汚れも臭いも楽に落とせる【お湯洗濯】が世界標準!?

清潔な洗濯機で洗っているのにいまいち汚れや臭いが取りきれない…。そんな洗濯へのプチ悩みを解決する鍵は、洗濯機でもなく、洗剤でもなく、お湯にあるかも。その理由とは…??

ナチュラルクリーニングを推奨する本橋ひろえさんによると、「洗濯の悩みは、全てお湯洗いで解決できる!といっても過言でははありません」とのこと。「洗濯=水洗いというイメージが強いですが、実は世界的に見ると、日本のように水洗いしている国は少数派。アメリカやヨーロッパでは、お湯洗いが当たり前なんです。ではなぜ、お湯で洗濯するほうが良いのかというと、それは匂い汚れの原因にあるのです」(本橋さん 以下同)

目次

衣類の汚れや匂いの元は皮脂がメイン。
油性汚れはお湯じゃないと落ちにくい!

「匂い汚れの原因は、主に体から出る皮脂。つまり油性の汚れになります。食器を洗浄するときを思い出してほしいのですが、油のついたお皿も、お湯ならスルッと落ちますが、水だとなかなかぬめりが取れないですよね。これと同じで、油性の汚れである皮脂をいくら水で洗っても、限界があるんです。皮脂の汚れは、人間の体温以上で溶けやすくなるため、40度以上のお湯で洗うのが効果的。黄ばみや黒ずみを落とす酸素系漂白剤も、40~50℃程度のお湯のほうが効果を発揮しやすいです。クリーニング店でも、お湯洗いが基本ですが、洗浄力がぐっと高まり、繊維の奥にしみついた、黄ばみや臭いの原因菌まで洗い流してくれますよ」。こう聞いたらいますぐお湯で洗いたい!

そもそも日本の洗濯はなぜ水洗いが主流なの?

「アメリカやヨーロッパではお湯洗いが当たり前な理由は、水が硬水のため洗剤の効きが悪かったからなんです。硬水に含まれるミネラル成分が石鹸の成分に反応するため、泡立ちが悪くなる。そのため、洗剤に頼るよりもお湯で洗おう、という方向に向かい、洗濯機自体にヒート機能がついたものが主流となりました。また、欧米では、洗濯機の給水位置にも給湯機能が付いていることが多く、お湯洗いをしやすい環境が整っています。逆に日本は軟水のため洗剤の効きはいいという事情と、洗濯機置き場には水しか使えない場合が多いため、水洗いが前提になってしまいました。ちなみに、日本は一般家庭のアンペア数も低いため、ヒート機能つき洗濯機を作るとしても限界があるようです」

日本でお湯洗いをする際のヒント!

お風呂の残り湯を使うなら、冷めないうちに

「日本の一般的な住宅では、洗濯機の給水栓は水のみ、というご家庭も多いかと思います。その場合は、お風呂の残り湯を利用するのがおすすめです。『残り湯って汚くない?』というご質問も受けますが、お風呂のお湯も冷めないうちなら大丈夫。これが30度を下回ると、一気に雑菌が繁殖してしまうので注意が必要です。だから、40度近くあるお風呂に入った直後のお湯を使用するのがベスト。ご家族が3、4人程度なのであれば、お湯の汚れも気にならず、再利用できるはずです」

温水洗浄の洗濯機を手に入れる!

「今年の6月、縦型洗濯機で初めて温水洗浄を搭載したモデルが発売され、ちょっとしたニュースになりました。ドラム式ではお湯洗いできるモデルもありますが、水量が少ないのがネックでした。何度もお話していますが、世界的にみると、ヒート機能がついている洗濯機がメイン。しかも90度以上で洗うため、汚れ落ちはものすごくいいようですが、生地が傷むという難点も。日本の場合は、アンペア数の関係でヒート機能の温度は40度くらいですが、水よりは断然汚れ落ちはいいはずです」

縦型洗濯機で初の温水洗浄を搭載した『パナソニック』の縦型洗濯機プレミアムタイプ(NA-FA120V1)

リフォームして洗濯機の水栓を混合栓にする

「私の家も工事をお願いして、洗濯機の上の給水栓からお湯がでる仕様にしました。洗濯機の給水栓は、浴室や洗面台の近くにあることが多いですよね。とちらもお湯が出ますので、工事としてはそこまで難しいものではないそうです。まだまだ水しか出ない住宅が多いのが現状ですが、ハウスメーカーさんでセミナーをやらせていただく時は、『洗濯機の給水栓は、必ず混合栓にしてください』とお願いしていますので(笑)、そのうちお湯が出ることが一般的になるのではと期待しています。また、混合栓のほうが先に挙げた2つの方法よりもお湯の温度を高温にできるので、洗浄力も高いです」

おまけ:さっそく自宅でお風呂の残り湯でお湯洗濯にトライしてみたら…

取材したのは、夏。先生に「男性の、しかも汗・皮脂量の多い夏の洗濯物を水で洗えると思ったら大間違い!」という言葉に衝撃を受け、さっそく次の日お風呂の残り湯を使ってお湯洗いにチャレンジ。あえて柔軟剤も使用しなかったのですが、夫の衣類の匂いも気にならず、タオル類も繊維が立ち、ふんわり柔らかく仕上がっているように感じました。

 

「水じゃなくてお湯」という目からウロコのお洗濯法。風呂の残り湯ならすぐにできるので、ぜひ水洗いとの違いを実感してみてください。

監修

環境や手肌に優しく、なおかつ安心・安全であるナチュラル洗剤を使った掃除&洗濯法を伝えるべく、全国で講演を実施。「掃除は化学!」と提唱。ロジカルな洗濯・掃除法は”分かりやすい!” ”掃除が楽しくなった”と評判に。「ナチュラル洗剤そうじ術」他、書籍も好評発売中。

ナチュラルクリーニング講師 本橋ひろえさん