酷暑と呼ばれた今年の夏は、とにかく体力を奪われ気味の人も多いはず。少し暑さが落ち着いてきたとはいえ、まだまだ残暑は続きそう。夏バテを引きずらずに乗り切るには、朝食が大切だって知ってますか? 自律神経のリズムを整え、エアコンで冷えた体の元気スイッチを入れる、手軽な朝食を覚えておきましょう。
現代夏バテの多くは“暑さ”そのものよりも、エアコンや冷たい飲み物、アイスなどで体が内部から冷え切ってしまうことで、自律神経が乱れ、免疫力も低下していくことが大きな原因です。また、食事内容も単調になりがちで、十分に栄養が取れていないことも多々あります。そうしたことを踏まえて、朝食での夏バテ攻略は、次の3点で考えます。
〈夏バテ攻略レシピのポイント〉
・タンパク質でエネルギーの補充!
・ビタミンB群で疲労回復!
・ミネラル摂取で活力アップ!
タンパク質は人間の体のもととなる栄養素で、パワーとスタミナのもととなり免疫力を高めてくれます。夏は麺類などの炭水化物に頼りがちですが、タンパク質のおかずを取らないですごしていると代謝がどんどん落ちて、太りやすい体質にもつながってしまいます。そうすると夏バテであまり食べていないはずなのに、なぜか体重が増えてしまった…という結果になる恐れもあるんです。次にビタミンB群は疲労回復に有効。なかでもビタミンB1はご飯などの糖質をエネルギーに変え、疲れの原因である老廃物がスムーズに排出されるように働きかけてくれます。糖質摂取が多い日本人には特に不足しやすい栄養素と言われているので、意識して取ることが大切です。また水分を失いやすい夏バテ時期は、ミネラルをしっかり補って体内を潤うことも重要。夏が旬の野菜や果物はミネラルも豊富なので、積極的に食べることで代謝が良くなり、朝からシャキッと活動できるはず。
付け加えると、暑い時期はどうしても冷たいものを食べたくなりがちですが、これでは体がさらに冷えてしまい、体力低下を招くばかり。辛いものは体を温めてくれたり、消化器の血流を良くして代謝を高めてくれる作用もあるので、夏バテ対策におすすめです。こうしたポイントに注意しつつ、フードコーディネーターの石黒裕紀さんに朝食レシピを教わりました。
目次
Recipi1 さっぱり食べてミネラルまで
しっかり取れるジャコとニラの冷奴ライス
〈材料2人分〉調理時間・約5分 ☆=夏バテに効く食材
☆絹豆腐/1/2丁 ☆ニラ/2~3本 みょうが/1個 ジャコ/大さじ2 白ごま/小さじ1 ごま油/大さじ1 塩・醤油/各少々 ごはん/茶碗2杯分
〈作り方〉
①ニラとみょうがは小口切りにする。
②器にごはんをよそい、白ごまをふって豆腐を軽くくずしながらのせ、塩少々をふる。その上に①とジャコを乗せる。
③フライパンにごま油を煙がでるまで熱し、②の野菜とジャコにかける。醤油少々をかけていただく。
〈ポイント〉
「たんぱく質とビタミンB1がしっかり採れる豆腐は、さっぱり食べやすいこともあって夏バテのときに最適。カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分や、ビタミン、鉄分も豊富なニラに、ごま油やみょうがでパンチを効かせ、あつあつのごはんといただくことで、朝の食欲もぐっと増進します」(石黒さん 以下同)
Recipi2 ピリ辛ソースが冷えた
体を温め、夏野菜でビタミンも
たっぷりなサルサトースト
〈材料2人分〉調理時間・約8分 ☆=夏バテに効く食材
☆トマト/中1個 ☆ピーマン/1個 ☆紫玉ネギ/1/6個 パクチー/1株 カンパーニュ/2切れ
A(ソース) ライムしぼり汁/小さじ1 オリーブオイル/小さじ1/2 タバスコ/小さじ1/4 塩/小さじ1/4 コショウ/少々
〈作り方〉
①カンパーニュは薄切りにしトーストする
②トマトは1.5㎝の角切り、紫玉ネギは薄切り、ピーマンは輪切りにし、パクチーは小口切りにする。
③ Aをざっと和えて①にのせ、パクチーをのせる。
〈ポイント〉
「夏バテになって食欲が落ちると、体はミネラル不足に陥ります。その場合は野菜をきちんと朝から食べたいところ。トマトやピーマン、玉ネギなどの夏野菜は、ビタミンBやCの栄養素をはじめ、火照った体を内側からクールダウンしてくれる水分やミネラルもたっぷり。切るだけで火を通さずに食べられるので、時間がない朝の手間も省けます。また野菜のビタミンは日焼けによる肌荒れ予防にも効果的。朝から1日動く日も、しっかり肌のケアをできます。夏らしいエスニックな味付けもおすすめです」
Recipi3 ネバネバ食材の疲労回復
効果を野菜でさらにパワーアップした
納豆トマト丼
〈材料2人分〉 調理時間・約5分 ☆=夏バテに効く食材
☆トマト/中1個 ☆納豆/2パック のり/適量 長ネギ小口切り/適量 ごはん/茶碗2杯分
A(タレ)豆板醤/小さじ1/4 醤油/小さじ1 ごま油/少々
〈作り方〉
①トマトは1㎝角切りにする。納豆にAを加え混ぜる。
②ごはんに①をのせ、ちぎったのりと長ねぎネギをのせていただく
〈ポイント〉
「納豆を筆頭に、ネバネバ食材には粘液糖タンパク質の混合物が多く含まれ、これは夏バテの体質改善や疲労回復にとっても効果があるんです。さらにトマトでビタミンとミネラルを補い、ピリ辛の豆板醤を加えることで、疲れたときにも元気が出る味付けに。朝の定番の納豆ごはんのアレンジをぜひ試してみてください」
秋に向けて夏バテを引きずらないためにも、火照ったり、逆に冷えすぎた体を潤してくれる食事が大切です。栄養を考えた朝食をしっかり食べることで、ぜひ皆さんも毎日の活力にしてみてください。
(撮影/穂苅麻衣)
監修
今回のレシピを教えてくれたのはこの方。
フードコーディネーター、栄養士。テレビや雑誌をはじめ、企業のレシピ開発など幅広く活躍中。著書に『大切な人がきっと喜ぶもてなし&持ちよりレシピ』(成美堂出版)などがある。