あなたが眠れない理由はもしかしたら「女性ホルモン不足」かも⁉

蒸し暑くて眠れない、十分寝ているはずなのに疲れが取れない。もしかしたらそれは、寝具やお部屋の環境のせいではなく「女性ホルモン」が理由かもしれません。理学療法士の矢間あやさんに睡眠と女性ホルモンの関係、質の高い睡眠のために日常の生活のなかでできることについて教えいただきました。

目次

こんな心当たりはありませんか?

頭痛・肩こりがひどい
日中は眠いのに、夜になると眠れない
疲れやすく、だるさを感じる
イライラしがちだ
生活のなかでストレスを受けやすい
手足がいつも冷えている
いつもコンビニ食だ
運動不足を感じている

いくつか心当たりがあるなら、女性ホルモンが低下している可能性があります。
一般的に女性ホルモンの分泌量は、25歳頃をピークに40代後半から更年期を迎えるまでゆるやかに減少していきます。女性ホルモンがゆるやかに減少を始める35歳〜45歳はまさにプレ更年期。自律神経が乱れやすくなり、生理前のトラブルも発生しやすくなります。しかし、最近は、20代から30代の若年層からも更年期障害のような訴えが多くなりました。原因は、過度なダイエットやストレス、不規則な食生活などによる月経不順で、女性ホルモンの分泌が減少していることが考えられています。もしあなたがまだ若くても、睡眠の悩みには女性ホルモンの減少が関係しているのかもしれませんよ。

女性ホルモンの低下で脳が混乱し、
バランスの崩れた自律神経が睡眠を妨げる

女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)を分泌しているのは卵巣。そして卵巣に指令を出しているのが脳です。脳の視床下部からの指令で卵巣から女性ホルモンが分泌されますが、更年期には卵巣の機能が低下し、その分泌が減少します。すると、脳はもっと女性ホルモンを分泌させようと視床下部から頻繁に指令を出すことになります。これを繰り返していくと、視床下部が通常の何倍もの指令を出し続け混乱をおこします。視床下部は自律神経や免疫の中枢でもあり、これらがバランスを崩すので、更年期には急なのぼせや発汗、眠れないなどの、いわゆる更年期障害の問題が起こります。女性ホルモンは増やすことができません。女性ホルモンの分泌をなるべく乱さないような生活スタイルを心掛ける必要があります。

女性ホルモンの減少をゆるやかにする
暮らし方で睡眠の悩みが解消されることも

バランスのとれた食事、特にミネラルを意識

当たり前のようですが必要な栄養素を満遍なく、適量をとることが大切です。女性ホルモンを穏やかに減少させていくためにも、バランスの良い食事は不可欠です。特に現代の食事はミネラル不足になりやすいと言われています。ミネラルは、体調を整える重要な役割を果たしています。ミネラルを多く含む食品は、レバーや赤身肉、魚介、海藻や、ウナギやカキや大豆など。大豆製品には亜鉛やアミノ酸などの不足しがちな栄養素や、エストロゲンに似た働きをする成分である大豆イソフラボンが含まれており、女性の美しさや若々しさを手助けしてくれることでも有名です。

適度な運動を心掛ける

私たちはあまり動かずにすむ生活を手に入れましたが、人間の体は動くようにできています。言い換えれば、動かないと不調が出てきます。女性ホルモンを正常に機能させるためにも適度な運動は大切。ホルモンバランスが乱れるとストレスを感じたり、疲労感やイライラ、頭痛、むくみなどの不調も感じやすくなります。これらは適度に体を動かすことで軽減することができます。まずは、日常生活のなかで今よりも動く量を増やしていきましょう。例えば、いつものエスカレーターを階段にする、ちょっとそこまでを歩きにする、などです。こまめな運動は、心地よい疲労となり、夜の睡眠にもつながってきます。

生活リズムを整える

平日と休日の起きる時間が2時間以上違う人は要注意です。朝寝坊は気持ちがいいですが、体内リズムを狂わせ、月曜に平日の生活が始まると疲れを感じたり、眠れないなどの体調不良につながります。体内リズムとは、日中活動して夜は休息するという生理的なリズムのこと。ぴったり24時間ではないため、朝日を浴びてリセットすることで体内リズムの誤差を調整すると言われています。体内リズムが狂うと自律神経の乱れにもつながり、自律神経の中枢でもある視床下部の働きを乱し体の不調を増大させることも。規則正しい生活が女性ホルモンの分泌にも睡眠にも良いことは言うまでもありません。

〈おまけ〉そもそも女性ホルモンって?

骨や筋肉の成長、エネルギー代謝、食べ物の消化など多くの生命活動がホルモンの影響を受けています。なかでも女性に関係するホルモンが「女性ホルモン」。女性の卵巣で作られ、「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類が存在します。エストロゲンは、女性らしさに関与するホルモンで、思春期には、乳房の成長や子宮・膣の発達を促したり、身長や体重の増加、女性らしい体を作る役割も担っています。エストロゲンは生理にも密接に関わっており、生理の周期ごとに分泌量の増減を繰り返します。プロゲステロンは、妊娠に関与するホルモンで、子宮内膜を柔らかくして妊娠の準備を整えたり、乳腺を発達させたりします。また、体温を上げる働きがあるため、基礎体温を測ることで、自分の体の状態を確認する手法は、プロゲステロンの性質を利用した体調管理術です。

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もし、更年期にさしかかる年齢なのであれば、寝付きが悪い、眠りが浅い原因として女性ホルモンを考えるのも一考です。女性の社会進出が当たり前になった一方で、まだまだ子育てや家事は女性の負担が多い方も多いのも事実。ついつい自分のことは後回しになりがちなのが、忙しい40代前後の女性ですが、私たちの体に大きな影響を与える女性ホルモンが正常に分泌されるためにも、ストレスを軽減し、心身共に健康であることはとても重要です。

取材したのはこちら

理学療法士、睡眠bodyコンサルタント、健康経営アドバイザー、著者、講師。理学療法士として病院で見たものは、病気になりで二度と社会復帰出来ない、家族離散という悲しい現実だった。自分の健康は自分で整えることの大切さを伝えるため独立。自身の治療メソッドを体系化し、眠れない多くの人に広めるために講師の育成や全国での講演活動、企業における健康経営や企業研修、コンサルティング等を行っている。

理学療法士 矢間あや