栄養価が高く免疫力が上がる食材が分かっても、栄養素がしっかり吸収できないと意味がありません。おいしく、効率よく免疫力を上げるには、どんな食材の組み合わせがいいのか、管理栄養士おすすめをご紹介します。
免疫力を効率よく上げる食材の組み合わせってあるんでしょうか?「大前提として、バランスのいい食事が免疫力アップひいては日々の健康につながっていきます。免疫力を上げる食材でもお話しましたが、タンパク質をベースにビタミンA、βカロテン、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛などの栄養素をとることが大切。互いの栄養素をより効果的に引き出す組み合わせも存在するので、今日は普段の食事でも取り入れやすいおすすめの組み合わせをご紹介します」(管理栄養士 麻生れいみさん 以下同)
◆「豚肉×ニンニク」◆
免疫力のアップや殺菌効果があるニンニクは
豚肉の疲労回復効果も向上させる
「まず、ニンニクには強い殺菌力があり、ウイルスが体内に侵入するのを防いだり、活性酸素の攻撃から身を守って免疫力を高める働きがあります。またニンニクの匂い成分アリシンは、豚肉に含まれるビタミンB1の吸収率が上げ、疲労回復効果が期待できるので、いい組み合わせです。豚肉のニンニク炒めなどは免疫力低下を防ぎつつ疲労回復も期待できます。韓国料理のサムギョプサルなどもいいですね」
◆「サケ×ブロッコリー」◆
サケに含まれるアスタキサンチンの抗酸化
作用を持続させるブロッコリーのビタミンC
「細胞同士を固く結びつけて丈夫にし、天然抗菌成分ディフェンシンの分泌を促進する働きを持つビタミンDが豊富に含まれているのがサケ。さらに免疫力を低下させる活性酸素を除去する抗酸化作用が大きいアスタキサンチンが豊富な点も魅力です。アスタキサンチンの抗酸化力は、レモンのビタミンCの約6000倍とも言われています。そんなサケと合わせて食べたいのがビタミンCが豊富なブロッコリー。アスタキサンチンの強い作用を、より長く持続させられると言われています」
◆「カキ×ホウレンソウ」◆
免疫力アップに欠かせない亜鉛を含むカキは
その吸収率を上げるホウレンソウと一緒に
「免疫力アップに必要なビタミンAを、貯蔵されている肝臓から体中に運ぶには亜鉛が必要になります。その亜鉛を多く含むのがカキ。鉄分や葉酸、マンガンなど造血作用のあるホウレンソウと一緒に食べると、亜鉛の吸収が高まりより効果的ですよ。グラタンや雑炊などにするとおいしくいただけるのではないでしょうか」
◆「豚レバー×ニラ」◆
レバーに豊富なビタミンB群の吸収率を高め
体内に長く止まらせるアリシンを含むニラ
「豚レバーはタンパク質はもちろん、ビタミンA、亜鉛、鉄分の他にも、ビタミンB群が豊富に含まれているので疲労回復効果も期待できます。さらに、ミネラル成分セレンも含まれていて、体内に侵入した異物を直接排除し、感染を防ぐ働きがあります。ニラは免疫力アップに大切な栄養素ビタミンCが豊富。ニラの臭い成分であるアリシンは、レバーのビタミンB1の吸収を高めてくれます。ビタミンB1は余分に摂取すると体内からすぐに排出されてしまう性質なのですが、アリシンと一緒に摂取するとビタミンB1と結合し、体内に長くとどまってくれます。レバニラ炒めはまさに免疫力アップで強壮成分豊富な食べ合わせと言えます」
◆「牛肉×小松菜」◆
殺菌・消化促進・抗酸化作用のある小松菜は
良質なタンパク質と食べると吸収率が高まる
「小松菜はビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなど皮膚や粘膜を正常に保ち、抵抗力をつける役割がある栄養素が豊富。また鉄分も多く、活性酸素を抑える抗酸化作用があります。非ヘム鉄のため牛肉のタンパク質と一緒に食べることで吸収率をアップさせましょう。また、ダイコンやワサビなどの辛味成分として知られるイソチオシアネートも含まれ、殺菌効果や消化促進効果も。小松菜はホウレンソウほどあくが強くないですし、炒めると、かさも減っておいしくたくさん食べられますよ。ビタミンA、Eは脂溶性なので、炒め物など油と一緒に摂ると吸収がよくなります」
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アレンジ次第では和洋中とレパートリーが広がりそうな組み合わせばかり。これから家で過ごす時間がますます増えそうなので、夕飯の献立はこれら免疫力アップが期待できる組みわせを意識してみてはいかがでしょう?
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大手出版会社の編集・ライターを経て、服部栄養専門学校栄養士科を卒業し、管理栄養士の資格を取得。管理栄養士として、大手企業の特定保健指導・栄養相談。病院の臨床研究においての栄養療法を監修し、医薬に頼りすぎない新しい治療法をサポートしている。自身の20㎏減量経験を通し「食べて痩せて健康になる」ダイエット法で今まで6000人ものダイエット指導にあたっている。