ですが、気になるのは夏バテ。そうなる前にしっかりスタミナをと考えると、思い浮かぶのは「お肉」。スタミナには豚肉とよく聞きますが、その理由を管理栄養士の榎田彩加さんに教えていただきました。
夏バテの原因は自律神経の乱れなどが関係していますが、その原因は食事にもあるかもしれません。「暑いと喉越しのよいそうめんやビールが増え、糖質に偏った食事をしてしまうと夏バテの原因に繋がります。また冷たいものを大量に摂取してしまうと、胃腸が冷えて免疫力が下がるので疲労を蓄積してしまいます。夏バテ解消や予防には、糖質の代謝を助けたり、疲労回復効果のあるビタミンB1を積極的にとっていきましょう」(渋谷DSクリニック管理栄養士の榎田彩加さん・以下同)
目次
夏バテの予防にはビタミンB1が重要
冷やし中華やそうめんなどの糖質過多な食事やビール、冷たいスイーツなどを多くとりがちな夏は、糖質の代謝を促したり、アルコールを分解する際に使われるビタミンB1が不足しがち。そのため夏バテを引き起こしやすくなるんだとか。「ビタミンB1が不足すると、ブドウ糖からのエネルギーが作れず、食欲不振、疲労、だるさ、手足のしびれなどの症状が現れます」。また、脳はブドウ糖をエネルギー源としているため、ビタミンB1が不足すると脳や神経に障害を起こすことも。
牛肉と比べてビタミンB1が
豊富な豚肉を食べるのが効果的!
ビタミンB1が多いのは豚肉やうなぎ、玄米などが代表的な食材。特に豚肉に多く含まれているので、夏バテには豚肉が効果的です。「豚肉の部位によっては牛肉の10倍くらいのビタミンB1が含まれています。また、肉類は体を作るのに必要なタンパク質も豊富。総合的に見るとビタミンB1も多く、効率よくタンパク質も摂取できる豚肉は夏バテに効果的だと言えます」。ちなみに牛肉は豚肉よりも鉄分が多いので、貧血などの症状を感じる方にはおすすめです。
◆カロリーを気にする人には
ヒレやもも肉がおすすめ!
豚肉には脂質も含まれていてカロリーが気になる方も多いと思います。1日の目安量を考え、カロリーが高い豚ばら肉ではなく、低カロリーでビタミンB1の含有量の多いヒレやもも肉を選ぶようにしましょう。「例えば豚ヒレ肉なら、100gで成人女性の1日のビタミンB1の推奨量を摂取できます。また、豚肉はタンパク質も豊富で、特にヒレやももは高タンパクで脂質も少ないのが特徴。夏バテで胃腸が疲れているときでも、脂質が少ない部位なら食べやすいのでおすすめですよ」
◆1日の目安量を把握して食べ過ぎに注意!
ニンニクやニラ、玉ネギを入れて
ビタミンB1の吸収率をアップ!
「ビタミンB1はニンニクやニラ、玉ネギなどのネギ科の野菜などに含まれているアリシンと結合すると、アリチアミンになって吸収率が高くなります。さらにアリシンは、胃液の分泌や発汗など代謝を良くするという働きもあります。また、体の冷えから来る夏バテには、体を温める効果のあるショウガと一緒に摂取するのも効果的ですね」。レバー類もビタミンB1は豊富なので、ニンニクたっぷりのレバニラ炒めや、玉ネギ入りの豚のショウガ焼きなどは、栄養面からも優れたメニューと言えます。
管理栄養士おすすめ夏バテ解消レシピ!
「豚ロースとトマトのステーキ」
「この豚ロースとトマトのステーキは、1人分199Kcal程度とカロリーにも気を使ったメニューなので、ダイエット中の人や胃腸が疲れている方にもおすすめ。ビタミンB1が豊富な豚肉と、抗酸化作用のあるリコピンやミネラルが豊富なトマトを一緒に摂取して、効果的に夏バテ解消が目指せるレシピです」。トマト以外の野菜も添えて、ミネラルを補充するとさらに◎。夏バテ対策レシピを考えるときは……。
①エネルギーを作るタンパク質はマスト
(肉類・魚介類・卵・大豆製品)
②疲労回復効果のあるビタミンB1を摂取
(豚肉・鮭・うなぎ・玄米)
③夏野菜で不足しがちなミネラルも補給
(野菜・海藻類・大豆製品・乳製品・魚類)
この3点を意識して豚肉メニューを考えれば、夏バテに負けない健康な体を維持しやすいのでぜひ参考にしてください。
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バテてきたから、とりあえず肉!ではなくて、ちゃんと種類や部位を考えて摂取することで、効率よくスタミナをつけることができそうです。個人的には「豚ヒレ」と聞くとヒレカツが食べたくなりますが(笑)、きちんと取り合わせも考えて、この夏は夏バテのない我が家を目指します!
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渋谷DSクリニック 渋谷院
監修
郡山女子大学家政学部食物栄養学科卒業。障害者福祉施設や介護老人福祉施設で食事・栄養管理を行い、現在渋谷DSクリニックにて栄養指導を行う。一人ひとりの生活環境に合わせたカウンセリングも人気。