キッチンはカビの温床。発生を防ぐ重要ポイントは?

火や水を使ったり、狭いスペースに家電が並ぶキッチンは、湿気や熱気でどうしてもカビが発生しやすい環境にあります。食事を作る場所なので、他のスペースよりも注意したいところ。家族の健康を守るためにも何に注意をするべきなのかを覚えて、自宅のキッチンをチェックしてみてください。

キッチンは食べかすなどエサになる汚れや水分が多く、カビが好む条件が詰まっている場所。「冷蔵庫やオーブンなどの家電やコンロなどが狭い場所に集まっているキッチンは、暖かい空気が上に向かう流れができやすく、湿った冷たい空気がキッチンの下にたまりがちです。そこでまず着手してほしいカビ対策としては、換気扇を回す、窓を開けて換気するなどで空気をかくはんさせ水分を減らし、カビが発生しにくい環境を整えるようにすることです」(医療環境管理士 松本忠男先生・以下同)。

キッチンはカビが好む条件が全て揃っている

  • 活動が最も活発になる25℃前後の気温
  • 繁殖力が増すのは湿度70%以上
  • エサになる食べカス、洗剤、皮脂、ほこり、水分が豊富

これってキッチンそのものですよね。キッチンのなかでもカビ発生を見逃しがちな冷蔵庫、食器棚、シンク下それぞれの正しい対策方法を伺ったので、日々の掃除に取り入れて清潔なキッチンを心掛けましょう。

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目次

食器棚~通気性の悪さが問題

食器棚は通気性が悪いうえ、食器から蒸発した水分でカビが生えやすい場所。「食器を出し入れするとき以外は扉を閉めっぱなしにしている人も多いと思いますが、食器を入れすぎると通気が悪くなり、ぬれたまま食器をしまうと湿気がこもりやすくなります。定期的な換気と掃除を心掛けましょう。具体的には食器はなるべく縦収納にする、食器棚に食品は置かない、除湿シートを敷くなどをするといいでしょう」

冷蔵庫~十分にカビが活動できる温度です

たくさんの食品が詰まっている冷蔵庫は、使用頻度も高く汚れがたまりやすいエリアです。「冷蔵庫は常に冷えているからカビが発生しにくいと思っている人も多いと思いますが、それは間違いです。カビの生育可能温度領域は0~40 ℃。冷蔵庫内部は肉や野菜を凍らせないためにも0℃以上の温度に保たれているので、十分にカビは活動できます。また、頻繁に冷蔵庫を開け閉めすると庫内の温度が上昇して、カビにとっては住みやすい温度になるので注意してください。冷蔵庫から食品を取り出すときや物を動かしたときに手早くふき掃除をする習慣をつけて、カビのエサになる食品カスを残さないようにするといいですよ」

シンク下~湿気がたまりやすい場所

シンク下にカビが発生してしまうのは、配管パイプの熱気や湿気がシンク下のしめ切った狭い空間を暖めてしまうから。「湿気は上から下に落ちるものなので、シンク下に湿気がたまってしまうのは避けきれません。まずは収納するアイテムを減らし空気の流れをよくすることをおすすめします。また掃除をする洗剤やウエットシートには水分が含まれているので別の場所に置き、湿った手で触りがちな掃除グッズも収納しないようにしましょう。収納するものを厳選したら、ほこりをきれいにはらい、濃度50%以上のアルコールを噴霧した雑巾でシンク内部をふきましょう。数時間扉を開けっ放しにし湿気を飛ばし、除湿剤をセットすれば完了です」。ちなみに、目で見えるほどカビが繁殖している場合は、死滅させるために塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)が必要だそうです。

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カビの掃除はどうしても気分が滅入ります。そのためカビ菌が繁殖しないように、カビが喜ぶ「エサ」=「水分、汚れ」などを日頃から放置しないように心掛けましょう。清潔なキッチンなら台所に立つのも楽しく、料理も気持ちよく作れそうですね。

取材したのはこちら

東京ディズニーランド開園時の正社員、ダスキンヘルスケア(株)を経て、亀田総合病院のグループ会社に転職し、現場のマネジメントや営業に従事。1997年、医療関連サービスのトータルマネジメントを事業目的として、(株)プラナを設立。病院清掃および感染対策に携わり33年。これまで現場で育ててきた清掃スタッフの総数は700人以上。現場で体得したコツやノウハウを、多くの医療施設やオフィス、店舗、家庭に発信する。

松本忠男

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