夜更かしは現代人の常ですが、蒸し暑くて寝苦しかったり、逆にエアコンで体を冷やしてしまう梅雨から夏の時期は、特に自律神経のリズムが乱れがちです。何となく体がだるいという人は、夜に寝て朝起きるという自然のリズムに戻したいところですが、その助けになるかもしれないのが「トリプトファン」という必須アミノ酸。これを朝食でいただくことで、正しい睡眠周期を手に入れる手助けをしてくれます。今回は、簡単なトリプトファンの説明と、おいしくいただける朝食レシピを紹介します!
目次
朝にトリプトファンをいただくことが
睡眠リズムを整えていく⁉
この時期、暑苦しくてなかなか寝付けなかったり眠りが浅くなったりで自律神経のリズムを見出しがちですが、そんな人にこそ心がけてほしいのが、朝食をしっかり食べること。朝食を摂ることで体内時計がリセットされ、脳も体も適正に覚醒していきます。この際に注目したいのが「トリプトファン」という必須アミノ酸。
このアミノ酸がなぜ重要なのかというと、トリプトファンを朝取ることで、結果的に日中の活発な活動を支え、夜になると睡眠を促すメラトニンの生成につながるから。トリプトファンは、太陽光を浴びることなどで、「セロトニン」の生成に使われます。セロトニンは、脳の神経伝達物質で、昼間の覚醒を促しつつ心を平穏に保つ働きがあると言われています。そしてこのセロトニンは、「メラトニン」というホルモンのもとになっています。メラトニンは、夜になると体温を低下させてよい眠りへと導いていきます。トリプトファンからメラトニンの生成までは14~16時間必要なので、ちょうど朝摂取したトリプトファンが、夜になるとメラトニンとして活躍するんです。
要するに、トリプトファンを朝取ることで、昼はしっかり活動ができて夜は眠りへとつながるいいリズムを作りやすいということ!
トリプトファンが多い食材は、乳製品や
大豆、バナナやナッツなど
「トリプトファン」は、牛乳・チーズなどの乳製品、豆腐や納豆、味噌、油揚げなどの大豆食品に多く含まれるほか、バナナやナッツ類にも豊富に含まれています。他にも、鶏むね肉や豚ヒレ肉などの肉類、かつおやまぐろの赤身などにも含まれますが、今回は朝食で簡単に取り入れやすい食材に注目。ズボラな人でも効率的に摂取できる朝食レシピをフードコーディネーターの石黒裕紀さんに教えていただきました。
睡眠リズムが整う
簡単朝食レシピを紹介!
【気持ちのいい目覚めレシピ①】
ピーナツバナナトースト
〈材料2人分〉 調理時間・約5分
※☆=トリプトファンを多く含む食材
☆ピーナツバター:大さじ4 ☆バナナ:2本
全粒粉パン:2枚 シナモンパウダー:少々
(+牛乳)
〈作り方〉
1.食パンを軽くトーストする。
2.ピーナツバターを塗り、縦半分に切ったバナナを乗せ、シナモンパウダーをふる。
〈ポイント〉
「パンを焼いて乗せるだけの簡単レシピですが、バナナにはトリプトファンを含むB6の含有量がダントツ。さらにピーナツはトリプトファンだけでなく、栄養価が高い食材なので、記憶力や集中力も高まると言われています。甘いもので血糖値を上げることで、朝から活動しやすくなる効果も」(石黒さん 以下同)
【気持ちのいい目覚めレシピ②】
焼きアボカドエッグ
〈材料2人分〉 調理時間・約10分
※☆=トリプトファンを多く含む食材
☆アボカド:1個 ☆チーズ(ピザ用):大さじ3
卵:2個 レモン:くし切り2切れ
塩・こしょう・オリーブオイル・しょうゆ・マスタード:各適量
(+バゲット)
〈作り方〉
1.アボカドは皮ごと縦半分に切り、種を除いてくぼみに卵を割り落とす。
2.ピザ用チーズをちらしてトースターで7〜8分焼く。
3.塩・こしょう・しょうゆ少々をふり、オリーブオイルをまわしかけ、レモンとマスタードを添える。
〈ポイント〉
「アボカドはトリプトファン摂取はもちろん、ひとつでボリュームがあるので、手軽でお腹いっぱいになり朝から元気になれます。卵やチーズのタンパク質をプラスすることで、体温上昇も見込めるため、アクティブに動きたい人にもおすすめ。トースターで焼いている間に朝の支度もできるので、忙しい人にもぴったりです」
【気持ちのいい目覚めレシピ③】
具だくさん味噌汁
〈材料2人分〉 調理時間・約8分
※☆=トリプトファンを多く含む食材
☆油揚げ:1枚 ☆味噌:大さじ2
☆すりごま:大さじ1 ほうれん草:2株
卵:2個 だし汁:2カップ 万能ネギ:2本
(+おにぎり)
〈作り方〉
1.油揚げはキッチンペーパーで押してしっかり油をとり一口大に切り、ほうれん草は根を落として3cmの長さに切る。
2.鍋にだし汁を沸かし、1と卵を入れて煮る。アクが出てきたら除いて、味噌を溶き入れる
3.器によそい、すりごまと小口切りにした万能ねぎを乗せる。
〈ポイント〉
「体が瞬時に温まる汁物は、トリプトファンを含む食材を取り入れることで、さらに朝のシャキッとした目覚めに最適。お味噌汁は1品でタンパク質や野菜を豊富に取れますし、食欲があまりわかない朝でも食べやすい万能朝ごはんです。ゴマをプラスするちょっとしたひと手間で、トリプトファン率もアップ」
いかがですか? 比較的簡単に準備できる、よい目覚めへと導く朝食レシピを紹介しました。結論としては、よい睡眠へと導くことで朝もすっきり目覚めることができるということ。それにはトリプトファンというアミノ酸がいいらしいということ。皆さんもぜひこの朝食を試してみてください。
(撮影/穂刈麻衣)
監修
今回レシピを教えていただいたのはこの方です。
フードコーディネーター、栄養士。
テレビや雑誌をはじめ、企業のレシピ開発など幅広く活躍中。
著書に『大切な人がきっと喜ぶもてなし&持ちよりレシピ』
(成美堂出版)などがある。